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蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第三章 冥幽との邂逅
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26-A -四死公-

 紫闇(しおん)奪還(だっかん)するため、冥幽界(めいゆうかい)に乗り込んだ蒼輝(そうき)達。

 だが、勾玉(まがたま)とマテリアを裏切(うらぎ)り、(ろう)投獄(とうごく)することでアスモデスの側近(そっきん)となった風魔(ふうま)

 そして城へ突入(とつにゅう)した奈樹(なじゅ)、バサラとマリア、レイ、月花(げっか)は各部屋でアスモデス四死公(ししこう)との決戦を始めようとしていた…。


挿絵(By みてみん)

ゼパイル「オレ様に一撃でやられたお前に、勝つ可能性があると思っているのかぁ?」


バサラ「やってみればわかるサ」


 ムトから(もら)った冥増輪(めいぞうりん)を腕に付けていることで、身体能力(しんたいのうりょく)が増加している。(おそ)れる表情を見せず、バサラは二本の剣を右手と左手に持ち、(かま)えた。


バサラ「前は準備(じゅんび)周到(しゅうとう)じゃ無かったからな。今回は二本ともあるゼ」


ゼパイル「武器ってのは多く持てば強くなるってモンじゃねぇんだよ」


バサラ「この剣は二本で一対(いっつい)。そして見せてやる…楼黤(ろうあん)の秘技を…!」


ゼパイル「人間の分際(ぶんざい)冥幽界(めいゆうかい)にまで来た(おと)か者め…第四悪魔(フォース・デーモン)ゼパイルの前で、楽に死ねると思うな!」


 手甲(てっこう)を前にし、構えるゼパイル。マリアもバサラのサポートに入るため、ロッドを強く(にぎ)って構える。


ゼパイル「パイル・バレット!」


 バサラへと向けた手甲から鉄の杭を発射する!


バサラ「見えてるゼ」


 最小限(さいしょうげん)の動きで、飛んできた杭を回避する。


ゼパイル「ほう…今のを見切るとは」


 冥増輪(めいぞうりん)によって、動体視力(どうたいしりょく)も上がっていた。バサラは今の攻撃を回避(かいひ)できたことで、これなら何とかなると確信を持てた。


バサラ「借りは返させて(もら)う…! うおおおおおおおおおぉぉぉ!」


 姿勢(しせい)を低く構えて気合を入れ、二本の剣に咎力(きゅうりょく)を注ぎ込む! 剣が形を変え、刀へと変化してゆく…!


バサラ「楼黤(ろうあん)宝刀(ほうとう)手弱女(たおやめ)…そして楼黤宝刀・益荒男(ますらお)…!」


ゼパイル「ハッ…! 形状変化(けいじょうへんか)しただけで、オレ様を倒すつもりか?」


マリア「倒します…バサラと私で…!」


 生幽界(せいゆうかい)でゼパイルの力を知っていながらも、マリアはバサラの後方に立つ。バサラがいるから、一緒に戦うと決意したから怖くは無かった。



挿絵(By みてみん)

レイ「アスモデス四死公のトップの実力を見せてもらおうかな…」


アシュ「いいだろう! 私の美しさに見惚(みほ)れるな!」


 アシュは小剣を地面に突き刺す! 地から薔薇(ばら)(とげ)が生えて来て、剣に巻き付ついてゆく。


アシュ「(われ)(ほこ)りは養分(ようぶん)華麗(かれい)なる姿を顕現(けんげん)させ、冥幽に(くる)()け!」


 小剣が(かがや)き、スーッっと少しずつ浮かび上がる。アシュはその剣を手に取った。


アシュ「ローズ・レイピア 百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」 


 (むらさき)色の薔薇の装飾(そうしょく)(ほどこ)された小剣を構える。


アシュ「純粋(ピュア)悪魔(デーモン)アシュ・タイロークス様の華麗なるワルツ…その目に(きざ)むといい!」


 器用なポーズでレイに剣先を向ける!


