38 -終戦の音、開戦の闇- あとがき
第三十八話 終戦の音、開戦の闇 終わりました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
月花と銀楼の戦いに決着。月の宝具を使った熾烈な戦闘になりました。
追い詰められた時、不思議な力に覚醒した月花は、新たな氷遊折花紙新式を発動しました。
わかり易いと思いますが、氷雨鶴は月花の幼馴染である八束水 氷雨のこと。
八十七新式は87(はな)。つまり花。花の屋敷の桔梗、桜羅、蓮華、芙蓉をモチーフとした技でした。
島から発った月花が、どれだけ氷雨と花の屋敷の巫女達を思っているのか、月の四使徒である月光嗔ではなく、月花として戦った意志が伝わりますね。
今回の新キャラクターはラミア。銀色の髪をした方向音痴の女性で、種族は悪魔。
月で迷子になっていた所で銀楼と出会い、銀楼の優しさに触れる。銀楼もラミアに悪い想いを抱いておらず、波長が合ったのか短時間で打ち解けていました。
今章のプロローグで鈴の音を響かせて誰かを探していたのは、このラミアでした。
展開的に唐突に登場することになっていたので、あらかじめ登場を予期させるためにプロローグで鈴の音と共に表現しておきました。
ここまで読んでから見れば、プロローグの人物がラミアと分かる、といった状態になってればいいですね。
今回の題名は、月花と銀楼の戦いを終わらせたのはラミアの鈴の音、そして月の大地に現れたイーバ幹部の男 ダーク(闇)という意味でした。
月に現れたダーク……一体どうやって到達したのか……何が目的なのか……それは次回判明するでしょう。
キャラクター&用語 紹介のコーナー
・月詠七星剣
月花の所持している月の宝具。振ることで弦月の形をした斬撃を飛ばす。これは咎力で発生させたものではなく、一時的に具現化した実在する刃である。一定時間、または一定距離で刃は消滅する。
咎力を使うことである程度の操作が出来る他の宝具と違い、刃を具現化させるという特殊な武器であるため、その扱いは段違いに難しい。そのため物に出来たのは創生者であるダイダリオスと、その子である月光嗔だけである。
・聖刀・三日月 邪刀・三日月
銀楼の所持している月の宝具。突きを出すことで、刃は湾曲しながら伸びてゆく。真っ直ぐではなく捻じれながら向かう刃は、相手に軌道を読ませにくくし、距離感を狂わせる。
伸びる速度は目で追えるほどだが、短くなる速度は一瞬。伸ばされた刃の隙を狙って接近しても危険が増すだけである。
銀楼が『聖刀・三日月』を『邪刀・三日月』と呼んで使用していたのは、月の都との決別からと思われていたため、大して気に留められていなかった。
だが、月花との戦いで『聖刀』と『邪刀』の二本を所持していることを明かした。その事実は女神アルテミスすら知らなかった。
・白蛇の銀鎖
銀楼の所持している月の宝具。左腕に巻かれた銀色の鎖は、咎力に対して斥力を発生させる。
銀楼は咎力を使用した戦いが苦手な為、相手に使用された時の対抗策として重宝させている。
ラミアというものは中国の白蛇伝というものの元ネタになっていると言われています。銀楼の使用する宝具に白蛇と名付けたのは、ラミアとの関係性を結びつけるためでした。