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終わりから始まる恋物語  作者: 梅干 茶子
終わりと始まり
4/60

カーリアスとサージャ3

分かっているとは思いますが、作者は戦闘シーンが苦手です。


 間合いが詰まった状態で始まった戦いは、初っ端から剣戟戦になった。

 

 最小限の動きで、カーリアスから突きが放たれる。

 サージャは体をひねってそれを躱し、右から腕を狙って斬りつけようとするが、返す刀で振るわれたカーリアスの剣に阻まれる。


 力技では勝てない。


 鍔迫り合いにならない様に剣の腹で反らして躱し、カーリアスの腕下をくぐるように反対側へ抜け、置き土産の蹴りを放つ。

 膝を狙ったそれは、背後に飛んで躱された。

 出来た隙間に、腰に下げた袋から玉を取り出して投げる。

 煙玉だ。だだし、逃げる為ではない。

 視界を煙に覆われている内に、腕にあるポケットから左右それぞれ三つずつ、短刀を取り出して投げ込む。

 体の自由を奪う毒が塗り込められた短刀だ。


 金属が弾かれる音がして、無駄に終わったことを知る。


 ふぉん、と音が鳴り、カーリアスが煙を切り裂く。

 煙は晴れたが、そこにサージャは居ない。

 サージャは頭上を飛んで、背後に回っていた。

 後ろから、足の健を狙って斬りつける。前に飛んで躱される。

 前転して、カーリアスが振り返る。

 不愉快な顔をして。


 「サージャ、お前、俺相手に手を抜いてるのか」

 「・・・そんなことはありません」

 「なら、殺しに来い。動けなくしよう等と考えるな。お前に抑えられるほど、俺は弱くないぞ」

 「そんなこと、わからないじゃないですか」


 もう何年も前から、カーリアスに直接教えて貰ってない。サージャはそれからも強くなる為に努力したのだ。実戦も経験して、他の人達にも教えて貰った。

 何年も前と、同じに考えて欲しくなかった。


 「ならば、教えてやろう」


 先程よりも遥かに早く、カーリアスの突きが飛び込んで来た。

 

 「くっ!」


 咄嗟に身をひねって躱したが、頬の肉を少し持っていかれた。

 捻った先を剣が追撃する。

 これもしゃがんで紙一重で躱す。

 髪の毛が数本持っていかれた。

 そこへ、短剣が迫る。

 サージャは焦って、大きく後ろに飛んだ。


 追撃の気配がない。

 呼吸を整えてカーリアスを見ると、彼はいつの間にか、左手に短剣を持っていた。


 「誰が二刀流を教えたと思っている?」


 カーリアスは最初、サージャに自分と同じ型の二刀流を教えた。しかし、サージャの体格的に剣が合わず、両手共短剣になり、今は円形の刀になった。円の一部が持ち手になっているそれは、左右で挟み込む事で、少ない力でも対象を切断する事ができる。

