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やり尽くしたゲームの悪戯王子に転生したけど、冒頭で国と家族を滅ぼされるのは嫌だから全力で抗います  作者: MIZUNA


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8/16

目覚めと自覚2

一人目は、アステリオン王国の隣国にして同盟国のレオーラ王国の王女こと『アミィ・レオーラ』。


アテムの記憶を辿ると、何度か会ったことはあるみたい。


記憶の中にいる彼女は、薄褐色の肌で深い赤紫色のさらっとした長髪。鋭くぱっちりした目付きには琥珀色の瞳が浮かんでいる。


同い年っぽいけど、とても落ち着いているから年上のような印象だ。


二人目は、海を越えた西側の大陸にある大国、ジオジール王国の第二王女『クララ・ジオジール』。


彼女とは、まだ面識はないみたいだ。


この二人が、初代ラグナロクファンタジーにおける結婚相手だった。


三人目は、AGAINで追加された女性で、海を越えた西方の大陸にある大国、ジオジール王国の第一王女『ミランダ・ジオジール』。


彼女との面識も、今のところないみたいだ。


ラグナロクファンタジーは彼女達のいずれかと結婚して子供が生まれることで、ようやく邪神ペルグルス討伐の目処がついて冒険が佳境を迎える。


つまり、何をどうしたところで、僕に邪神ペルグルスを倒すことは不可能ということだ。


いや、現時点でペルグルスを倒せる存在はこの世界に誰一人いないだろう。


「それでも、今の僕にもできることはある」


僕はベッドから起き上がると鏡台の前に進んで、じっと自分の顔を見つめた。


「……僕のいる世界が本当にラグナロクファンタジーなら、女神セレーネの祝福を受ければ『職業【ジョブ】』を得ることができるはずだ」


ラグナロクファンタジーには、大人気となったシステムの一つに『職業【ジョブ】』という仕組みがある。


ゲームだと、城から落ち延びて最初に辿り着いた町でグレイの勧め……というかチュートリアルが挟まれるんだけどね。


セーブポイントでもある三女神を祭る教会では、一定のお布施を払うことでセレーネの祝福を受け、特別な力を発揮できる職業を授かることができるのだ。


職業にはスキルレベルがあって、初期レベルが一で最大レベルは八。


スキルレベルが上がるごとに何かしらのスキルを得ることができる仕様だ。


当然、覚えたスキルは別の職業でも使用できる。


職業ごとに物理特化、魔法特化、補助特化や固有スキルなんかもあるし、スキルの組み合わせ次第では意外な強さを発揮する場合もあった。


例えば、固有職業でもある『勇者』の生まれ持った耐性を生かして、高い攻撃力を持つが弱点属性のある『暗黒騎士』の欠点を補う形の『暗黒勇者』なんかは有名だ。


他にもラグナロクファンタジーでは相性が良い組み合わせがいくつか存在している。


職業は下位と上位が存在し、特定の職業になるためにはいくつかの職業レベルを上げる必要があって、ラグナロクファンタジーAGAINでは下位と上位を合わせて通常職は三十個あったはずだ。


そして、全ての下位と上位の通常職を極めれば『勇者』に次ぐ能力を持った職業の『覚者【かくしゃ】』になれる。


ゲーム内では『やり込んだプレイヤーへのご褒美』のような職業であり、この職を基本にして他職のスキルを使うとゲームバランスが崩壊すると言わしめたほどだ。


「ゲームだったらバランス崩壊と言って差し支えない強さだったけど、倒せないとわかっている邪神に対抗するんだ。バランス崩壊、チート職業ぐらいで丁度いいだろう」


自分に言い聞かせるように鏡に向かって呟くと、「よし、決めた」と声を張り上げた。


「アステリオン王国が滅亡するまでに、僕は全ての職業を極めて『覚者』になる。そして、家族と国を守るんだ」


決意を口にしたその時、扉が丁寧に叩かれてぎょっとした。


「アテム、起きたのですか?」


「こ、この声は母上だ」


僕は慌ててベッドの中に潜り込むと、咳払いをして畏まった。


「は、はい。今、起きました」


「そうですか。では、入りますよ」


返事と共に扉がゆっくりと開き、母上が入ってくる。


「ふふ、やっぱり目を覚ましていたんですね。廊下に少し声が漏れていましたよ」


「え、えぇ⁉ そうなんですか」


母上はこちらに歩み寄って笑みを溢すが、僕は決まりが悪くなって頬を掻いた。


決意を固めるうち、知らず知らず声が大きくなっていたのかもしれない。


だけど、問題は僕が呟いた内容が母上に聞こえていたかどうかだ。


「あ、あの、母上。僕の声、はっきり聞こえていましたか……?」


「いいえ、そこまでは聞こえておりません。部屋の中に人の気配がする程度でした」


「そ、そうだったんですね」


ほっと胸を撫で下ろすと、母上はベッドの横にある椅子に腰掛けた。


「どうしたのです。そんなに聞かれては困ることだったのですか?」


「えっと、その……」


母上から鋭い眼差しを送られ、僕はごくりと喉を鳴らして息を呑んだ。


本当のことを言うわけにはいかないし、ここは『今までのアテム』らしく答えてはぐらかすしかない。


「じ、実は新しい悪戯を考えていました」


「へぇ、それはどのような悪戯なんですか?」


「それはその……」


まさか深掘りされるとは思わず、咄嗟に頭を巡らせると前世の悪戯動画の映像が沢山浮かんでくる。


これだと、僕は母上を見据えた。


「例えば、音の鳴る袋の上に誰かを座らせて『おなら』をしたと揶揄ったり、扉の取っ手に強力な接着剤をつけて立ち往生させるとか。あと、中にあるお金を好きに取っていいよと書いておきつつ、そのお金を掴んだら手が抜けないようにする壺を置いておくんです。その人の性格やがめつさが見られるから、きっと面白いですよ」


やっぱり、僕は悪戯王子らしい。


誤魔化すつもりで語ったんだけど、何やら途中から本当に心がわくわくしてきてかなり熱が入ってしまった。


「そうですか。アテムが元気を取り戻したようで何よりです」


母上は目を細め頷き、部屋にしんとした静寂がおとずれる。


やらかした。


母上、絶対に内心で怒っているよ。


無言の空間にいたたまれず、決まりが悪くなった僕は「そ、それはそうと母上……」と切り出して話頭を転じた。


「はい、なんでしょうか?」


「……父上の剣を抜き、ガスターに襲いかかって申し訳ありませんでした」


畏まって頭を下げると、母上は僕の頭を優しく撫でてくれた。


「そうですね、実は私もそのことが聞きたかったんです。どうしてあのようなことをしたんですか? 貴方は憎まれ口を叩きながら揶揄いつつも、ガスターを祖父のように慕っていたように見えていたのに」


ガスターを祖父のように慕っていた、か。


母上の言葉にずんと胸が重くなる。


記憶を取り戻す前の僕、アテムは母上の言うとおりガスターを確かに慕っていたのだ。






少しでも面白い、続きが読みたいと思いましたら、

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