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蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第三章 冥幽との邂逅
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27-A -暗躍の交錯-

 冥幽界(めいゆうかい)にてアスモデス四死公(ししこう)と対決した。バサラとマリアはゼパイルを、レイはアシュを下した。月花(げっか)を圧倒したキマイレスは部屋にある、もう一つへの扉へ入っていった。

 バサラ、マリア、レイ、月花はキマイレスの後を追って扉の奥へと進んで行った……。



 グレモリーと戦った奈樹(なじゅ)は、紫闇(しおん)を助けて欲しいと頼まれた。その意思を蒼輝(そうき)と奈樹はグレモリーの部屋から出て、言われた通り四死公の部屋に分かれている十字路の真ん中に立った。


 すると、上から黒い(きり)(おお)われた柱が降りてきて、蒼輝と奈樹にまとわりつく。そのまま浮遊感に包まれ、視界が晴れてゆく…すると、前には大きな広間。その玉座(ぎょくざ)に一人の悪魔が座っていた。

挿絵(By みてみん)

 

アスモデス「まさか人間が、()の前にまで現れるとは思わなかったぞ」


蒼輝「アンタがアスモデスか。わざわざ冥幽界(めいゆうかい)にまで来たんだ。紫闇(しおん)を解放してもらおうか」


アスモデス「何故(なぜ)だ? 紫闇は私が王となるために必要なモノ、(きさき)となるモノだ。手放す気はない」


奈樹「本人の意思を無視して……モノ扱いして無理矢理(むりやり)だなんて…許せない」


 自分自身と照らし合わせたかのように言った。自分が過去に兵器として、自分の意志を無視して戦わされたこと…赤く()まる世界の()(なか)に立っていた過去…。



アスモデス「フッ…所詮(しょせん)は人間。余の考え……紫闇への想いなど理解できまい…。見せてやろう。王となる者の力を…!」


 悪魔特有(あくまとくゆう)重圧感(じゅうあつかん)が蒼輝と奈樹にのしかかってくる…! それは最初に浜辺で対峙(たいじ)した時のゼパイル以上。


蒼輝「くっ…」


 グレモリーの言っていたことを思い出した。アスモデスは、そこまで強大な力を持っていないと。確かに、絶対的(ぜったいてき)(かな)わない相手じゃない気がした。勝機(しょうき)はあると…感じていた。


 

 奈樹は瞬時(しゅんじ)に指先に咎力(きゅうりょく)()めた。今までと違う、無駄のない咎力の(あつか)いだった。親指、人差し指、中指に閃光(せんこう)が走る!


奈樹「トライ・サンダー!」


 三本の雷が発射され、屈折(くっせつ)しながらアスモデスへ襲いかかる! 直撃(ちょくげき)したかのように思えたが、直前でアスモデスから軌道(きどう)がズレ、壁へ当たる!


奈樹「なっ…!」


 壁がガラガラと(くず)れる。独自(どくじ)の軌道で狙いが付けにくい雷術。だが、使い慣れたトライ・サンダーを大きく外すことなんて今まで無かった。そう、外れたのは奈樹が原因ではなかった…。



蒼輝「なっ…!?」


アスモデス「よくやった。流石(さすが)は仲間…いや、『元』仲間の手の内はお見通しと言ったところか?」


奈樹「元…仲間…!?」


 アスモデスの(なな)め後ろの現れたのは、風魔(ふうま)だった。アスモデスの前方に風の竜巻(たつまき)が発生しており、それがトライ・サンダーの軌道をずらしたのだ。


風魔「奈樹…アンタの咎力は今まで何回も見てきた。俺には通用しないよ」


蒼輝「風魔…!? 風魔……どういうことだよ…!?」


奈樹「冥幽界に来て()(さき)に姿が見えないと思っていましたが…まさか悪魔の手先になっていたなんて…」


 二人は風魔の姿に(おどろ)いた。


風魔「前にも言ったことあるはずだよ? 奈樹」


 いつものように『ナッちゃん』と呼ばず、敵意を()き出しにして呼び捨てにしていた。


奈樹「……」


風魔「俺は、金雀児 奈樹と言う、(あお)悪魔(あくま)と戦いたいってね」


アスモデス「それを実現させるために、この者は私の配下(はいか)となったのだ。所詮(しょせん)は人間…(おのれ)の持つ内なる欲望(よくぼう)には勝てん」


風魔「さぁ、戦おうじゃないか…。奈樹。ここでなら幾らでも本気でやり合えるだろ?」


奈樹「風魔さん…! まさか…こんなことが…!」


風魔「夢物語とでも言いたいのかい? それはこっちのセリフさ。魔王に(したが)うだけで、こうやって夢を現実にできたんだからね」


 手を広げ、ニヤリと笑う風魔。その視線の先に奈樹を(とら)えていた。


蒼輝「待てよ風魔…」


風魔「奈樹と戦いたければ…そういうことか? 蒼輝」


 真剣な眼差(まなざ)しで、風魔を直視(ちょくし)する蒼輝。それに対して、不敵(ふてき)な笑みを浮かべる風魔。


風魔「勾玉(まがたま)にさえ……ほぼほぼ勝てない蒼輝が、俺を倒すつもりか?」


奈樹「蒼輝…ここは私に(まか)せて…」


 奈樹は一歩、前へ出る。風魔はフワリと浮き、腕を組んだ。


蒼輝「オイ…!」


奈樹「私が…目を覚まさせてあげます…風魔さん!」


風魔「目を覚ます? 俺はいつだって正気だよ。暴走なんてする奈樹と違ってね」


 奈樹の心をイラつかせるポイントを知っているかのように言った。事実、奈樹の心に少しだけダメージがあった。風魔は手を上に(かざ)した。


風魔「吹き抜けよ豪風(ごうふう)(つど)いて生み出せ風の柱。()手中(しゅちゅう)にて(おお)いなる力となれ」


 詠唱(えいしょう)。それに(たい)して、奈樹は構える。風魔の手に宿(やど)る風の咎力(きゅうりょく)は、徐々に形を変えて大きな(おの)となった。


風魔「風旋斧(ふうせんぷ)・トルネド…」


アスモデス「なかなかの力だ…その小娘を消し去ってしまえ」


風魔「かしこまりました…って、そこを退()いてくれないかな? 蒼輝」


 蒼輝が奈樹を(かば)うようにして、前に立っていた。


蒼輝「風魔…俺はお前と奈樹を戦わせない…!」


風魔「……」


 風魔は冷血(れいけつ)な瞳を蒼輝に向け、躊躇(ちゅうちょ)することなく風旋斧トルネドを頭上に振り上げた……!

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