27/195
秋刀魚と私
やっぱ季節もん食わなきゃな、と一匹の秋刀魚を持ち上げる。で、まじまじとその面を見ると秋刀魚がイケメンであることに気付く。そうなるとその場には雌だとか雄だとかちっぽけに思えるのだ。
もし私が海の中のそこらの海産物であったら、間違いなく秋刀魚に惚れているだろう。その尖った口先が「やあ」とパクパクするのだ。私が動かしているんだけどね。
ただ―― 左側ではなく右側を見つめたとき、トキメクとは限らない。何故なら、美味しい身を晒していてくれている面が左だからだ。
ということは、まだ右っ面を向いたままお前を味わったことのない私は、お前の全てを語れない。この魅入る気持ちも半分だけ…
ああ、こんなに左のお前は素晴らしいのに…… おお秋刀魚、秋刀魚秋刀魚、どうしてお前は秋刀魚なの…
ていう、今日の晩御飯の話。




