第八話
投稿がずれました、申し訳ございません。
とある日の午前4時にアラームが鳴った。
早朝でまだ辺りが暗く夜明けもまだな時間帯に俺は目を覚ました。
今日は俺はやることがあるために早朝に起きる必要があった。
「さてと、二人が起きる前にやることをやっておかないとな」
俺の今日の用事というのは…俺自身の問題だからできれば林檎と捺葉姉たちを巻き込みたくなかったし、なによりまだVRの空間に慣れていない二人を付き合わせるのは悪いと思ったから…
俺が今日する予定なのは…エリアボスの討伐を考えている、本来ならこのような攻略はソロでするのはあまり容量が良くないのだが…俺はどうしてもソロでボスに挑んで倒せなくても良いからボスの情報を最低限でも二人に持ち帰って簡単に攻略を進めたいからだ。
「さて、ひとまずはエリアで二人が起きてくる前に十分なレベル上げをしてから、エリアの探索をして上手いこと運べれば…ボスの居場所、あるいはボスの情報を手に入れておきたいな」
一応今日の早朝に起きたのにはこのほかにも理由がある。
それは公式サイトや掲示板などで、始まりの町のボスの情報を集めるためでもあったからだ。
そして幾つかの有力になり得そうな情報を手に入れることが出来た。
まず第一にボスを討伐するときにはゲートと呼ばれる境界線のようなものがあり、それを通るとボス専用のエリアに転送される仕組みのようだということ、それとボスはどうやら時間帯が変わるごとに強さが変動するシステムを取り入れているということ、どうやらこのシステムはベーターテストの際に試験として運用した結果良いデータが取れたようでそのシステムをそのまま取り入れたようだ…そしてボスを倒すと次のエリアに繋がるゲートが特別エリア内に出現するということがいまのところ分かった。
つまり、分かりやすく言い表すと…
1.ボスは特別なエリア内に転送されるため…VRMMOで起こりがちだと言われているボス討伐の横取りが起きないということ。
2.ボスの強さは時間帯ごとに変化、変動する?ということ。
3.ボス討伐後に次のエリアに繋がるゲートが出現すること。
いまはこれぐらいの情報しか手に入らなかった、まぁ実際に戦ってもいないため…全部の情報が正しいのかは分からないが…そのための確認でもある。
「情報によると始まりの町のエリアボスはブレイドバードという大型の鷹のようなモンスターがエリアボスだと言われているな」
流石にソロ狩りはキツイだろうな…鷹ってことは空を飛べるってことだよな?…マジでか、勝てる気がしねえ
まぁいまさらグダグダしていても仕方ないので俺はまずは【クロススキルオンライン】にログインすることにした。
「ログイン」
しばらくして、ゲームの中に入るとやはりまだ早朝のためか人が昼間に比べるとかなり少なく感じる。
「よし、とりあえずエリアに出てレベル上げをしてくるか…」
少ないとはいえ完全にプレイヤーがいないわけではないのでその人の間をすり抜けながらエリア外に出るために始まりの町の外に向かって歩き出した。
エリア外に出ると少しばかりまばらにだがプレイヤーの姿がちらほらと見えている。
「こんな早朝でもログインしているプレイヤーも少なからずいるんだな」
だが、俺には関係ないことなので周りのプレイヤーのことは気にしないようにしよう。
「俺は自分のすることをさせてもらうだけだしな」
気のせいか分からないが…周りの視線がこちらを見ているように感じるため…少し気まずい気がする。
「なんか逆にやりずらいな、この時間帯なら人が少ないと思ったから選んだんだけどな…判断をミスしたかな」
と俺が周りの視線を気にしていると近くにいたプレイヤー集団の男プレイヤーがこちらを見ていた。
どうやらパーティーを組んでいるようでⅤRMMOではパーティー行動が基本的らしい、そして【クロススキルオンライン】ではパーティーの最大上限数は6人である。
ギルドなども作れるようでセイントも身内のギルドに所属しているらしい。
そしてこのギルド同士で協力関係を作りパーティーを編成するときには例外として同盟というのが存在しこれを使えば最大6人パーティーなのが編成された同盟に加入すれば最大60人の大規模パーティーを作ることもできるらしい…
そしてよく見てみるとパーティー集団の人数はちょうど5人…もしかして俺を誘おうか迷っているとかなのか?
