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取り敢えず

二人の名前は思い付きです。

「それで!?結局お二人は何なんですか!?」


「もういいじゃ~ん…」


さっきから木葉がこの質問ばかりしている。流石に二人も…いや、カイライまでも呆れている。


「それより、もっと…こう…ないのか?どうやったら帰れるんですか!?とか」


「そうだよ!!そんな質問してる場合じゃないよ!!どうするんだよ!!」


傀儡が今更目に見えて慌てる。


「待ちなさいよ!この人達が胡散臭い詐欺師みたいな人だったらどうするの!?」


そんな筈がない。どうやら、相当頭のお堅い人らしい。


「……はぁ…」


男は深く溜め息をついた。額に手をやり、卓袱台に肘をつき、やれやれという感じだ。


「随分な溜め息ねぇ」


そう言う女も軽く溜め息をもらす。


「木葉…だっけ?君はどうやってここまで来たんだい?」


「?タイムスリップして──」


「違う!この場所まで!!」


男は呆れ果て、少し声を荒げて言った。対して少女は何故男が少し怒っているのか、いまいち分かっていない、という顔だ。



「村の人に聞いてきて──」


「英雄様!!」


突然、遠くから声がした。声からして、男性だということが分かった。男は舌を出して眉間に皺を寄せる。


「君達はここにいてくれ。」


そう言うと、男は部屋を出ていった。と、同時に、二人がひそひそと話している。


「いま…英雄様…って」 「英雄ってあれでしょ…良く分からないけど…凄い人なんでしょ?」


そして、木葉が女の方を向いて、軽く頭を下げる。


「すいませんでした。まさかこの地での英雄だったなんて。知りませんでした。」


「いいのよ、そんな謝らなくても。あの子、そんな風に見えないでしょ?」


「……はい。全く見えませんでした。この時代の人じゃない、ってことは分かってたんですけど……すみません。」


いいのいいの、と女は軽く笑いながら、立ち上がり、卓袱台を退ける。


「取り敢えず…寝る用意でもしましょうか。もう暗いことだし。」


女がそう言うと、二人は押し入れから、敷布団を四枚出す。二人しかいないのに、布団が三十程あったが、それについては、家が無くなった人や、客人のため等に大量に用意している、と女が話してくれた。客人のためにはまだ使ったことはないけどね、と笑いながら。


程なくして、男が戻ってきた。いつもの奴だよ。最近は人探し、とかいって勝手に入ろうとしてくる。しつこいったらありゃしない。とぶつぶつ言っていたが、二人にはさっぱり分からなかった。


取り敢えず、晩ご飯と風呂を済まし、深い眠りについた二人だった。この時に訪れた男が、未来から来た二人に大きく関わっていることは、まだ知るよしもなかった。

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