16/195
癒し
疲れたときには癒されたい。何に癒しを求めるかは、人それぞれですね。
私の場合は、風呂です。
半分ほど湯を張った湯船に浸かり、縁をつかんでゆっくりと身体を沈ませていく。そして、顔だけを出し、立て膝は胡座にかえて、縁から手を離して足の親指を握る。右手で左足の親指、左手で右足の親指。そんな風に、膝だけが浴槽の底に着いた状態であとはプカプカ浮くのであります。
ドク、ドク、と響く鼓動―― 今にも落ちてきそうな水滴のついた天井をじっと見つめ、ただ浮かぶ。
けれど、たまにそれだけでは癒されず、物足りなさに私は蓋をするのです。息苦しくならないように少しの隙間をあけて、今度は蓋裏を眺めながら、チャプチャプ浮かぶのであります。
そんな、時間とぬるま湯に癒しを感じる私です。