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人生くじ  作者: 夢の芽
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未体験経験

私の趣味は、ギャンブルだ。といっても、競馬もパチンコもやらないし麻雀なんて配を積むことさえできない。宝くじ、それだけをギャンブルとして認識している。


電車で大学からアパートへ帰る途中、一つ前の座席でスーツ姿の男性2人が企業説明会の感想を疲れたように話している。就職活動を来年に控える私自身としては、多少興味深いものだったが、そんなことより、西日が目に直射していたので遮光幕を下ろしてくれないだろうかと、そればかりに頭が働いていた。


5分程で降車し、改札を出て階段を下る。

正面のバスターミナルを迂回し、信号を渡って商店街に入った先には見慣れた宝くじ売り場がある。


あるはずだった。


いつの間にかそこには別の店が設置されていた。

私が違和感を感じたのは、ほぼ毎日通っていたそれが急に無くなってしまったことではなく、まるで何十年もそこにあったかのような雰囲気が漂っていることだ。


それに店名も似通っている。

「人生くじ」

これは一体何のお店だろう。

興味と不審が6:4程の割合で心の中を満たしている。

おそるおそる近付いて見るとガラス越しに齢80程のおばあちゃんがぼそぼそといらっしゃいと口にした。


何を売ってるのか聞いてもまともに答えてくれない。

というより、買うの?買わないの?としか言ってこない。頭はこくこくと船を漕いでいるように規則的に上下に動いている。


まるで、精巧に作られたロボットのようだ。


少考した後、1回300円という値段から「買います」と答えてしまった。

しわしわのかっぱえびせんのような手から渡されたものはスクラッチのようだった。小銭で銀色の部分をごしごしと削るタイプのくじである。


おばあちゃんは夜寝る前に擦るようにと私に注意をしてきた。

今じゃ駄目なんだ・・・



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