(•ө•){『エロ河童教』)※前回の続き
『エロ河童教』において、平等などない。教祖様が、侍る女共に平等を作らせるのだから、教祖様は自分に利益をもたらしてくれた人間に「よくやってくれた私には君が必要なんだよ…」と慈悲を与えるだけでいい。
そうしたら、魅惑のフェロモンでやられた女達は「羨ましいわ」とこぞって教祖様のために働くだろう。彼女らが欲しいのは、“褒められたい”だけだ。彼の信頼を得て、エロ河童教内における自分自身の存在を高めるだけである。
あとは、続々と集う新たな信者が先輩信者を見習い、教祖様に忠実であれ、皆と共にあれ、と洗脳されていく。支配しているのは教祖様ではなく、一番に信者となった女ではなく、二番手三番手あたりに違いない。
そして、二番三番では解決できないことを、教祖様含め一番手に相談するのだ。
なろうハーレムに必要なのは、確固たるヒロイン枠――第一夫人の座を作ってやることで、第一夫人の役割が「皆仲良しでありましょう」と囁く強かな女でなければいけないと思う。その女がハーレム内の平等を作り、教祖様の異世界渡りで発散した瞬間の濃縮フェロモンを嗅いでいなければならない。
要するに、イッちゃってる人――
しかし、そんなヤバイ女がいないもんだから、中途半端なハーレムしか描かれてないんだろう。
私の中では『なろうハーレム=エロ河童教』であればベストなんだが、実際はエロになりきれていないイケメンぶってる二枚目、いや三枚目。きっと“自称の万能男”なのだ。
だが、自称では異世界来てんじゃねーよ!な話なので、第一夫人との出会い方が重要だ。それで第一夫人がどういう女かを決める。
例えば、信心深い人間。主人公が信仰している神様とそっくりだったら? 女は、まずその見た目だけで主人公に惹かれ、さらにピンチを神様と同じような力で救ってくれたら?――第一夫人の座は埋まる。
そのために発揮されるのが“イケメン”だ。
見てくれの悪い神様を見たことがあるだろうか? 八百万の神がいるっていうなら難易度が上がってしまうが、一神教ならお安いものだ。
神様に似ている → もしや貴方、神? → ああ神様…なんて神々しい → うっとりの出来上がり。
ハッキリ言って、現実でイケメンと呼ばれる部類となろう主人公を比べるからいけない。主人公は、物語の中で神様に似たイケメンなのだ。勿論、神様でなくても『憧れの君』『死んだ親兄弟』等、女の胸を鷲掴みにするばかりか物語の背景も書いていける能力だ。
あとは、第二第三と続く女には、ゆるキャラ神様から頂いたそのズルっこ能力で圧倒的な差を見せつけ、第一夫人に熱く語らせてやればいい。それには第ニ第三夫人が第一夫人の親友もしくは傾倒気味の女が丁度いい。まあ、何にも接点なくても主人公の“性格の良さ”や“話し上手”を発動させ、第一夫人の包容力を見せてやれ!
そうして列をなす他の女の対応は主人公ではなく第一夫人、教徒が増えたら第二第三夫人におさめさせるのである。
ちなみに、『チート』が何であるかと語るなら、ただ「日本語に訳したらね…」と鼻息ふっかけられたらたまったもんじゃない。
なろう内のエッセイで、「なろうがね…」と口にしたらば『なろうのチート』が何かを知らねばならんのではないか?
『なろうのチート』は、能力そのものではなく、最強の力を地道にレベル上げしなくとも、長く過酷な道を歩まずとも初っ端から楽して手に入れられる環境のことである。…恐らく。
まあ、なんにしてもチートがどうとかハーレムがどうとか言われるのは、それを書いている作者様の能力が足りてないってだけであって、設定が王道じゃないとか皆同じ設定でつまらんとかの問題じゃないと思う。
もし――王道だけの物語が今後流行り出し、王道だらけになったら何て言うのだろう? 「同じ王道設定でつまらない」とでも言うのだろうか……
というか、『王道』って何よ。王道で言い切れる王道なんぞないに等しいと私は思いますし、『流行り=王道』ではなかろうか。
言い切るには、言葉足らずでは?
なんて話。
ついでに、とあるエッセイ作者は、『総愛』設定というものがあることを知らないのだろうか…