第一話
なんとか予定通りに日曜日に投稿出来ました
これからも頑張って書いていくつもりですので、応援の程をよろしくお願いします。
今日は林檎の買い物に一日中連れ回される羽目となり、家に帰宅出来た頃には外がもう夕暮れ時から日没目前といった感じだった。
「ただいまー」
「ただいま…」
と帰宅したことを家の住人に伝えた後に林檎の買い物ついでに買ってきた食料品や調味料をリビングのテーブルに放置したところで、俺の体が限界を知らせてきた。
ぐったりと疲れた体をリビングに投げ捨てて今日一日の疲れを少しでも取り除くために全身の力を抜いてただ床に倒れていると…
「あれっ?夕君が買い物行くなんて珍しいじゃない」
今日の専門学校の模試が終わって帰っていたのか、捺葉姉が倒れた俺の体をツンツンと突っついてくる。
「仕方なかったんだよ…特に今日は予定無かったし…林檎の買い物行くの付き合ったから、そのついでに台所の食料品と調味料を買ってきたらこの時間帯になったってわけ」
俺が無気力に脱力しきったままそう返事を返すと捺葉姉は「そうか、そうか。」とケラケラ笑っていた。
そして、俺をいじるのが大好きなこの人は時雨 捺葉、俺と林檎の姉で、特に何故か俺をいじるのが大好物な俺にとってははた迷惑極まりない…奇想天外な姉である。
「それじゃ…ここの荷物冷蔵庫入れとくよ?」
たが、なんだかんだで優しい性格なので、ちゃんとお姉さんポジションをキープしているところは素直にありがたい。
「うん、大きい袋の中身は冷蔵庫の空いてるところにでも入れといて!」
「はーいよー」
そろそろ気力も回復したし、晩御飯の用意でもしないとな。
「捺葉姉?今日晩御飯は何か食べて来たの?」
時々捺葉姉は帰りに外食をして帰って来る日があるから、晩御飯を作る前に聞いておかなければ…。
「今日はすぐに帰って来たから食べてないよ?と言うよりは夕君の晩御飯が食べたかっただけなんだよねぇ〜」
俺の顔をジロジロ見た後に全身を舐め回す様に眺めながら言われるとかなりこっちは怖いんですが……
「うん、じゃあ捺葉姉の分も作るから待っててね」
これ以上この空気に耐えられる自信が俺には無いので本題に戻して晩御飯を作るために台所に避難するとしよう。
「おーそれじゃあよろしくねぇ〜期待してるよ!」
捺葉姉はそれだけ言うと俺をいじるのに満足したのか、こたつに入って静かにテレビを見ている林檎の方に歩み寄っていった、しかも林檎にばれないように忍び足で…その一部始終を俺は見ていたのだが…(すまん…林檎、俺には止めることなんか出来ないのだから…)と心の中でこの後に俺と同じか、それ以上のいじりが行われるであろう…林檎を哀れに思いながらも俺は3人分の晩御飯の準備を始めるのだった。
もちろん、この後に林檎が晩御飯の前に捺葉姉にこちょこちょ地獄にあっていたのを林檎のために一応伝えておく。
今日の晩御飯は寒くなってきたために、体が温まる鍋にしようか、シチューにしようか迷ったが最終的に捺葉姉がそれなりの量を食べるから結局は鍋でチゲ鍋にした。
「はい、捺葉姉、林檎、お待たせ…!今日は体が温まるチゲ鍋にしてみたよ?辛さは一応林檎のために控えめだから捺葉姉は辛さが物足りないなら自分で七味でも入れて調節してね?」
「あいあい…オッケーだよ夕君!!」
「お兄ちゃん、ありがとう」
鍋をリビングにあるデカいテーブルに置いて暖房のスイッチを入れて、こたつに入っている林檎と捺葉姉に声を掛ける。
それからしばらくは他愛もない雑談をしながら皆でチゲ鍋をつつき合っていたが…ここで、捺葉姉に林檎がVRMMOの最新作を買うためにお金が足りないかもしれないから借りても大丈夫か聞くのを忘れていたのに気がついた。
「そう言えば、捺葉姉?林檎が来月に発売されるVRゲームを俺と一緒にする予定なんだけど…こないだ捺葉姉と買い物行った時に使い過ぎたらしくて、借りたいらしいんだけど、大丈夫かな?」
「あっ!そうだった…すっかりチゲ鍋で忘れてた、お姉ちゃんダメかな?」
俺と林檎2人から頼られるように見つめられた捺葉姉は…
「まぁ…あれだけ買っちゃったからね…でも、女の子の身だしなみにはお金が掛かるものだから、良いよぉ…貸すんじゃなくて…出してあげるよ、2人分ね!」
「えっ?本当に!?お姉ちゃん大好き〜」
ごくごくあっさりと貸してくれるじゃなくて出してあげるなんて凄い事を簡単にポロっと言ってのけた。
「でも、捺葉姉?なんで俺の分も出してくれるの?」
だが、何故お金が無い林檎だけじゃなく俺も出してもらえるのか…気になったので聞いてみると。
「うん?あー夕君は今日こんな美味しい鍋をご馳走してくれたし、後は今度は林ちゃんじゃなく私の買い物にも付き合ってね?って意味も含めて私の奢りだよ!」
この日は捺葉姉に俺と林檎はとても感謝して、皆でチゲ鍋を食べて盛り上がった。
_____翌日午前7時20分
今日も朝の日課のランニングをした後にシャワーを浴びて朝食を適当に作って食べる。
昨日と違って今日は俺は大学の授業と言うか…自習?に近いだろう大学の講習を受けに来ていた。
