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零れ落ちる

作者: testrip
掲載日:2009/02/15

 小生は初めての感情を零す事しか出来なかった訳です。そうですね。それは一種の不可抗力かも知れませんし、違うのかも知れません。どちらにせよ、小生にはそれは重すぎた次第でありました。非常に残念に思い、胸中穏やかでなくなる感じが致しました。


『零れ落ちる』


 あれはそうですね、初冬に入るか否かという時期でありましょうか。丁度紅葉を逃したような、そうでないようなそんな時期でした。

 甚だ寒い訳でもなかったので、小生はポケットから手を取り出し、緩慢な動きで肌で風を痛い程にまで感じていたのです。……嗚呼、よくよく思い返して見れば息がもんやりと白かったような気も致します。小生の記憶は稀有な程に曖昧でいて都合の良いものなのです。という事は、そうですね。きっとあの日はとても寒かった事なのでしょう。小生の記憶には残念ながら暖かい日だと認識されているのですが。

 そんな事はきっと仏様にとって猫が欠伸を掻くぐらいに他愛も無い事でしょうから。気にするだけ無駄なのです。話を戻しましょう。

 小生は道を歩いていた。それ故に足は動いていたのです。至極当然の事なのですが、思わず小生は立ち止まって地面を見ました。小生の足元には枯れ葉。いえいえ、そんな切ない名前ではなかったのです。落ち葉の方が、幾分か温かみを感じるので、小生は此方を使わせて頂きます。

 そうです。小生の足元には落ち葉がちらほらとは言わずに、たんまりと積もっていたのです。勿論、足の下にですが。道理で歩き易かった筈だと小生は思いました。ふかふかとしていて、それでいて、くしゃりとたまに気持ちの良いさっぱりとした音と感触までもするのです。これは楽しい。小生は思いました。それと同時に胸が痛くなりました。

 そして、無意識の内に小生は、落ち葉から足を離していました。これらは落ちている、葉っぱなのだと小生は理解しました。落ち葉と言っておりますが、元は葉っぱ。勿論の如く、落ち葉にも葉という文字は含まれているのですが、それとは少し感覚の違ったものなのです。生きていた、葉だったのです。小生は胸の痛みの理由が分かりました。生きていたものを、屍を踏み付けていたのです。それも、気持ちが良いなどと思いながら。小生は涙を堪えました。

 大の大人が路上で涙を流すなど、恥ずべき行為であると共に、何とも薄情な話ではございますが、小生は袖を濡らした事が無かったのです。勿論、赤子の頃のものは数に入れておりません。

 そんな事はさておき、小生は落ち葉というものに感慨深いものを覚えた次第でありました。亡きものを踏みつけて、その上を闊歩する。これが無常なのだと小生は理解致しました。誰かが築いた礎の上に立ち、それだけではままならずその上に新たな創造物を創り上げていく。そうやって、大きな大きな文化や文明が、まるで恐ろしい化け物のように小生たちの下に築かれていくのです。落ちれば、乗り損ねれば一貫の終わりなのです。嗚呼、小生たちは何とも恐ろしいものを創ってきたのではないでしょうか。

 そうと理解しながらも、やはり小生は落ち葉の上という居心地の良さを、止めれずにはいられないのです。了


なんとも奇妙なキャラが生まれてしまった。

ぼんやりと歩いていた時に思いついた話です。

小生意気にも、ジャンルは文学とさせていただきました。

感想がございましたら、是非お願いします。

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