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蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第四章 銀の鎖と空の鏡
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40-C -覚醒の予兆-

 比較的ひかくてきに安全なはなれた位置に居るマテリアのところへと奈樹(なじゅ)を運んだ蒼輝そうき勾玉まがたま、レイ、月花げっか銀楼ぎんろう刹那せつなを救い出すために結界のまわりに立った。


 そこからあらわれるであろう鉱石兵士(ハード・ソルジャー)かまえた。だが……姿を見せることは無かった。

 何故なら……鉱石兵士が出現する以前に、結界が破壊されたからであった。



 ドゴォォォォォォォォン!



 結界がくだけ、中から何かが横向きに一直線に飛び出した!



 それは疾速しっそく

 

 身体が地面に落ちてバウンドし、ゴロゴロところがり30メートルほど先で止まる。


月花「一体……何が……」


 解除された結界の中には刹那が倒れていた。


奈樹「刹那……くっ……」


マテリア「奈樹……動いちゃダメです」


 刹那を心配し、身体を起こそうとする。しかし、痛みが残っているのか動けないでいる。マテリアは無理をさせないように制止する。


月花「刹那ちゃん……一体何が……」


 刹那を抱き起こす。息はしているし、身体は無傷。眠っているようで表情は安らかだった。


勾玉「幹部かんぶの力を模倣(もほう)する……あの疾速を……刹那がこの短時間で、たった一人で倒したというのか……? 信じられん……」


 実際に疾速の模倣イミテーションシステムに苦戦をいられた勾玉。刹那の潜在能力せんざいのうりょく覚醒かくせいか、または偶然ぐうぜん何かが起きて倒せたのか・・・大きな疑問ぎもんいだくことになった。


レイ「後は……風魔だね」


蒼輝「風魔……」



 その時、風魔とダークをつつんでいた闇がまたた膨張ぼうちょうし、はじけとんだ。ダークはきりもみ回転しながら疾速と同じように吹き飛び、疾速より遥かに先、その倍以上の距離を飛んでゆき、都の門の前で倒れる。



