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日日是好日。  作者: こさじ
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トイレに思いを馳せて~

 あー幸せって思うときは人それぞれありまして、それが食べ物であったり、買い物であったり、大好きな人と会ったり……

 でも、大きかったり小さかったり高かったり安かったり、他人と比べて考えられるものではないですよね?


 と、トイレにこもるのが大好きで落ち着く今日であります。

 トイレといっても和式洋式、自宅屋外スーパー友達ん家と様々ありますけども、やっぱり自分の家が一番ですね。特に、我が家の一階のトイレが好きであります。日中は電気を点けなくても、まあ明るい。お気に入りのディフューザーの香りに包まれて尻を拭く、と。

 で、夜中にトイレに行くなら二階です。ちょうど窓の向こうに外灯がありまして、ぼんやり磨りガラス通って便座を照らすのです。

 ええ、そうです。トイレの電気は点けません。外灯で十分です。そのあかりを頼りに思う存分こもります。

 ホラー映画をみたあとは最高で、冷たい便座なら尚イイですね。じわじわと自分の熱であたたまり、うっすらじめっとしてくる感じが、物足りない恐怖を何とか味付けしてくれます。別のエッセイを読んで下さっている方はご存じかもしれませんが、あまりホラー映画で恐怖を感じないので、見終わってすぐに自分家のトイレに入ってフォローしておくんです。

「ああ、便器の中から幽霊が…」

「窓に誰かはりついて…」

「ドアノブをガチャガチャ…」

 恐らく、下は脱いでて身動きとれない、逃げられないって心情が後押ししてくれているのでしょう。それでも、和式に勝るものはないですね。

 私が子供の頃、家のトイレが和式だったんですよ。しかも、ぼっとん便所。いわゆる汲み取り式のトイレでして、その当時のトイレの恐ろしさといったら!

 最高でしたね~

 昼間でも奈落の底かと思えるほどの闇に、何ともいえない臭い。こみ上げる冷気が私の尻を撫で、じんじん痺れる脚。これじゃあ、何かあったらまともに逃げられないじゃないかと不安と期待が入り交じり、私はその家を引っ越すまでの九年間待っていました。が、一度たりともそれは出てきてくれませんでした。白い手がね。

 楽しみにしてたんですけどね~

 起こったことといったら、スリッパを落として母に怒られたことと、いたしていたら汲み取りのおっちゃんが外の蓋を開けたもんだから、いかに静かにトイレから退出するかのひやりとした時間でした。


 トイレ――

 進化し続けているトイレに慣れていく自分。慣れすぎちゃって二度とぼっとん便所で白い手の出待ちは出来ないんだろうなぁ。脚がもたないもん、きっと。


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