エピローグ
あの日から数日後、俺は再びあの神社に訪れていた。
鈴緒を鳴らし、手を合わせる。
――なあ唯香、今聞いてるか。
唯香と別れた後、その後の後始末には色々苦労したんだぜ。
事情を知っている遥や香苗さんはともかく、唯香のことをただの旅好きの少女だと思い込んでいた両親にはあったことを話す訳にもいかないだろ。だから、急遽帰ることになった唯香の道中のお供をすることになったという理由で納得してもらったんだ。まあ、普通に納得してたね。
それから襲撃のあった遥の家はといえば、その後唯香の言う通り警察が来たようで、遥は無事に保護され、そして奴らは強盗罪で現行犯逮捕されていったらしい。奴らも唯香の父さんと同じく消えた筈だから、警察も今頃大騒ぎになってる可能性はあるだろうけど。
そうそうそういえば、遥の家の至る部分の欠落部分に関しては俺の所為だから弁償させてもらおうと思ったんだけど、遥と香苗さんは遠慮してくれたんだ。呼んだのは俺達の方だからって。本当にありがたい人達だよな、神田家は。
そして最後に、唯香が残していったあの服、あれ何故か母さんが貰ったよ。使い道聞いたら、「うふふ、秘密よ」とかなんか腹立つ言い方してたけど、多分唯香との思い出を残しておく為だと思うんだ。俺もね、あの後戻ってニャン吉を自分の庭に連れ帰って埋めたんだぜ。思い出したくないくらい、色々大変だったけど。うえっ。
まあって訳で、大した爪痕も残さずこの夏の件は終わって、また日常が戻ってきた。何も無かったようにっていうのはまだ無理だけど、もう少し経てば分からない。
だから、またここに来ちゃったんだ。正直、ここに来れば唯香に会えるかもって期待して来てみたけど、やっぱりダメみたいだね。もし、君とまた会うことがあったらその時はまたどこかに出掛けたたかったんだけどね。
「もう良いか、疾太!」
「あとちょっと待って!」
さて、遥も待ってるし、じゃあそろそろ行くよ。
これは置いていくよ。あの日、ここに落ちてたブレスレット。これは唯香のだ。やっぱりこれ俺が持っていても仕方ないし、俺は君を忘れることはない。
いつかこれを着けた君にまた会える日は来るのかな。
いや、毎日会ってるか。
「お待たせ」
「結構かかったな。何やってたんだ?」
「んっ? 何って、ただの」
「――妄想だよ」
初めて書き切った長編作でした
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