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かぜが やみました。 ゆめは パンギの せなかに、 しっかりと しがみつきました。
「がんばれ、 パンギ! がんばれ、 ゆめ!」
そらは、 おうえんしました。
パンギは、 よし、 と ひざを たたいてから たちあがると、 スズナリノキを のぼりはじめました。
パンギは、 ながい てを じょうずに つかって、 すいすいと のぼります。 あっというまに まんなかくらいまで ついて、 ひとやすみ。 ふうしゃが おもちゃみたいに ちいさくなりました。
「たかい ところは すき?」
パンギが ゆめに たずねました。
「こわいから きらい! だから、 ずっと め つぶってる!」
「はっはっは。 せなかに いるから、 きがつかなかった!」
パンギは、 もうひとがんばり、 と いって、 また のぼりだしました。
「さあ、 ついた。 めを あけてごらん」
パンギの こえを あいずに、 ゆめは ゆっくりと めを あけました。
スズナリノキの てっぺんからは、 さゆうの やまなみ、 ちっちゃな ふうしゃと いえ、 おくには ネグラのもり、 うみと やまの まつ おうちまで、 ぜんぶ みわたせました。
「すごい」
「いいけしき だろう。 がんばって のぼった あとの けしきは、 かくべつだ」
パンギと ゆめは、 しばらく けしきを たんのうしました。
「さあ、 てを のばして。 すずを とって ごらん」
パンギは、 ゆめの おしりを しっかりと もって、 てを のばしやすくして あげました。
ゆめは てを のばし、 すずを つまんで、 ぷちっ、 と もぎました。
「ゆめ、 がんばったね! すごいね!」
したまで おりると、 そらは ゆめに いいました。
「こわくなかった! たのしかった!」
ゆめは、 げんきに いいました。
「ふたりとも、 がんばった。 おじさんも げんきを もらったよ。 また おいで」
「パンギさん、 ありがとう! また くるね」
おおきく てを ふって、 さんにんは わかれました。
「みっつの 『あかし』が そろった! さあ、 かえろう!」
そらと ゆめは、 つないだ てを ふりながら、 かえります。
かえりみちは、 なぜか、 いきよりも はやく かんじます。
ひるまの ネグラの もりは、 あかるく にぎやかでした。 あっというまに もりをぬけ、 さあ、 もうすぐ おうちが みえてきそうだ、 という ところで、 そらと ゆめは、 シロアリたちが みちばたで たおれているのを みつけたのでした。