 闇が解除され、風魔が背を向けて立っていた。



蒼輝「風魔……!」


 風魔はその声にかえった。


風魔「なんとかなったみたい」


 はにかんだ笑みを見せる風魔。全くの無傷に、蒼輝は驚いていた。


蒼輝「なったみたいって……自分でやったことだろ?」


風魔「いやー、無我夢中むがむちゅうって言うの? 死にたくないと思って必死ひっしにやったら倒せたってカンジかな?」


 頭をポリポリきながら、照れくさそうに言った。


勾玉「何か策があるとは思っていたが……そんな後先あとさきかんがえていない方法とは……あきれた奴だ」


 風魔のことだから、きっと考えがあった結果だと確信しているが、言い訳の下手さに呆れていた。



月花「良かった……皆……無事か……」


銀楼「ケッ、イイ仲間持ってるじゃねぇか。俺の力は必要無かったんじゃねぇか?」


月花「必要だったさ。今も……今までも、これから先も」


 銀楼を見た。その目は信頼。もう敵としてではなく、かつての四使徒(しと)の仲間である者として見ていた。


銀楼「……」


 三日月をさやおさめ、背を向けた。


銀楼「ダークの野郎はブチのめされたんだ。俺のやることは終わった」


 そう言って宮殿の中へと歩いて行く。宮殿の入口のわきに居たマテリアを見た。


マテリア「ひっ……」


銀楼「……」


 おびえるマテリアを見ていた。マテリアは銀楼の闇討ちに合っている。そのことから、恐怖を思い出していた。


銀楼「……おそって悪かったな」


 小さな声で一言。それは謝罪しゃざいの言葉だった。マテリアは呆然ぼうぜんとしたまま、銀楼の背を見ていた。



 都の中心部分付近……倒れていた疾速はゆっくりと身体を起こし、立ち上がった。


疾速「イテテ……なんだってんだ……開錠(かいじょう)とは全然違うあの力は……。ダークの旦那(だんな)は……っと。やられてんじゃん」


 服をパンパンと(はた)き、倒れているダークの元へ歩いた。


ダーク「ククク……ククク……」


 宮殿の門付近……ダークは笑っていた。ボロボロになってうつせに倒れたまま。気味の悪い笑いを繰り返していた。


ダーク「面白いカナァ……ククク……まだ……あんな兵器が……ククク……」


疾速「オイオイ、ダークの旦那……。……こりゃしばらくこのままっぽいな」


 風魔に打ちのめされたダークは、ただただ笑っていた。疾速はダークの腕を(つか)み、ダークに帰還の言葉を言うように催促(さいそく)した。


 そして……。



蒼輝「あれは……!」


 奈樹の元へ来た蒼輝が、都の門の方向へ振り返って見た光。それは月面から飛び立ち、ノスタルジアのある星へと向かっていく光。

 粒子帰還(リターン)。イーバ幹部であるダークと、DDディーディー騎兵士(ナイツ)の疾速がイーバへと帰還したという証。


 侵略者の退避。それはつまり、月の都は完全に守られたということだった。




 こうして……月の都に平和がおとずれた。


 避難ひなんしていた民とウサギ達は元の生活に戻り、都へと戻ってきていた。月の宝具 アーク・オブ・アルテミスでバリアを発生させていたにもかかわらず、都のいたるところが破損(はそん)しており、戦いの激しさが伝わっていた。

 


 蒼輝達はしばらく休憩きゅうけいしていた。それぞれが思い思いに休み、疾速との戦いの後から気を失っている刹那が目覚めるのを待っていた……。奈樹もしばらく動けずにいた。



 そして戦いが終わってから二時間後……皆はアルテミスの玉座の間に集合した。


 玉座の前には、浮遊するアーク・オブ・アルテミスに座るアルテミス。その階段の下に立つのは月花、ルーン、セレーネ、銀楼、ラミア。


アルテミス「生幽界せいゆうかいからの援護えんごのおかげで、月の都を防衛ぼうえいすることが出来できました。アナタ達には感謝かんしゃしています」


 横に並んで整列せいれつする、レイ、風魔、蒼輝、奈樹、刹那、勾玉、マテリア。しと四使徒しとであるルーンが前に出た。


ルーン「感謝する。こっちの能力を解析かいせきされたとなっちゃあ、俺やセレーネだけじゃなんともならなかったかも知れないからな」


セレーネ「協力してくれてありがとう! もう家族みたいなものだねー! これからも、よろしくだよもん!」


 車椅子くるまいすに座り、ニコニコとしているセレーネ。


アルテミス「……銀楼」


銀楼「……」


 アルテミスの言葉に何も言わず、一歩前に出る。


銀楼「俺は自分の目的のために手段をえらばなかった。だからダークの野郎の口車くちぐるまに乗せられ、島で無差別むさべつおそった。月光嗔を(おび)き出すために」


月花「銀楼……」


銀楼「月光嗔コイツが居なくならなければ、俺がこんなことをすることはなかった」


月花「その通りだな……すまない……」


ルーン「けど銀楼も軽率(けいそつ)っつーか単純つーかなぁ……」


銀楼「なんだと!?」


 ルーンに向かって一歩踏み出す。ルーンはルーンなりに、月花をフォローしたつもりであった。


セレーネ「まぁまぁ。こうしてまた皆一緒になったんだからさ。仲良くしよーよ!」


 こうなった時、いつもなだめるのはムードメイカーのセレーネであった。


アルテミス「銀楼はけっして悪ではありません。こうして我々の元へと戻ってきたのですから」


ラミア「銀ちゃんはいい人なの! 許してあげて!」

 

