13-B -完全無欠の霊光-
光芒結社
5階建ての建物。外壁は真っ白に塗装されており、入口に神聖な雰囲気が漂う紋章が掲げられている。蒼輝達は扉を開き、中へ入った。真っ白なカウンターにいる受付の真っ白な制服を着た女性と話をする。
受付「いらっしゃいませ。結社への入会をご希望ですか?」
蒼輝「いや…なんか強い人とかいないかなーって…」
曖昧な返事に、受付の女性は少し困った表情を浮かべた。
「それなら、このワタクシ…『ペネテンツァ』が適任でしょう?」
どこから話を聞いていたのか、奥からか細い男インテリ風な男が歩いてくる。光芒結社のものと思われる制服を着ている。男は爬虫類のような眼で品定めをするかのように蒼輝達を見た。
バサラ「へー、お前さんが一番強いのか? それじゃ俺達に力を貸してくれよ」
ペネテンツァ「君達のような見るからに野蛮そうな者に力を貸せと? 光芒結社も舐められたものですね」
バサラが少しムッとする。しかしペネテンツァは気にせずに言った。
ペネテンツァ「そもそも人に物を頼む態度がそれですか? 力を貸してほしいと言うのなら、腕も物足りないのでしょうが…どうやら頭も実力不足のようですね」
蒼輝「やべぇ、スッゲー腹立つ」
勾玉「ここまで言うんだ。実力は確かなのだろうが…」
奈樹「うーん…あまりそうにも見えないけど…」
小声で言った奈樹の前へ、ペネテンツァは早足で駆け寄る。
ペネテンツァ「今…なんと言いました? 私が強そうにない? 弱そうとでも言うのですか? 結社のものでもないのに?」
奈樹「気に障ったのなら謝ります…」
ペネテンツァ「私の実力を知らないのに? 貴方達は私に頼みに来たのでしょう? それなのに、その物の言い方ですか? 私が貴方達の光となり、道を示す者になるのかもしれないのですよ? それなのに?」
長々クドクドとペネテンツァは説教をしてくる。しかし協力してもらうつもりである光芒結社の者なので強く言い返すことは控えたかった。だが、奈樹に対して暴言まで吐きかねない様子に、蒼輝のイライラが爆発しそうだったが、そこへ声がした。
「その人達…僕の客人なんだ。だから許してあげてくれないかな」
ペネテンツァはギョッとして、ゆっくり振り返った。そこには肩にまで届きそうなストレートでワンレングスの金髪をした男が、ニコニコと笑って立っていた。
ペネテンツァ「あ…あなたは…! 完全無欠のレイ…!」
レイ「せっかく僕が呼んで、ここまで来てくれたんだ。あまり迷惑を掛ける真似は…」
ペネテンツァ「いえいえ、そんなことはしておりません。それでは、私はこれで。お客様、ごゆっくりと」
ペネテンツァは逃げるように足速に去っていった。その姿が見えなくなるのを確認すると、レイは蒼輝達へ向き直った。
レイ「初めまして…僕の名前はレイ…。『レイ・ハーレット』。先程は同僚が失礼したね。君は楼黤王国の王子、バサラだね?」
バサラ「知っていたのか。なら国のことも…」
レイ「あぁ…気の毒だったね…。しかし王子が生きていたとは驚いたよ。僕の部屋へ案内するから、少し話を聞かせてくれないかな?」
バサラ「俺も光芒結社に…もしかしたらお前さんに話があるかもしれない」
ニコニコした表情のままレイは頷くと、振り返って歩き出す。皆はレイの後ろを歩き出した。真っ白い床と壁。天井の蛍光灯の明かりは白では目立ってしまう汚れさえも消してしまいそうなほど明るかった。
エレベーターに到着する。全員が乗ったことを確認すると、レイは4階を押した。扉が閉まり、マテリアが安心したかのように小声で話す。
マテリア「今度は優しそうな人です」
奈樹「さっきの人はちょっと面倒臭そうな人だった…」
蒼輝「というか面倒だっただろ…危うく手が出るかと思ったぜ」
レイ「クスッ」
レイに話が聞こえていた。しまった、と思う蒼輝だった。しかし同僚のことを言われているのにも関わらず、表情はニコニコしたままだった。
蒼輝「わ…悪い、別にそんなつもりじゃ…」
レイ「彼は目下には厳しく、言い過ぎるところがあるからね。見ていられないから知り合いの振りをして割り込んだんだよ」
奈樹「おかげで助かりました。ありがとうございます」
レイ「礼には及ばないよ。僕から用事があっただけだからね。気にしなくていいよ」
エレベーターが開き、再び歩き出す。レイは歩いた先の二番目の扉を開けた。
バサラ「いい所に住んでるんだな」
皆は部屋に入る。部屋の中はとても広く、この部屋も白く統一されていた。白い本棚や白い資料棚が多く設けられている。レイに言われたように白いソファーに腰掛けた。レイは冷水機から出した水を全員分用意して白いトレーで白い机へ運び、それぞれの前へ置いた。
奈樹「ちょっと目が痛い…」
蒼輝「まぁ…少しの辛抱だな…強い奴を仲間に引き入れるチャンスなんだ」
レイ「それって僕のことを言ってるのかな?」
レイはニコニコして言いながら、向かいのソファーに座った
勾玉「目下に厳しい者を有無言わさず退場させたということは…」
マテリア「それだけ強いお方ということですね…?」
レイ「そうだね。僕がこの光芒結社で一番の実力を持っていると言っていいかな」
蒼輝「マジか! じゃあ早速俺達の仲間に…!」
蒼輝は嬉しそうにして机に身を乗り出しそうになるが、奈樹の小さな手に止められる。
奈樹「まず私達の目的を言わないと…仲間って言われても何のことか…」
レイ「イーバと戦うと言うのかな?」
全員がハッと驚愕した表情でレイを見た。
勾玉「なぜ解った…?」
レイ「浮遊要塞研究所イーバのE兵器が楼黤王国を襲撃し、陥落させた。行方不明だったバサラ王子が光芒結社へ来た。そして仲間を求めている。これだけ行動で示しているんだから答えは簡単さ…。光は真実を照らし出す」
バサラ「見事だな。さすが実力ナンバーワンってところか」
レイ「僕はそんなものじゃないよ」
ストレートの髪を手で触り、レイはニコニコしながら言った。
レイ「僕は完全無欠。欠点などという闇は存在しない」
蒼輝「…随分と自信があるんだな」
レイ「それが光さ。光の代行者は常に明かりが照らされいる方向を見ている。落胆などしない。希望を抱き、求める人の光照らすべき者。君達にとっても例外ではない」
マテリア「それでは…力を貸してくれるということですか?」
レイ「一つだけ条件がある。君達の力を計測させて欲しい」
バサラ「計測?」
レイはソファー立ち上がり、窓際へ歩いて行く。そして空を見上げた。
レイ「僕も…いや、僕ら光芒結社もイーバを放ってはおけないと感じていたと言うことさ。そこへイーバと対抗しようとするバサラ王子と君達がやってきた。これはきっと運命の巡り合わせだ」
そう語るとゆっくりと蒼輝達に振り返り、次の言葉を力強く言った。
レイ「僕達で力を合わせ、イーバを打ち倒す」
蒼輝達はその言葉に勇気づけられた。光芒結社のレイ。完全無欠を自負する彼が提示する条件…その計測方法とは…?