内容は授業と大層なことを言ってはいるが、中身はただ単に同じ講習を受けに来ている人と雑談したりゲームをしたりと完全に授業と言えるものじゃないが…講師の先生がちゃんとレポートや提出物を出していれば来週からの長期休み…つまり冬休みに入るまでこの授業中ならゲームをしても雑談しても良いと言っているのだからもうなんでもありである…だけど、その辺が生徒から高い支持率を得ているのかもしれないのだけれど…それにしても本当に緩いとは聞いていたが、ここまで緩いとは想像もしていなかった。
今年の始めにこの講習を取って正解だったなと内心で凄く自分の判断に感謝していると。
「よう!時雨っち」
早速俺と一緒にこの大学に偶然進学が一致したため、中学の頃から気が合う俺の親友とも呼べる奴が話かけてきた。
「うーす!拓也、おはよう」
こいつの名前は天條 拓也、中学2年で知り合って以来から暇な日などを過ごした仲である。
「時雨っち俺ら来週から冬休みじゃんか?」
「そうだな…けど、冬休みがどうかしたのか?」
「一緒にまたVRゲームやらね?来月にさぁ面白そうなVRゲームの最新作が出るんだよ…なんなら1人でやるよりは時雨っちとやった方が楽しいと思ってな、どうだ?」
VRゲームの最新作なぁ……って来月発売の最新作って…もしかして拓也が言ってるのは……
「来月発売の最新作って【クロススキルオンライン】じゃないのか?VRMMOの最新作だろ?」
俺が予想を言ってみただけなのに拓也はありえないって顔をして頷いた。
「あれ〜?なんだよ時雨っち…もうリサーチ済みなのかよ…それなら話は早いや!…なぁ時雨っち!一緒にしようぜ!」
拓也は俺が知らないと思っていたらしくかなり驚いていたが、俺はもう昨日の段階で林檎に誘われていたため、知っていた。
「リサーチ済みというか、妹の林檎が一緒にしようよ?って誘ってきたから知ってただけだがな……まぁ、そうだなやるなら知ってる奴が多い方が良いし…良いぜ!」
拓也とはよく遊んでたし、俺がVRFPSを始めたきっかけとなったのも、拓也に高校の頃に一緒にしないか?と誘われたのが理由だし、拓也は基本VRゲーム全般を徘徊しているから俺の手を出していないゲームなどもやっているし特にVRFPSとVRMMOはかなりの自信を持っているみたいだ…俺もVRFPSでは敵同士になると勝ったことがないのも事実だし。
「よっしゃ、決まりな!それじゃ正式サービスの日にチャットでもフレンド通話でもなんでも良いから連絡くれよ」
「おう、りょーかいだ、あれ?拓也は今日の講習はこれで終わりなのか?」
拓也がチャイム5分前になったくらいから、帰り支度をし始めたため、気になって聞いてみると、かなりニヤけた顔で…
「俺は今日で冬休み前の講習はこれが最後だからな」
と言ってきた。
「え?嘘だろ!?」
俺は本気で驚いたが、そういえば…よくよく考えてみると俺が帰る頃はまだ拓也は学校に残っていたことが多かった気がする、まさか講習を早めに済ませて休みを早くするために残っていたなんて想像も出来なかった。
「いやいや、早めに講習は終わらせた方が気が楽ってね」
拓也は俺にそう言い残すと「じゃあなー!」とチャイムが鳴った瞬間に速攻で帰って行った。
「畜生、拓也の奴…こういう時だけ行動力が凄いから感心するぜ…」
俺は後、明日に講習を2時間と今日の残りの講習が1時間、
あるから冬休みまでは余裕なのだが…わざわざ2回も学校に来なければならないのが…少しめんどくさい。
「まぁ、ぐだぐだ言っても仕方ないしな…」
と1人ぼやきながらも次の講習の準備をし始める。
次の講習は少々めんどくさい先生が担当なのであまり気が進まないが、これも単位のためと割り切ってするしかない。
チャイムが鳴り、友達同士で話し合っていた輪が一斉に自分が座る位置に戻っていくのは、見ている側としては蜘蛛の子を散らすように見えて妙におかしく見えた。
「えー、それでは…前回の続きの………」
そして講習が始まり、先生が前回やったところの復習を兼ねて説明をしたりしているのを聞きながら、提出するレポートにペンを走らせていると…突然携帯が振動し出した…マナーモードにしているために、着信音は鳴らないが、携帯が着信だよっと振動して知らせるため、渋々誰からの着信か確認すると…発信者はこの時間帯に電話してくるのは珍しい捺葉姉からだった、だが、流石に今すぐに出るわけにはいかないので、メールで…〔いまは講習中また、後にしてくれ〕とだけ、送って講習に集中することにした。
_____そして、単語がまるで呪文のような1時間の講習が終わり学校を出て家への帰宅ルートを歩きながら捺葉姉に電話を掛けた。
あの時間帯に電話してくるのはあまりに珍しかったから予想以上に気になってしまったからだろう。
数回コール音がした後にすぐに捺葉姉は電話に出た。
「あー夕君?ごめんねぇ?講習中だったんでしょ?ごめんごめん」
捺葉姉がタイミングの悪かった事を謝ってくれたが、いまはそれよりも、どんな用で掛けてきたのかが気になってしょうがない。
「うん、別にそれは良いんだけど?あんな時間帯にどうしたの?何かあったの?」
と帰宅ルートを歩きながら電話越しに捺葉姉に聞くと…
「あーそうそう、私達の家にさVR装置だっけ?確かあったよね〜?」
VR装置?そりゃ、あるでしょ?なんせ俺はVRゲームする時に使ってるし、林檎は家内のVR装置にスピーカーを繋げて音楽聴いたりしてるし…でもなんでVR装置のことなんか聞くんだろう?
