第七話
なんとか日曜更新間に合いました。
近い内に新キャラを出す予定ですのでよろしくです。
それから俺とリンリンはセイントに最低限のことを聞いた後に…エリア内でモンスターを倒していた。
「せいっ…や!」
リンリンの放った横一閃が見た目が鶏みたいなモンスターにヒットしてモンスターを倒した。
すると倒したモンスターからアイテムがドロップした。
すると【チッキバードの肉】というアイテムが出てきた。
「なぁ…セイント、こんなアイテムがさっきのモンスターから出てきたんだけど…これって肉だよな…?」
「ん?…あぁそれもVRMMOの特徴でもあるアイテムドロップだな…基本的にモンスターを、倒すとその倒したモンスターからアイテムがドロップすることがある…まぁお前もドラ〇エとかでアイテムドロップなんかは体験してるだろ?それのVRMMO版だと思ってくれれば良い…それでそのアイテム【チッキバードの肉】ってアイテムがドロップしたってことだな…まぁ普通に肉だ、俺の感想としてはそこそこ美味いと思ったからいらないなら貰うぞ?」
へぇ…これがアイテムドロップか、VRだと初めてではないけど、VRFPSとは全然見た目もドロップの仕方も違うからなんか変な違和感があるなぁ
「この肉そんなに美味いのか?…あんまり美味そうには見えないんだが…」
アイテム欄を覗いて見ると確かに【チッキバードの肉】というアイテムが俺のアイテム欄の中に納まっているが…
「私も…あんまり美味しそうには見えないんですけど…」
どうやらリンリンも同意見のようだった…
「まぁ最初は抵抗あるかもしれないな…まぁけど流石に俺もそのまま齧ったりはできないけどな…けど焼き鳥とかにしてもらうとかなり美味いから一回やってみると良いぜ?」
セイントはそう話しながら近くにいたチッキバードを倒していた。
「うーん、まぁセイントがそこまで言うなら調理したら美味いのかもしれないな…セイントを見るに見つけたら倒してるみたいだし…」
「そぉりゃ…っ…!」
ゴゲケケェ……
セイントの容赦のない兜割りでチッキバードの断末魔が俺とリンリンの耳に届いてきた。
「お、お兄ちゃん…なんかアレだとあの鶏さんが可哀想だよ…」
自分で鶏を倒しているにも関わらずリンリンはどうやらさっきセイントに倒された鶏の断末魔を聞いてか悲しそうな顔している…いや、でもリンリンもさっきその鶏を倒してたでしょ…とは俺もリンリンの悲しそうな顔を見ると流石に言えなかった。
しかし、結局そんな事も言ってられず、セイントが「おーい、何ぼーっとしてるんだよ…俺はお前らの為に付き合ってやってるんだぞ?」と言ってきた。
「あぁ…悪いちょっとな」
付き合ってもらってる手前悪いと思ったからすぐにセイントのところに向かうことにした。
「よし、リンリン行くぞ?」
「うん、分かったよ!お兄ちゃん」
そばで鶏を憐れんでいたリンリンに声をかけてからセイントのいるところに歩いて行く。
それからはあまり手間取らず俺もリンリンもすぐに慣れてき始めてレベルも今日1日で俺とリンリンはレベルが5まで上がっていた。
「よし、これぐらい教えればもう基本的には大丈夫だろ」
セイントが満足そうにそう言ってくれたため、今日は解散の流れに移って行ったが…
「ありがとな…セイント、お前のおかげで俺もリンリンもようやく慣れてきたよ」
「そんなことないさ…お前は最初の時点で…もうこの世界に慣れてきてたんだろ?前の頃のシグと同じ様な雰囲気が流れてるのを会った時に感じたぞ?」
セイントが俺にはお見通しだぞ?といった風の感じで俺をチラリと目線だけ動かして見てきた。
「……やっぱり、お前には隠せそうにないな、そうだな…俺も無意識のうちに久しぶりにこの世界に戻って来て昔の感覚が疼いて仕方ないみたいなんだよ…最初は自分でも分からなかったんだけどな…おそらくリンリン達の影響なのかもしれないな…」
「前のお前に何が合ってこの世界から居なくなったのかは俺には知るよしもないが…お前がまた、戻って来てくれて俺は凄い……嬉しかったぜ?……そうだな、それならこれからは別行動になるかもしれないな…俺はこのゲームを一緒に前のVRMMOのギルドメンバーと始めてるから…そうだ、お前とリンリンちゃんも俺のギルドに入らないか?…まぁ無理にとは言わないが…」
セイントが俺達の事を思ってかギルドに誘ってくれたのだが…俺はあまりこのままおんぶに抱っこもどうかと思ってるし…何よりセイントとは昔は互いに腕を競い合った同士だから、折角だからこの世界でも前のVRFPSと同じように競い合いたいという思いが俺には出来ていたから…