銀楼「……」


 大切な人を想う、ラミアの真剣な懇願(こんがん)。月花は銀楼の前に歩いた。


月花「……」


銀楼「……」


 銀楼の目を見た後、蒼輝達のほうを振り返った。


月花「銀楼は島の皆をおそった。それは事実です。俺もそれを許すつもりはなかった。けど、イーバに立ち向かったのも事実……。それでどうか、銀楼のしたことを許してくれませんか?」


 その発現に対し、蒼輝はすぐさま返事をした。


蒼輝「奈樹を助けるために協力してくれたんだ。むしろ感謝するくらいだ」


勾玉「ダークに解析されていた俺達だけでは、奈樹を救うことは難しかっただろう……」


レイ「悪という闇ではない限り、光を持っている。君の誠意は見せてもらったよ」


 銀楼は月光嗔げっこうしん執着しゅうちゃくしていたところを、その心をダークに利用された。しかし、それは利用されたに過ぎないこと。銀楼は自分の意思で奈樹を助け出し、ダークと戦った。皆も銀楼のおかしたあやまちを水に流した。 


奈樹「銀楼さん、ありがとうございました」


刹那「刹那からも! 奈樹様を助けてくれてありがとお!」


月花「ありがとうございます……」


 月花は頭を下げた。ノスタルジアの皆の心優しさに感謝かんしゃした。


蒼輝「許すに決まってるさ。きっと……カノンなら、そうする」


 ノスタルジアの女神と呼ばれた存在、カノン。島の者達の模範(もはん)的存在。蒼輝の心には、いつになくカノンの心が宿っていた。

 それは、カノンとの思い出が蒼輝自身の暴走を止めたからに違いなかった。


銀楼「……」


ラミア「銀ちゃん! 銀ちゃんからも、何か言わなきゃ!」


 腕にいたくさりをグイグイって、銀楼に催促さいそくする。


銀楼「……」


ラミア「銀ちゃん! ホラホラ!」


銀楼「うるせーぞ! お前のペットじゃねぇんだぞ!」


ラミア「人のことお前って言わないの! メッ」


 まるでペットをしかりつけような様子のラミア。セレーネはクスッと笑っていた。


銀楼「人のことって……人じゃねぇだろ! 悪魔め!」


月花「あ……」


ルーン「悪魔ぁ?」


マテリア「全然気が付かなかったです……」


蒼輝「ラミアって悪魔なのか?」


ラミア「そーだよ! 元々冥幽界に居たんだけど……気付いたら月で迷子になってた! そこを銀ちゃんに助けてもらったんだよ!」


セレーネ「すっごー! 握手してよ! 握手! 悪魔のお友達だなんて初めてー!」


 テンションの上がっているセレーネは、ラミアと握手をした。


勾玉「どうも気が抜けるな……」


風魔「いいんじゃない? せっかく落ち着いたんだし」


 しばらく黙っていた銀楼だったが、重い口を開いた。


銀楼「ったく……。悪かったな。俺が怪我させた他の奴にもあやまっておいてくれ……」


 ラミアの(いきお)いに負けてか、素直に謝った。皆はその言葉に(うなず)いた。


ラミア「よかったね! 銀ちゃん!」


 銀楼の腕にしがみつく。


銀楼「ええぃ! いちいち掴まるな!」


 はなそうとして腕を振るが、ラミアは放れなかった。カチューシャに付けられた紅の鈴の音色が聞こえた。


ルーン「銀楼にも保護者ほごしゃが出来たか。いいこった」


ラミア「もう銀ちゃんには悪いことさせないからね! エヘヘッ」


 銀楼とラミア。二人の様子は、まるで恋人同士のようだった。


勾玉「暑苦あつくるしいものだな……」


ラミア「月の使徒に戻って活躍してね! カッコイイとこ見せてね!」


銀楼「……」


蒼輝「四使徒しとに戻るのか?」


アルテミス「はい。銀楼は月の四使徒に戻ることを許可します。荒らした跡始末もしてもらわなければなりませんからね」


