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おうちの ドアが ひらき、 やまと うみが でてきました。
「おかえり、 そら、 ゆめ。 ずいぶん がんばった みたいだね」
やまと うみを みた ふたりは、 なきながら かけだし、 そらは うみに、 ゆめは やまに、 しがみつきました。
「どうしたの? 『あかし』は みつかった?」
うみは そらに たずねました。
「…みつけたよ。 でも、 ぜんぶ なくなっちゃった!」
そらは、 わんわんと なきました。 うみは、 ただ だまって、 そらの せなかを やさしく なでました。
しばらくして、 そらと ゆめが なきやんでから、 うみは ふたりに いいました。
「みっつの 『あかし』は、 ちゃんと あるよ」
そらと ゆめは、 えっ、 と いいました。
「…どこにあるの?」
そらは たずねました。
うみは、 そらの ひざを さすりました。
「ひざこぞうを すりむいてる。 これは、 ゆうきを だして がけを のぼったことの 『あかし』」
つぎに、 そらの みぎてを にぎりました。
「こっちの て だけ、 とっても あたたかい。 これは、 ゆめと ずっと てを つないで ここまで なかよくしていた 『あかし』」
そして、 うみは、 カビの はえかけた パンを ゆびさしました。
「この パンは、 こまっていた シロアリさんたちを たすけてあげた、 おもいやりの 『あかし』」
うみは、 にっこり ほほえみました。
「ね。 ちゃあんと、 みっつ ある。 よく がんばったね」
そらと ゆめは おおよろこび。 バンザイを して、 よろこびの ダンスを おどりました。
「ふわあああ。 なんだか ねむくなったなぁ。 みんなで おひるねでも しよう」
やまは、 おおげさに あくびを してから、 なみだを ふき、 そらと ゆめの あたまを、 くしゃくしゃ、 と なでました。
そらと ゆめと やまと うみは、 わたあめ みたいな くもの ベッドで、 かわの じに なって おひるねしました。
おしまい