「セイント…それは確かにありがたいけど…流石にやめておくよ、これだけ教えてもらったし、これ以上おんぶに抱っこだとな……だから、これからは昔みたいに競い合うライバルであり仲間でもある関係でいないか?」
俺がそう提案するとセイントはいまの俺からそんな言葉が出てくるとは予測できてなかったらしく…しばらく呆然としていたが、セイントにも思うところがあったのだろう…苦笑紛れに俺の肩に手を置いて「お前らしい提案だな…」と言い残し納得がいった顔をして一足先に町に戻るために帰還水晶というアイテムを使用して青い光の中に消えた。
「ふぅ…さぁ、これからが大変だな…」
離れたところで休憩しているリンリンに聞こえないぐらいの声で零した独り言を聞く者は居なかった。
それから俺とリンリンはセイントと別れた後にまだしばらくエリアに留まり続けてレベル上げをしていた。
「ふっ…せいっ!」
「やぁぁっー!!」
大体この始まりの町の周辺のマップやモンスターの種類は把握できるくらいにはエリアの中を探索し、手頃な採取エリアと思われる場所で少なからずアイテムなども手に入れて順調に進んでいた。
「ギュキュッー!?」
そのモンスターの中の一体である見た目が芋虫の様なモンスター【イボキュトラスト】を倒していた。
見た目はまんま芋虫にそっくりであるが…周りの絵柄?というか模様に色々な種類があるようでさっき倒したのはまだら模様だったのに今回のは薄緑と赤い斑点といった風に模様が違う…まぁ何か理由があるのか分からないが…いまは気にしないようにする。
「いやぁぁぁぁ…気持ち悪いよぉぉー」
と、リンリンがイボキュトラストにライトニングソードを連打している…なんか辺り一面にイボキュトラストの体液の様な物が飛び散っている様を見ているとなんだか…自分の妹がサディストに目覚めたのではないかと不安になってしまう…まぁリンリンは虫系が大の苦手だから仕方ないのだろうけどな…
そんなことを考えていると…イボキュトラスが青白い光になって消滅したところだった。
俺が、倒したと思った瞬間にリンリンが目に涙を溜めたままこちらに向かって駆け寄って来たかと思いきや…その勢いのまま俺に泣きついてきた。
「うえぇぇぇん…気持ち悪かったよぉぉぉ…あんな気持ち悪い生き物がいると思うと…うえぇぇ…夢に出てきそうだよ……」
俺は虫だから見た目がアレなのは仕方ないと割り切れる方だけど…虫系の生き物が大の苦手なリンリンは虫だと認識すると生理的に受け入れることを体が拒んでいるのかもしれないな……
あまりにもリンリンが泣きじゃくるものだから…しばらくその場から動くことが出来なかったのは深くは言わないでおこう…。
そして、泣きじゃくるのを止めたかと思えば今度はいつの間にか俺にもたれかかり静かな寝息を立て始めているし…
「はぁぁ…これからこのゲームをやっていくからにはこの先…虫系統のモンスターがあまり出てこないことを祈るしかないか…」
俺はそのことを俺の隣で静かに寝息を立てる妹のリンリンを眺めながら考えていた。
「うーん…起きそうにないんだよなぁ…どうするかな…もしモンスターなんかに襲われたら危ないよな…」
しばらくリンリンを起こすか起こさまいか悩んだが…リンリンをあらためて見てみると…明らかに無防備で警戒心の欠片もなく幸せそうな…寝顔である…。
「はぁ…仕方ないか、これは流石に起こすと可哀想だ」
よほど疲れていたのかリンリンはすぐに起きる気配がしないため、俺はしぶしぶ溜め息を吐きながらリンリンを俗に言うお姫様抱っこして近くのセーフティフィールドに運んだ。
セーフティフィールドはエリア内にあるモンスターからは見えない場所のことで、この中に入るとモンスターから見えないだけでなく…減少している体力を回復ポーションには劣るが、少しずつ回復していくし、このフィールドの中では攻撃することはできず…PKなどをされることもないとセイントは言っていた。
実際に入ってみたがあまり変化はないと感じたから内心半信半疑だったのだが…メニューからステータス画面を開いた瞬間にその疑念は呆気なく吹き飛んだ。
「なんともご丁寧なことだな…」
俺の見たステータス画面にはなんとしっかりと《セーフティフィールド内です》という表記が出てきていたのだ…しかもHPバーをよーく観察していると確かに体力が回復している。
試しに攻撃が本当に出来ないのかが気になってしまい、結局攻撃に関しても確認してみた。
剣を抜刀し思い切り振り抜こうとした瞬間に見えない障壁のようなものが目の前に出現し、攻撃を弾かれた…どうやら障壁によって攻撃を強制的にキャンセルされるみたいだ。
