【chapter0:水連】
これからよろしくお願いします!
完結済みの作品です。手直ししながらゆっくりと投稿していきます。
【chapter0:睡蓮】
踊っている時や子供が無邪気に笑ってくれるときは悲しみを忘れられた。
くるくると回って。転んでみて。すべて演技だ。これもそれも。
足が冷たい。でも踊らなければ。転ばなければ。今日も僕は帽子に放り込まれる銅貨や塵クズの為に血を流しながらピエロとして街を舞う。いつもと同じ空、いつもと同じ外壁のレンガに足をかけ、このまま雲まで登ろうとして、そんで、また転んだ。
レオナルドという国があった。国の真ん中には真っ白な城がそびえ立ちその城周辺が王族層。王族層を囲むように貴族層。次に平民層。そして三層の周りをスラムが囲む、このスラム街が下民層。王族、貴族、平民、スラム、この四層でレオナルドが姿を成している。
レオナルドは何億年の歴史があり、国の政針は王族層の王政だ。
王の決めた法律や条約。また国の歴史などは包み隠さず、貴族層から下民層まで全国民に公表される。がしかし1つだけ例外があった。
王族層から150km離れたスラム街。
そこに2人限りの家族と住む1人の青少年がいた。
王族の『歴史』で唯一国が隠した。“空に見える月と水面に映った月”の様に同じもの、
しかしそれとそれは決して線で繋いではいけない。
儚い。月の輝きも月の形も、水に指を浸せばぼやけて失す。
脆い。人の感情も人の命も、水に指を浸せばぼやけて失す。
唯一語り継がれる詩も知る者はずいぶんと減った。
――それを語ろう。