 銀楼が自分のことをババァと呼んだことに対しての罰を(ふく)んでいたが、個人的な理由すぎるので(だま)っていた。


銀楼「……」


ラミア「私も手伝うから安心していいよ!」


ルーン「俺も手伝うぜ、銀」


セレーナ「私は歩けないから……現場監督?」


銀楼「ったく……お人好しもいいところだな……」


 月の四使徒であったリュートの妹、リュラが玉座の間へ入ってきた。


リュラ「転送装置、準備ができました。いつでも起動できます」


蒼輝「そんじゃ……そろそろ帰るか」


奈樹「そうね……。色々ありすぎて、凄く疲れてる……」


ルーン「また観光にでも来てくれ。転送装置のエネルギーの無駄遣いはあんま出来ないけどな」


セレーネ「ドーナツなら、ごちそうするよ!」


アルテミス「月の法具の鍛錬を忘れないように」


奈樹「はい。使いこなせるように毎日練習します」


蒼輝「暗黒剣ルシフェル……。俺……奈樹がやられた後……ヘンな感じになって記憶が無いんだよな……」


 様子を見ていた勾玉は、蒼輝に何も伝えなかった。信じがたい光景であり、蒼輝に話しても信じられないだろうと思ったからだった。

 何かの力に覚醒(かくせい)したかのような恐ろしい力を持っていたのは蒼輝だけではない。以前から何かしら力を隠し持っている風魔……そして、疾速を倒した刹那の力。

 今はまだ不完全かも知れないが、大きな力が覚醒しようとしている予兆(よちょう)を感じていた。


アルテミス「それでは……転送装置まで、お見送りに行きましょう」


 皆は月の都の入口へ歩き出した。その前に蒼輝が発言した。


蒼輝「そうだ、アルテミス様さ……。ちょっと相談があるんだけど」


アルテミス「なんでしょうか?」



 ……―――



 銀楼との戦い、ダークとの死闘を終えたことにより、月の都に平穏が(おとず)れた。




 ……そうして夜のノスタルジアへ帰ってきた一同。転送に使用された月の柱は消え、先程まで月の世界に居たことが(うそ)のような、元通りの生活が戻ることになった。


蒼輝「久しぶりのノスタルジアだぜ……やっぱり落ち着くな」


奈樹「そうね……。私、颯紗(さらさ)に会ってくる」


 自身の帰還を知らせるため、家へ戻る奈樹。皆もそれぞれの帰る家へと歩いて行った。


 奈樹は少し急ぎ足だった。早く、早く自身の無事を知らせたかった。


奈樹「ただいま」


 家の玄関を開ける。声に反応して、すぐさま走ってくる音が聞こえる。


颯紗「奈樹!」


 すぐに出迎(でむか)え、飛びついて抱きついてきた颯紗。


奈樹「颯紗……ただいま」


颯紗「おかえり……奈樹……。よかった……よかった……」


 奈樹の胸で泣いている颯紗。相当な不安だったのだろう。そして戻ってきたという安堵(あんど)。その感情の爆発により泣いてしまったのだろう。

 颯紗の感じていた嫌な予感は、奈樹がダークに粒子化されてしまうような、命の危険を察知していたのかも知れない。


奈樹「大丈夫……大丈夫だから」

 

颯紗「うん……うん……」


 頭を()で、安心させる奈樹。颯紗が泣き止むまで、ずっと(そば)にいた。



 ……―――



蒼輝「オッス、まだ起きてて良かったぜ」


 蒼輝が訪れた家。開いた玄関。そこには金髪の少女と黒豹(くろひょう)


ディアナ「あー! 蒼輝っちゃん! 最近居なかったけど、ドコ行ってたのー?」


蒼輝「まぁ……ちょっと遠くにな」


 アルテミスとの約束。月に行ったことと、ディアナの記憶に関することは内緒にする約束だったので、とりあえず誤魔化(ごまか)した。遠くに行ったと言うことは事実であった。


