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蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第二章 剣と聖
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13-B -完全無欠の霊光-

 光芒(こうぼう)結社


 5階建ての建物。外壁(がいへき)は真っ白に塗装(とそう)されており、入口に神聖(しんせい)な雰囲気が漂(ただよう)う紋章(もんしょう)が掲(かか)げられている。蒼輝(そうき)達は扉(とびら)を開き、中へ入った。真っ白なカウンターにいる受付の真っ白な制服を着た女性と話をする。


受付「いらっしゃいませ。結社への入会をご希望ですか?」


蒼輝「いや…なんか強い人とかいないかなーって…」


 曖昧(あいまい)な返事に、受付の女性は少し困(こま)った表情を浮かべた。


「それなら、このワタクシ…『ペネテンツァ』が適任(てきにん)でしょう?」


 どこから話を聞いていたのか、奥からか細い男インテリ風な男が歩いてくる。光芒結社のものと思われる制服を着ている。男は爬虫類(はちゅうるい)のような眼で品定(しなさだ)めをするかのように蒼輝達を見た。



バサラ「へー、お前さんが一番強いのか? それじゃ俺達に力を貸してくれよ」


ペネテンツァ「君達のような見るからに野蛮(やばん)そうな者に力を貸せと? 光芒結社も舐められたものですね」


 バサラが少しムッとする。しかしペネテンツァは気にせずに言った。


ペネテンツァ「そもそも人に物を頼む態度(たいど)がそれですか? 力を貸してほしいと言うのなら、腕も物足りないのでしょうが…どうやら頭も実力不足のようですね」


蒼輝「やべぇ、スッゲー腹立つ」


勾玉「ここまで言うんだ。実力は確かなのだろうが…」


奈樹「うーん…あまりそうにも見えないけど…」


 小声で言った奈樹の前へ、ペネテンツァは早足で駆け寄る。


ペネテンツァ「今…なんと言いました? 私が強そうにない? 弱そうとでも言うのですか? 結社のものでもないのに?」


奈樹「気に障ったのなら謝(あやま)ります…」


ペネテンツァ「私の実力を知らないのに? 貴方達は私に頼みに来たのでしょう? それなのに、その物の言い方ですか? 私が貴方達の光となり、道を示(しめ)す者になるのかもしれないのですよ? それなのに?」


 長々クドクドとペネテンツァは説教(せっきょう)をしてくる。しかし協力(きょうりょく)してもらうつもりである光芒結社の者なので強く言い返すことは控(ひか)えたかった。だが、奈樹に対して暴言(ぼうげん)まで吐(は)きかねない様子に、蒼輝のイライラが爆発しそうだったが、そこへ声がした。


「その人達…僕の客人なんだ。だから許してあげてくれないかな」


 ペネテンツァはギョッとして、ゆっくり振り返った。そこには肩にまで届きそうなストレートでワンレングスの金髪をした男が、ニコニコと笑って立っていた。

挿絵(By みてみん)


ペネテンツァ「あ…あなたは…! 完全無欠(かんぜんむけつ)のレイ…!」


レイ「せっかく僕が呼んで、ここまで来てくれたんだ。あまり迷惑を掛ける真似は…」


ペネテンツァ「いえいえ、そんなことはしておりません。それでは、私はこれで。お客様、ごゆっくりと」


 ペネテンツァは逃げるように足速(あしばや)に去っていった。その姿が見えなくなるのを確認すると、レイは蒼輝達へ向き直った。


レイ「初めまして…僕の名前はレイ…。『レイ・ハーレット』。先程(さきほど)は同僚(どうりょう)が失礼したね。君は楼黤(ろうあん)王国の王子、バサラだね?」


バサラ「知っていたのか。なら国のことも…」


レイ「あぁ…気の毒(どく)だったね…。しかし王子が生きていたとは驚(おどろ)いたよ。僕の部屋へ案内するから、少し話を聞かせてくれないかな?」


バサラ「俺も光芒結社に…もしかしたらお前さんに話があるかもしれない」


 ニコニコした表情のままレイは頷(うなず)くと、振り返って歩き出す。皆はレイの後ろを歩き出した。真っ白い床と壁。天井の蛍光灯(けいこうとう)の明かりは白では目立ってしまう汚(よご)れさえも消してしまいそうなほど明るかった。

