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英雄
訳の分からない話ですが…よろしくお願いします。
「ったく…うるせー奴等だ…ちょっと助けてやったら、もう一度、もう一度だからなぁ…これだから人助けなんてやりたくないんだ。」
ぶつぶつと文句を垂れながらベットに寝転がる男。
「とか言って、毎回やってんじゃない。人助け。」
背中に黒い羽がついている女がベットに腰かける。
「とは言っても、もう五億年近くだぞ?いや、それ以上かも…」
男は寝返りをうつ。五億なんて…大袈裟すぎ。と、女は言う。
「じゃあ私は見回りに行ってくるから。」
そう言って女は飛び出して行く。
「毎回毎回…熱心だなぁ。どうせ…」
溜め息をつき、起き上がってめんどくさそうに続ける。
「見に行かなくても分かるのに。」
ここは地球。男は英雄。女は吸血鬼。変な組み合わせ。でもそれも馴れた。
恐竜…動物…原始人…王様…殿様…訳の分からない奴等を助けてやっていたら、いつの間にか、男は英雄になっていた。
吸血鬼は、いつからいるのか分からない。でもそんなことは、男にとって気にするほどのことでもない。