と想像をした直後に案の定その男プレイヤーが近寄ってきて声をかけてきた。
「あのっ…もしかして一人でしたら、一緒にパーティーを組みませんか?パーティーを組めば経験値が分割されますけど、狩り自体の高率は上がると思うので一緒にどうですか、僕たちこの【クロススキルオンライン】初めてのⅤRゲームで…できれば経験者の方でしたら良ければレクチャーなどしてくれると助かるのですが…どうですかね?」
うーん、確かに初心者のような雰囲気が出てはいるが本当に初心者かどうかなどはこちらでは分からないため、信用しにくい…可哀想だが、レクチャーはしてやるのは危険だな…あとパーティを組むのもあまり俺は望ましくないと思っただから…。
「すまないが、俺もこのゲームは初めてだからあまりうまく説明などができないし、したいことがあってこの時間帯にログインしただけだから、すまないがパーティーの申し出を受けるつもりはないんだ…悪く思わないでほしいんだけど」
相手は本当に初心者だという確信が得られなければ深く関わり合うのは良くないと俺は警戒しようと決めている。
「あ……そうですか、それならしかたないですね…分かりました、もし気が変わったりしましたらこの周辺に居ると思いますので声をかけてくれると嬉しいです」
と言い残して男のプレイヤー少し気落ちしたように集団の中に戻っていった。
「…少し、警戒しすぎたかな…けど信用しすぎるのも良くないからな…」
そして、俺はパーティーのことを一度考えるのをやめて自分のレベル上げを開始した。
そしてもはやお馴染みとなってきているチッキバードやイボキュトラスを倒し続けていた。
「せいっ!!」
俺はかけ声とともに手にしている長剣を横薙ぎに切り払いイボキュトラスの出してきた糸を切ると側面に回り込んだ、そしてライトニングソードを使おうとしたが、近くに居たチッキバードがこちらに向かって突進してきていた。
「っ…!?くそっ…」
俺はイボキュトラスに向かってライトニングソードを使おうとしていたのを中断せざるを得なくなり、仕方なく俺は一度イボキュトラスから距離をとることにした。
「ギュチュチュウ……」
「コケコエェェェ……」
イボキュトラスの方はもう瀕死なため、一撃でも攻撃を当てれれば恐らく倒せるだろう…しかし問題はチッキバードだ、足が速く小回りもきく放っておくと面倒な敵だ。
「先にイボキュトラスを倒したいんだがな…仕方ない、スキルのレベル上げと思えば良いか、『ワルツ・ザ・ナイツ我に忠誠を誓いし騎士達よここに集え!』」
俺はワルツ・ザ・ナイツを発動した。
すると青白い光が出現し、一体の騎士が現れた。
「騎士達よ我が剣となり敵を薙ぎ払え!」
俺が騎士に命令を出すと騎士は俺の思うように動いてくれる…しかしこのスキルは強力な分だけスキルを発動するときにMPを多く消費してしまうそのため今回は最大3体まで召喚出来るのを1体におさえて召喚している。
それでもMPの五分の一を消費するのだからかなり使いにくいスキルなのは使っている本人としてもよくわかる…というか使っているものにしかこの使いにくさは分からないだろうなと俺は思った。
そして俺は騎士にイボキュトラスを任せて俺自身はチッキバードの相手をする。
「この鶏が…さっきはよくも邪魔してくれたな!」
俺がチッキバードに向かって走り出すとちょうどそのタイミングで召喚した騎士が残り少なかったHPのイボキュトラスを倒したようだ…
「ギュチュ…ゥゥ……」
イボキュトラスの断末魔を聞きながら俺はチッキバードに向かってウインドダンスを発動した。
チッキバードが突進をしてくるが俺はウインドダンスの力で操った風でチッキバードの動きを止めることは出来ないが、鈍らせることに成功した…いまはその時間さえあれば十分だった。
召喚していた騎士はもう消滅しているが、チッキバードとの間合いはまだ開いているが、この攻撃を回避すればまた距離が離れて埒があかない
だから俺は練習中である一つのスキルを試してみることにした、実戦ではまだ使ったことがないが、レベル上げをする前にかなり試していたからコツはまだ覚えているはずだ、実戦では慣れるより、慣れろだ!