「うん、VR装置ならあるよ?林檎が音楽聴いたりする時に繋げてるし、俺は前までVRゲームのために使ってたから普通にあるよ?でもいきなりVR装置なんて聞いてどうしたの?」
捺葉姉は基本的に家事全般が出来るし、あまりVR装置に頼ったりしていないために俺達の家には無いと思っていたのかな?と俺が考えていると…捺葉姉が…
「昨日話してたVRゲームの最新作ってやつあったじゃない〜?林檎と一緒に始めるつもりって言ってたやつ…確か〜」
「あぁ、クロススキルオンラインの事だよね?」
捺葉姉がもう準備をしてくれるつもりなのかな?と思っていると、俺の考えをさらに大きく飛び越えれる返事が返ってきた。
「そうそう!それやっぱり、林ちゃんと夕君が一緒にするんだから私も一緒に始めようと思ったから…夕君に伝えておこうと思って、連絡したんだよ!あっ!もう林ちゃんは帰ってきたから伝えてあるし…伝えたら凄く喜んでたし折角夕君と林ちゃんが面白そうな事を始めるのにお姉ちゃんだけ仲間はずれにされた気がしちゃうから一緒にすると決めました!」
え!?捺葉姉も始めるのか…これは凄く楽しみでもあるが俺がレクチャーしたりサポートしたりするのが大変だなと内心考えていた。
「うん、捺葉姉も始めるなら一緒の方が良いしね!林檎も賛成なら俺は全然構わないよ?」
正直なところ俺はワクワクとドキドキが止まらなかった。
いままで、拓也と他は赤の他人とVRゲームをプレイしてきたのだが、VRゲームをするのにこれだけワクワクしたり、ドキドキしたことはいままでに体験したことが無い気がする!やはり捺葉姉や林檎とVRゲームをすることが俺をこんなにワクワクさせているのだろう…もちろん上手くレクチャー出来るかな?という不安などはあるが…捺葉姉や林檎のことだ…すぐにコツを掴んで慣れてくるだろう…あぁ来月の発売日がこれだけもどかしいとはなぁ……。
そうこう話している間に少し会話が弾んでいたからだろうか…早歩きになっていたのだろう、気がつくともう家の目の前に着いていた。
「あっ!捺葉姉?家に着いたから後は家でね!」
「はーい!」
家に着いたのを知らせてから電話を切ると玄関の扉を開けて中に入る。
すると俺が家に着いたのを知っているため、捺葉姉と林檎が玄関まで出迎えに来てくれた。
「夕君!おかえりなさい」
「お兄ちゃん!おかえりなさい」
「あぁ林檎、捺葉姉出迎えありがとう!ただいま!」
まずは制服を脱いで私服に着替えてから林檎も捺葉姉も晩御飯を食べてないだろうから…晩御飯を作ろうかな?と考えながら自室からリビングに戻ると、今日は捺葉姉がすき焼きを作ってくれていた。
「あれっ!?捺葉姉!今日すき焼き作ってくれたんだ!」
「昨日は夕君がチゲ鍋作ってくれたからね!今日は私がすき焼きを作ってみました!確か林ちゃんも夕君もすき焼き好きだったよね?」
「うん、捺葉姉の作るすき焼きは本当に俺好きだから凄く嬉しいよ!」
「お姉ちゃんのすき焼きは私も大好き!」
そうなんだよな!実は俺と林檎は捺葉姉の作るすき焼きが大大大好きなんだよ…最近食べてなかったからこのすき焼きを食えるのは凄く本当に凄く嬉しい。
「さぁさあ!たぁんと召し上がれ〜!」
「いっただきまーす!」
「いただきまーす!」
今日俺と林檎は捺葉姉の絶品すき焼きをたらふく食べて1日を終えた。
誤字脱字や感想などなど、なんでも受け付けています。投稿予定日などは活動報告の方でなるべく伝えていきますので!
次回には遂にゲーム本編に入るつもりです。