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あさひに てらされて、 そらは めを さましました。 ゆめは、 ソロモンと おしゃべりして、 くすくす わらっています。
「ほう。 その おまじないを すると、 くしゃみが とまるのか。 しらなかった、 おぼえておこう」
ゆめは、 また くすくす わらいました。
「どうして わらってるの?」
そらが ゆめに たずねます。
「だって、 そろもんさん、 なんにも しらないんだもん」
「ソロモンさんは、 もりいちばんの ものしりだぞ。 しらないことなんか あるもんか」
そらは こたえ、 ソロモンを みました。
「うむ。 わたしは ものしりだが、 しらないことも やまほど ある」
「えー!」
そらは びっくりしました。 いったい、 この せかいには、 しるべきことが どれほどたくさん あるのでしょう。
「みなみに すすむと、 ビエントの たにに でる。 そこに ある、 スズナリノキを のぼるが よい」
そらと ゆめは、 おれいに おせんべいを あげました。
「ほう。 これが おせんべいか。 はなしには きいていたが、 ほんとうに まんまるなんだな」
そらと ゆめと ソロモンは、 わらって バイバイしました。
おつかい おつかい
ちょっと うれしい
おつかい おつかい
おまもり さげて
おつかい おつかい
じぶんの ちからで
おつかい おつかい
みつけたぞ
ふたつの 『あかし』
てに いれた
ゆうき なかよし あとひとつ
みっつめの 『あかし』
みつけるぞ
ゆうき なかよし おもいやり
おいかぜが、 びゅう と、 せなかに ふきました。 そらと ゆめは、 かけだしました。
ビエントの たにには、 たくさんの ふうしゃが ならんでいて、 かぜが ふくと、カタカタと おとを たてます。 ふうしゃの さきには、 ちいさな きょうかいが あり、 そのうらに、 おおきな スズナリノキが ありました。
そらと ゆめが、 スズナリノキを みあげていると、 きょうかいから、 テナガザルの しんぷ、 パンギが かおを だしました。
「こんにちは。 どうだい、 おおきなき だろう。 ふうしゃも きょうかいも たつ、 ずっと まえから、 このきは ここに はえていたんだよ」
「どのくらい まえから?」
そらが たずねました。
「おじいさんの おじいさんの おじいさんが、 こどものときくらい まえかな」
そらは ゆびをおって かぞえようとしましたが、 とちゅうで あきらめました。
「すごーく まえね」
ゆめが いいました。
「そのとおり。 すごーく まえだ」
パンギは、 わらって いいました。
「ところで、 こんなところまで、 ふたりで なにしに きたのかな?」
「てっぺんの すずが ほしいんだ」
そらが こたえます。 パンギは、 めを みひらいて、 そらを じっと みつめました。
「すずの ことを しっている みたいだね」
「そろもんさんが おしえてくれたの」
ゆめが こたえます。
「なるほど、 ソロモンさんか。 でも、 きみたちに、 このきが のぼれるかなぁ」
パンギは、 なにか かんがえています。
「どうだろう。 わたしは きのぼりが とくいなんだ。 おんなのこ ひとりなら、 おぶっても のぼれると おもう。 てっぺんまで のぼったら、 きみが すずを とるんだ。 こわいかな?」
パンギは ゆめに むかって たずねました。
ゆめは、 しばらく したを むいて、 うーん、 うーん、 と かんがえてから、 こたえました。
「ゆったん、 がんばる!」