「うおおおっ!」
俺はチッキバードに向かって走る、チッキバードが目の前に迫る、そしてチッキバードに当たると思った瞬間に俺はシャドウステップを発動した。
シャドウステップを発動した瞬間に俺は瞬時に頭の中でチッキバードの真横に移動することを頭に浮かべた、すると考え終わるとほぼ同時に体が勝手にスキルによる動きで普通なら予測できない動きでチッキバードの真横にすり抜けることに成功していた。
あまりにも今回はうまくいきすぎたため、少し驚いたがこの機会を逃すのはもったいない、俺はすぐにチッキバードが俺の真横を通り抜ける前に倒すため、ライト二ングソードを発動してチッキバードにとどめを刺した。
「ふぅぅ、案外簡単に成功できたな、だがこれが本当にボス戦などで活用できるかは俺の腕次第ってことか」
いましがたさっき掴んだ感覚をもう一度頭の中で思い起こす。
「だが、簡単には会得できそうにないのは確かではあるようだな、このスキルは…」
タイミングがかなりシビアであるし、なにより一つ大きな欠点がこのスキルにはある。
それは、いまは日中で日が照っているがこれが洞窟などや夜などの辺り一面が真っ暗な状態での戦闘となるとあまり機能しないということだ。
俺はまだ行ったことがないが、掲示板の中では第二の町の北側に山があるらしく、そこには古い坑道があるらしくその中でモンスターと戦うことになるらしい。
「どうにかして、このスキルの欠点を補う方法を考えておく必要がありそうだな」
と自分のことを考えていると、ふと気が付いた…
(俺だけ強くなっても意味ないじゃん…)
だが、今回の目的はボスモンスターの下見と情報収集だから、俺が強くなっても別に悪くはないか。
俺はそう結論付けるとボスモンスターの居場所を探すためにエリアの探索に向かうことにした。
しばらくエリアの中を探索していると、ボスゲートらしきものを発見したのだが、行ってみるとかなりの人数の恐らく準攻略組か攻略組と呼ばれるプレイヤーの集団なのだろうパーティーよ思わしき集団が遠目からみても6~8個パーティーがいるように見える。
「まいったな、あんまり人がいないだろうと思っていたんだが、まさかボスの所にプレイヤーが集まっていたからプレイヤーが少なかっただけだったとはな…」
かなり離れているが…この距離からでもかなりのパーティーの数が見えるということはこれからボス討伐をするつもりなのだろう。
俺がそう考えていると見えていたパーティーの半数ほどのメンバーがゲートを通り抜け、ゲートを超えた辺りで白い光の壁のような中に入っていくのが見えた。
まだ見たことも戦ったこともないが、あれだけの大人数のパーティーしかり恐らく同盟でボスの討伐に挑むということはそれなりの強さだということなのか。
「はぁ、これは情報を持ち帰るのも一苦労しそうだな」
俺はこれからのボス戦での苦労を考えて、ため息をそっと吐いていた。
目の前のプレイヤーのパーティー集団が居なくなるのを待ってから俺はゲートに入ろうと考えていた。
もちろん理由はある、流石にボスにソロで挑むプレイヤーなどはあまり多くなくかなり上位の攻略組の人間か実力が桁違いに高い超人クラスのプレイヤーに限られてくるからである。
俺はそのどちらにも属していないため、あまり目立った行動を起こしたくないのが一番の理由だ。
そんなことを考えていると目の前のパーティーの集団がゲートをくぐり白い光の壁に見えていたが、どうやら壁ではなくカーテンや垂れ幕の様な感じの中に入っていっているようだ・
「凄いな、こんな演出もあるのか…っと他のプレイヤーが居なくなったいまがチャンスだし、このまま待って別のプレイヤーが来て入るタイミングを逃すのも嫌だしな、覚悟決めていっちょ行きますか」
そして俺は覚悟を決めてゲートの境界線を越えて、白いカーテンをくぐってボスの居るフィールドに転送された。
次回は始まりの町のボス戦です。
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