ディアナ「どうしたの? なんか家まで来るって珍しいね? そうだよね?」


蒼輝「遠くに行ってきたお土産持ってきたんだ。これを(みお)に渡してくれ」


 そう言って蒼輝は手渡した。受け取ったディアナは、なんの変哲(へんてつ)もないソレを見ている。


ディアナ「なにこれー? 手袋? (あった)かくなさそうだよ?」


澪「ディアナちゃん……?」


 タイミング良く、澪が玄関にやってきた。


ディアナ「澪っちゃんにプレゼントだって! ハイ! あっ、でも手袋がダメになっちゃうかな?」


 ニコニコして、澪に手袋を渡した。それは薄く、真っ白な手袋。澪が触れたことで、壊れてしまうのではないかと思った。


ディアナ「あれれ? 手袋平気じゃない? 平気だよね?」


 死神の手を持つ澪が触れても平気な、特殊な手袋に(おどろ)く。


蒼輝「ちょっとした事情でさ、そんなの手に入れたんだ」


 蒼輝は月から帰る前にアルテミスに相談したのだ。澪が触れたモノが死を(むか)える、まるで死神の能力について語った。澪を古くから知っているアルテミスであれば、何とかしてくれると考えた結果だった。

 

 アルテミスは言った。澪の力は、ただの咎力(きゅうりょく)であると。


 蒼輝は、咎力(きゅうりょく)を封じる手袋を(もら)った。装着しなくても外部と内部で咎力(きゅうりょく)遮断(しゃだん)するので、澪の力で手袋が消失することはない。


澪「……」


 そっと手袋を装着した澪。まじまじと自分の手を見ている。


ディアナ「これで澪ちゃんが触っても大丈夫になるの?」


蒼輝「あぁ。これで普通の女の子だ」


澪「ありがとう……」


ディアナ「(ため)しに蒼輝っちゃん触っても大丈夫か確かめていい? いいよね?」


蒼輝「よくねーよ! もしもってこと考えるところだろ!」


 外に出てされた地面の草を触った。その草は枯れることなく無事だった。


ディアナ「これで澪ちゃんが普通に生活できるね!」


蒼輝「良かったな、澪」


澪「……」


 静かに(うなず)(みお)。その表情は、柔らかい微笑(ほほえ)み。蒼輝は安心して、ディアナの家から立ち去った。一瞬だけブラックと目が合った。正体を知った今でもディアナはディアナ。ブラックはブラックとして、今までと変わらない態度でいるつもりだった。


 蒼輝は歩きながら空を見上げた。まるで先程までのやりとりを見ていたかのように、満月が(まぶ)しく輝いていた。



 ……―――


 花の屋敷。その門の前で、芙蓉(ふよう)が座っていた。月花が月へ()った日から……月が出ている日はいつもこうして座っていた。

 家事を済ませて皆が眠って一人になると、(かなら)ず門の前に座っていた。



 芙蓉は、ただただ帰る場所となって待っていた。



芙蓉「……!」


 (うつむ)いていた芙蓉を、影が包んだ。咄嗟(とっさ)に顔を上げた。目に映ったのは、黒。

挿絵(By みてみん)


月花「ただいま、芙蓉さん」


芙蓉「……おかえりなさい」


 記憶を取り戻した月花。月光嗔(げっこうしん)としての、月の四使徒(しと)としての使命感も思い出していた。しかし、月の都から帰還(きかん)した。



 帰ると約束した芙蓉の所に、帰る場所となると言ってくれた芙蓉の所に、最初にやってきた。再会に二人は微笑(ほほえ)んだ。

 


 こうして月が原因となって始まった銀楼の闇討ち。銀楼との都での決着。そしてイーバ幹部であるダークを倒したことで、月の都で発生した問題を全てを解決した。


 (はる)彼方(かなた)先から()す月。それはまるで空に浮かぶ鏡。月の(まばゆ)い光は、まるでノスタルジア全体を見守り、守護しているかのように輝いていた……。


 


 第四十話 -覚醒(かくせい)予兆(よちょう)- End


 蒼咎のシックザール 第四章 完 

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