 突きは出来ないが、体の柔軟性に優れ、力がどうしても成人男性より劣るサージャには、これが丁度良かった。

 踊る様に戦い、如何なる隙にも斬りつけることが出来た。

 無力化させるのは得意だと思っていたのだが。


 この速さでは、無理だ。

 頭を切り替えなければ。


 「すみませんでした。殺す気で行きます」

 「(はな)からそうしろ」


 二人は構え直した。


 隙を伺い、お互い動かない。


 隙が無いなら、作ればいい。

 サージャは、つま先に当っていた石を蹴って飛ばした。

 死角から飛んだそれを、カーリアスは短剣で弾く。

 その一瞬で、サージャはカーリアスの視界から消えた。

 彼女の技は暗殺に秀でている。

 気配を断つのが、誰よりも上手かったからだ。

 だか、その技を教えたのも、カーリアスだ。


 「左後ろ!」


 声と共に振り向きざまに短剣を付き出す。

 ギィンと金属を弾く音がする。


 「チッ!」


 舌打ちは聞こえたが、そこには既にサージャは居ない。


 「上!」


 今度は剣を、頭上に付き出す。

 カーリアスの頭上から迫っていたサージャは、目の前に突き出された剣を、両手の円剣で挟んで弾く。

 弾いた下から短剣が突き出された。サージャはこれを手首ごと蹴り飛ばす。

 短剣は弾かれ、炎の中に飛んで行った。

 両手が弾かれ、前を大きく開いたカーリアスの眼前にサージャは着地。

 直に首を狙って双剣を繰り出す。


 「チィッ!」


 カーリアスは大きく仰け反って回避。

 顎先をサージャの双剣が掠った。血が少しだけ舞う。

 サージャが双剣を戻すより早く、カーリアスが体制を崩したまま右手の剣を振った。

 サージャは転がってそれを回避。

 二人にまた距離が空いた。


 「流石、兄上」

 「お前も、な」


 短く声を掛け合う二人の口は、笑っていた。

 楽しいのだ。殺し合いだと言うのに。

 そんな事は二人には関係なかった。

 恨んだ、憎んだ、悲しんだ、絶望した。

 それらが全て、彼方へ消えていく。

 今は只、全力で。

 戦いの中、研ぎ澄まされた感覚は、次の一手を探る。


 カーリアスが、炎の蛇を繰り出した。

 地面を舐める様に凄まじい速度でサージャに迫る。


 サージャは全力で走って回避。

 しかし、炎の蛇はサージャを追い駆ける。


 サージャは無事な柱を走って登る。

 天井すらも走り抜け、カーリアスの真上へ。


 待っていたとばかりに、カーリアスから短剣が投げ込まれた。

 触れる直前、円剣でカーリアスめがけて弾く。

 カーリアスが回避のために剣を振るうその隙に、カーリアスの背後に着地。


 追う先を見失った蛇は消失した。


 サージャは着地体制のまま、カーリアスに蹴りを見舞う。

 回避の剣を振るっていたカーリアスは右脇腹に深刻なダメージを食らって少し飛んだ。

 脇腹が折れた音がした。


 だが、カーリアスは転ばずに踏み留まる。

 懐に隠していた短剣を左で投げつけ、己の体制を立て直す。

 直後、口から血を吐いた。肺に刺さったらしい。


 サージャは短剣の一撃を、左腕で食らう。

 裂傷の走った左腕は、円剣こそ持てるものの、もうあまり使えなかった。痛みは興奮のためか消失して久しい。そこに、あえて食らう。他の箇所を庇う為に。

 

 「ぐっ!」


 うめき声を上げて、気が付いた。

 血が失われ過ぎていることに。

 このままのペースで戦えば、意思半ばで倒れてしまう。

 危機感がサージャを襲った。

 だが―――


 「これが最後の戦い。そう思って良いですか」

 「これが、最後だ」


 お互いに、ニヤリと笑う。

 遠慮はいらない。死んでも良い。


 だらりと、左腕を垂らしたまま、サージャは構えた。

 カーリアスも構える。


 カーリアスの左手から炎の球が飛び出す。

 サージャは半歩飛んで回避。続けて二発、三発と飛び出す。

 サージャはカーリアスを中心に円を描くように走った。

 一定距離を保ったまま、力切れを待つ。

 十発目、僅かに色の違う球が飛んできた。


 ここだ――


 サージャは方向を転換してカーリアスに向かって走る。

 十一発目はサージャに直撃するが、左手で払うようにして被弾。

 左手はそのまま後方へ弾き飛ばされるが、体制を崩す程の衝撃は無かった。

 肉の焦げる香りが、僅かに鼻先を掠める。

 サージャは勢いを殺されること無く、そのまま突っ込む。


 カーリアスの剣が振られ、左から刃が迫るが、体を回転させて遠心力を足した右の円剣をぶつけて弾く。

 体を急停止させ、鋭く踏み込み、弾いた衝撃で反対に跳ねる円剣を、カーリアスの首に、体重を載せて叩き込む。


 首半ばまで、円剣は食い込んだ。


 そのまま、円剣を振り抜き、カーリアスの横を抜けて残心する。


 「私の勝ちだ、兄上」


 確信して振り向くと、カーリアスは左手で杖を抜いていた。

 サージャに向けて。


 ゴフッと、血を吐いて、前へ倒れ込む。


 杖は、カーリアスの手を離れて、前へ飛ぶ。


 その刹那、サージャは杖から放たれた力をまともに受け、吹っ飛ばされた。


でも、かっこよく書きたいので、頑張って練習します。脳内で再生してます。

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