それから気になることを片っ端から確認し終えた後。
「これは、どうやら信用して良さそうだな…」
流石にここまできちんと対応されているということはこのセーフティフィールドは安全地帯と認識して良いみたいだな…つまり、これからエリアを進む時にはなるべくセーフティフィールドの位置を確認しておく必要があるということも視野に入れておかないといけないかもな…
「…ん、ぅぅ…ん…うーん…?…?」
しかしそんな俺の思考もリンリンが起きたため、頭の隅にひとまず置くことにした…やはりかなり多くの検証、もとい確認をしていたため、その音などで眠りについていたリンリンを起こす形になってしまったようだ…反省反省。
「んー…っ、お兄ちゃん?いまなんじ〜?」
リンリンはまだ微睡みの中にいるみたいで寝ぼけ眼の様な状態の半目で俺に聞いてきた。
「ん?いまはちょうど3時半だな…セイントと別れたのがちょうど12時頃だったはずだから、あれからもう3時間も経っていたらしいな…少し遅くなったけど…一旦落ちて昼ごはんにでもしようか…」
「わーい…やった…ご飯だ、ご飯だ…」
さっきまではあんなに眠そうな顔をしていたのにもかかわらずご飯と聞くとこの豹変ぶりである…泣いて寝て疲れてお腹も空いていたのだろうあ…
「分かったから、早く落ちてリビングに降りてこいよ?俺は先に行ってご飯の用意しておくから…」
「はーい…といっても私ももう今日は疲れたから落ちるつもりだから…大丈夫だよ」
そして、俺とリンリンは今日は町に帰って落ちることにした。
一足先にログアウトした俺は、リビングにある台所に向かいながらいつものように献立を考えていると、リビングでは捺葉姉がテレビを見てケラケラと笑っていた。
「捺葉姉…ログインして来ないと思ったら…ずっとここに居たの?」
すると、コタツの中からバラエティ番組を見ていた捺葉姉さんが笑いすぎたのか、目にまだ涙を若干溜めたまま振り返って…
「うん、そうだよ?今日は見たかった昼ドラがあったしね!それからログインしようかなとも思ったんだけど暇だからテレビのチャンネル回してたらさ…この番組に辿りついてさ…そしたらこの番組がすっごく面白くてさ…ほら見てよこの人!見た目がすっごいユーモアあると思わない?」
捺葉姉はそう熱く語りながら、テレビに夢中になっているようだ…
まぁとりあえず献立を決めかねていた俺は、まだ林檎が降りてきてないから先に捺葉姉に食べたい料理を聞くことにした。
「捺葉姉?何かいま食べたいものってある?これから晩少し遅い昼ごはんを作るつもりなんだけど…リクエストを聞こうと思ってさ」
「んん?あぁ私はもう夕君が作ってくれたベーコンステーキを食べてるから、林ちゃんが食べたいって言ったもので良いよ?だから林ちゃんのリクエストを聞いてあげてね」
すると捺葉姉にそう言われたから林檎が降りてくるのを俺は捺葉姉とコタツでバラエティー番組を見て待つことにした。
それから林檎が降りてきたのはもうバラエティー番組がちょうど終わる頃だった。
「おっ?林檎、やっと降りてきたか…これから昼ごはん作るつもりなんだけど食べたいものってある?一応リクエストを聞いとこうと思ってな…何かあるか?」
俺は捺葉姉に聞いたことと同じ質問を林檎にも聞いた。
「うーん…それなら久しぶりにお兄ちゃんの作る手作りハンバーグとコロッケが食べたいかな?お兄ちゃんの作るハンバーグはジューシーで大好きだから……えへへっ」
すると林檎はすぐにハンバーグとコロッケをリクエストしてくれた、あまり悩むようなら俺から提案しようとも思っていたのだが…林檎がリクエストするのなら大抵林檎は自分の食べたいものをハッキリと言ってくれるからこう言うリクエストを聞こうと思う時は優柔不断の捺葉姉よりも林檎の方が頼りにもなるし…迷わないで良いから助かっている。
それにいつもは謙虚な林檎もご飯の時になるといつもよく意見やリクエストをしてくれるから…献立を考えるのが簡単だから素直に嬉しい。
「よし、分かった…それじゃあハンバーグとコロッケで良いんだな?」
俺が最終確認をすると林檎も捺葉姉も「うん、」「良いよぉ〜」と肯定してくれたから早速台所に向かってコロッケとハンバーグをベースに献立を考えていくことにした。
そして、ハンバーグとコロッケ、それに野菜サラダと味噌汁の定食の様な献立に決定して3人で仲良く談笑しながら名付けるなら…ハンバーグ&コロッケ定食?を食べて俺は洗い物などを終わらせた後に明日試したいことがあるため2人より先に風呂に入り一足先に1日を終えた。
誤字脱字、感想、改善点、応援よろしくお願いします。