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ゆうやみの もりでは、 きが、 ざわざわと かぜに ゆれる おとも、 こけむした つちを ふんだ、 ぐにゃっとした かんじも、 とりが ばたばたと はばたくおとも、 うろの なかの やみも、 ぜんぶが、 すこし こわく かんじます。
そらと ゆめは、 どきどきしながら、 もりの おくへと すすみました。
みちは ほそく くねり、 ふたりは てを つないだまま、 たて いちれつに なりました。
すると、 そらの うしろにいる ゆめが いいました。
「にいにの て、 ばっちいから はなして! バイキン うつる!」
とつぜん ゆめが さけぶので、 そらは びっくりして、 ふりかえりました。
ゆめは、 きょとんとして、 そらを みつめました。
「おれの ては、 ばっちくないぞ!」
そらは ゆめに むかって おこりました。
「ゆめの ばか!」
おこられた ゆめは、 なんで おこられたか わからず、 なきだしました。
「ゆったん、 ばかじゃないもん!」
ゆめの めから、 おおつぶの なみだが ぽろぽろと こぼれました。
そらは あわてて あやまりました。
「ごめん、 ゆめ。 ゆめの こえで わるぐちが きこえたんだ。 でも、 ゆめが いったんじゃないんでしょ?」
ゆめは、 こくん、 と うなずきました。
「て、 つないでも いい?」
そらが たずねると、 ゆめは もういちど うなずき、 そらの てを ぎゅっと にぎりました。
パルコの いずみに とうちゃくすると、 もりの どうぶつたちが むかえてくれました。
「やあ、 おちびちゃんたち。 よくきたね」
「おつかい? すごいや! すごいや!」
「いずみの みずは おいしいよ」
どうぶつたちは、 きさくに こえを かけてきます。
そらと ゆめは、 にっこり わらいました。 そして、 いずみの みずを すくって、 ひとくち のみました。
なんて つめたくて、 あまくて、 すきとおるような みず なんでしょう。
いずみの みずは、 こんこんと わきでていて、 ひとくち のむだけで、 げんきが でできます。
そらは、 すいとうに のこった ゆきどけみずを、 きの ねっこに かけ、 からになった すいとうに、 いずみの みずを くみました。