レイ「僕も…武器を用意させてもらうよ」


 広げた手の平。そこへ光が発生し、神々しい輝きが集まる。



レイ「天空で鎮座(ちんざ)せし日輪(にちりん)よ。今こそ(すべ)てを照らし、その光で世界を赤く染めるといい」


 頭上に現れた太陽のような球体。それがレイの下に降りてくる。レイはその中に手を入れる。


レイ「赫灼(かくしゃく)(そう) パニッシュ・スピア」


 その球体を握り、横にスライドさせると、一本の赤く輝く槍となった。



挿絵(By みてみん)

キマイレス「どうした? かかって来ないのか?」


 キマイレスはソファーで横になったまま言った。


月花「そんな状態で戦うつもりですか?」


キマイレス「all(オール) right(ライト) all(オール) right(ライト)! 結構結構(けっこうけっこう)。見上げた精神だが、若い内はワイルドに攻めたほうが(みの)りがあるもんだぜ」


 パチパチと拍手(はくしゅ)をするキマイレス。しかし、ソファーから起き上がる様子はない。


月花「戦う気はあるんですか? 無いのなら俺は紫闇(しおん)さんを探しに行きますよ?」


キマイレス「俺を倒さずに、それは助けたってことになるのか? 自分に素直になったほうがいいぜ」


 月花はその言葉を挑発(ちょうはつ)と受け取り、咎力(きゅうりょく)を集めた。


月花「氷遊(ひょうゆう)折花紙(おりがみ)四式(よんしき)手裏剣(しゅりけん)


 月花は10個の手裏剣を飛ばした! キマイレスはコロッと回転しながら背もたれを超えて転がり、ソファーの後部(こうぶ)に降りて回避し、背もたれを蹴飛(けと)ばす! 手裏剣の刺さったソファーが(もう)スピードで月花の頭部へ飛んでくる!


月花「…!」


 (かが)んでギリギリで回避することができた。ソファーは反対側の壁にぶつかり壊れた。もし冥増輪(めいぞうりん)で身体能力が強化されていなけれっば直撃していただろう。そうなっていれば頭蓋骨(ずがいこつ)(くだ)けていた。



 カチャ


キマイレス「all(オール) right(ライト) all(オール) right(ライト)…結構結構。だが、これが実力差だ」


 屈んでいる月下のこめかみに、散弾銃(さんだんじゅう)銃口(じゅうこう)が当てられた。


月花「なっ…!」


キマイレス「恐れず向かってきたことは賞賛(しょうさん)する。しかし、そんなヤワな遠距離攻撃じゃ倒すなんて不可能だ。若い内は、もっと果敢(かかん)に攻める勇気が必要だ」


月花「……!」


キマイレス「第五(フィフス)悪魔(デーモン) キマイレス・ルマット・ランページ。ここの頭で記憶しておきな」


 銃口が、グッと頭に押し当てられた。



挿絵(By みてみん)

 四死公のグレモリーは自身の髪を椅子のようにして座っていた。自分から仕掛けないと何も始まらないと思った奈樹は、一瞬にして手に咎力(きゅうりょく)を溜めた。


奈樹「スターファイア!」


 奈樹は先制攻撃(せんせいこうげき)仕掛(しか)けた! ジャンプして火球をグレモリーへと放つ!


グレモリー「……」


 ゆっくりと立ち上がり、髪は自然な状態に戻る。そして飛んでくる火球に手の(こう)を向ける。火球と手の甲が衝突(しょうとつ)した瞬間(しゅんかん)に、(はら)()けて火球の軌道(きどう)を変える!


 

 ドオオオォォォォォォン! 



 室内の壁が轟音(ごうおん)爆煙(ばくえん)を上げながらガラガラと(くず)れる。奈樹が着地して、グレモリーに向き合う。


グレモリー「お(じょう)ちゃんの咎力(きゅうりょく)、素晴らしいわ……。才能感じちゃう」


奈樹「…片手で(はじ)いておきながら言うセリフですか……?」


グレモリー「これでも第六(シックス)悪魔(デーモン)の階級ですもの……。それにワタクシは咎力の扱いにおいては定評がありますわ」


奈樹「……」


グレモリー「()ねなくてもいいじゃないのぉ。可愛(かわい)いわね。お嬢ちゃんだって素晴らしい力ですわよ? まるで人間じゃないみたい。人間を簡単に殺せそうな力だなんてね」


 話をしながら、グレモリーは髪を自在に動かしている。


奈樹「…!」


グレモリー「けど咎力(きゅうりょく)を溜める速度を重視しているせいで、必要以上に()めすぎてますわ。必要最低限(ひつようさいていげん)の量を調整しなきゃ。少し無駄に使っちゃていますわ」


 髪をフワリと地に付け、再び椅子のようにして座る。


グレモリー「咎力を上手く使えば、今みたいに最小限の力で(はじ)くなんて簡単なのよ? ほら、見ててあげるから……(あせ)らずに溜めてみなさい」


奈樹「挑発のつもりですか…?」


グレモリー「違うわよ? お嬢ちゃんの才能を見越(みこ)して、ここでアドバイスをあげようと思ってるの」


 まるで目的が理解できなかった。しかし奈樹は独特(どくとく)の雰囲気の前に、不意打(ふいう)ちをする気にはなれなかった……。

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