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日日是好日。  作者: こさじ
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変人の手前

 ジョジョが好きでね、今は第四部をアニメでやってますでしょ? で、見ていると毎週思い出すことがあるんです。

 第四部の敵である『吉良』が、自分の切った爪を瓶に入れて何指が一番伸びるのが早いとかやってたのを当時―― 小学生だったときに漫画で見まして、「よし自分も何か身体の一部であり、ゴミにいくものを集めよう!」と机に向かいました。

 それで、私が何を瓶に入れようかと迷った結果、“フケ”を観察してやろうと決めました。

 何故、フケにしようと思ったのかと言いますと、毎日毎日、ときには一日に三回くらい洗って、「お湯がもったいないよ!」と怒られるくらい泡を流しているのにフケが出るので、ノイローゼになるんじゃないかと思うほど頭皮チェックをしていたのですよ。

「あんなに洗ったじゃない!」て、毎日鏡の前でポロポロ落ちるフケにイラついてました。

 まあ、原因は使っていたシャンプーが肌に合わなかっただけなんですけどね…自分ってなんて汚い人間なんだろうか!と、頭がおかしくなりそうでした。

 そんで、夜な夜な卓上ライトを頭に向けて、鏡に写った前髪辺りの頭皮にくっついているフケを、進研ゼミでゲットしたピンセットを使い、やさしく剥いでいくのです。

 しかし、髪の毛が生えている部分、まあ穴ね、無理矢理剥ごうとすると裂けて小さな細かいフケしか採取出来ないので、ちょうどヒビが入っている箇所からペリペリっと少しずつ捲るようにとっていきます。それの楽しいこと楽しいこと―― だいぶ大きいものだと範囲が髪の毛三本分くらいで、そこから破かないようにシュルシュル髪の毛からフケを抜いていくのであります。例えるなら……… うん、何も思い浮かばなかったが、そんな日々が約二週間ほど続き、とるだけでは飽きたらず、兄のこれまた進研ゼミでゲットした顕微鏡で覗いていたそんなある日、ふと気付いたのです。


 汚っ!


 瓶の底にさらさらっと溜まったフケ。顕微鏡で見た乾燥具合に毛穴を型どった穴。

 全てに寒気がし、「自分、このまま進んだらおかしくなるかもしれん…」とぼんやり思い、瓶をゴミ箱へと投げ入れて、風呂場に行ってシャンプーのボトルの裏を見た。


『頭皮に異常があった場合は、使用するのをお止めください』


 一つ、大人になりました。


荒川飛呂彦氏『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)

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