 エレベーターに到着する。全員が乗ったことを確認すると、レイは4階を押した。扉が閉まり、マテリアが安心したかのように小声で話す。


マテリア「今度は優しそうな人です」


奈樹「さっきの人はちょっと面倒(めんどう)臭(くさ)そうな人だった…」


蒼輝「というか面倒だっただろ…危うく手が出るかと思ったぜ」


レイ「クスッ」


 レイに話が聞こえていた。しまった、と思う蒼輝だった。しかし同僚のことを言われているのにも関わらず、表情はニコニコしたままだった。


蒼輝「わ…悪い、別にそんなつもりじゃ…」


レイ「彼は目下には厳(きび)しく、言い過ぎるところがあるからね。見ていられないから知り合いの振りをして割り込んだんだよ」


奈樹「おかげで助かりました。ありがとうございます」


レイ「礼には及ばないよ。僕から用事があっただけだからね。気にしなくていいよ」


 エレベーターが開き、再び歩き出す。レイは歩いた先の二番目の扉を開けた。


バサラ「いい所に住んでるんだな」


 皆は部屋に入る。部屋の中はとても広く、この部屋も白く統一(とういつ)されていた。白い本棚や白い資料棚が多く設(もう)けられている。レイに言われたように白いソファーに腰掛(こしか)けた。レイは冷水機から出した水を全員分用意して白いトレーで白い机へ運び、それぞれの前へ置いた。


奈樹「ちょっと目が痛い…」


蒼輝「まぁ…少しの辛抱(しんぼう)だな…強い奴を仲間に引き入れるチャンスなんだ」


レイ「それって僕のことを言ってるのかな?」


 レイはニコニコして言いながら、向かいのソファーに座った


勾玉「目下に厳しい者を有無(うむ)言わさず退場させたということは…」


マテリア「それだけ強いお方(かた)ということですね…?」


レイ「そうだね。僕がこの光芒結社で一番の実力を持っていると言っていいかな」


蒼輝「マジか! じゃあ早速俺達の仲間に…!」


 蒼輝は嬉(うれ)しそうにして机に身を乗り出しそうになるが、奈樹の小さな手に止められる。


奈樹「まず私達の目的を言わないと…仲間って言われても何のことか…」


レイ「イーバと戦うと言うのかな?」


 全員がハッと驚愕(きょうがく)した表情でレイを見た。


勾玉「なぜ解(わか)った…?」


レイ「浮遊要塞(ふゆうようさい)研究所イーバのE兵器(クリミナル)が楼黤(ろうあん)王国を襲撃(しゅうげき)し、陥落(かんらく)させた。行方不明(ゆくえふめい)だったバサラ王子が光芒結社へ来た。そして仲間を求(もと)めている。これだけ行動で示(しめ)しているんだから答えは簡単さ…。光は真実を照らし出す」


バサラ「見事だな。さすが実力ナンバーワンってところか」


レイ「僕はそんなものじゃないよ」


 ストレートの髪を手で触り、レイはニコニコしながら言った。


レイ「僕は完全無欠。欠点などという闇は存在しない」


蒼輝「…随分(ずいぶん)と自信があるんだな」


レイ「それが光さ。光の代行者(だいこうしゃ)は常に明かりが照らされいる方向を見ている。落胆(らくたん)などしない。希望を抱(いだ)き、求める人の光照らすべき者。君達にとっても例外ではない」


マテリア「それでは…力を貸してくれるということですか?」


レイ「一つだけ条件がある。君達の力を計測(けいそく)させて欲しい」


バサラ「計測?」


 レイはソファー立ち上がり、窓際へ歩いて行く。そして空を見上げた。


レイ「僕も…いや、僕ら光芒結社もイーバを放ってはおけないと感じていたと言うことさ。そこへイーバと対抗しようとするバサラ王子と君達がやってきた。これはきっと運命の巡り合わせだ」


 そう語るとゆっくりと蒼輝達に振り返り、次の言葉を力強く言った。


レイ「僕達で力を合わせ、イーバを打ち倒す」


 蒼輝達はその言葉に勇気づけられた。光芒結社のレイ。完全無欠を自負(じふ)する彼が提示(ていじ)する条件…その計測方法とは…?

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