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甘く響く、ふたりの鼓動  作者: ブラックコーヒーを甘くしたい
10/10

まっすぐな想いは、惑星よりも輝いて

ep7.「金星よりも輝く、君の隣で」と少し関係性がありますが、読んでいなくても問題なく読める作品にはなっています。


興味がある人は是非そちらもよろしくお願い致します。

「あー!」

帰宅後の私は家のカレンダーを見て声をあげていた。


「忘れてた、まだ間に合う、よね?」


そう自分に言い聞かせると、急いでネットで検索をかける。


―惑星直列

そう、それは複数の惑星が同時に太陽の片側に集まるタイミング!

そしてすべての惑星を一度に観察することができる宇宙の神秘


日本でのベストタイミングは22日らしいけど、多分まだ間に合うだろう―


そう思って、私は彼に連絡をしてみる。


「ねぇねぇ、今日珍しい天体ショーがあるんだけど、一緒に見ない?」


『また?だから僕は幽霊部員だって何度も』


「お願い!今回は特別なの!」


そう送ると少しして


『分かった、いつもの所でいいの?』


と返信が来た。


私は胸をなでおろしてから返事を返すと、急いで準備をしてから、いつもの場所へ向かうのだった。



*****


僕が家に帰ると、光莉から連絡が来た。何かと思って確認すると、いつもの天体観測の誘いだった。いつも通りの返事をして、放置していると、いつになく必死な感じがした。

そういえば、直接じゃなくて、こうやってメッセージで誘ってくるのは珍しいな、なんて思いながら、前回金星を観察した時の光莉のことを思い浮かべる。


僕は少しして、「分かった」と返事をすると準備をするのだった。


*****


「おっそーい」


現地へ向かうと急かすような彼女の声が聞こえた。


元気だな、と思いつつも以前より少し暖かくなった気温に安堵しつつ彼女のもとへ向かう。


「今日は、何を見るのさ?」そう尋ねると彼女は待ってましたと言わんばかりの顔で説明をしてくれた。


―惑星のパレードって言ってね、一晩で複数の惑星を同時に見る事が出来るの。専門用語は惑星整列なんて言ったりもするんだけど、今回は7つの惑星すべてが並んでいて、数百年に一度しか起きないんだって!あとね―


そう楽しそうに話す彼女の話を聞きながら、僕は前回見た金星が西の空にあるのを見つけた。


「あれ、かな?」思わず口にすると、どれどれ?なんて言って彼女がこっちへ身を寄せてくる。


そんな彼女の距離感を少しくすぐったく思いながらも、僕は目の前に見える金星を指さした。


「そうそう、アレが金星だよ、今の星空の中で一番輝いている星」

覚えててくれたんだ、そういって嬉しそうに笑う彼女に少しドキリとしながら

僕は「まぁ、この前一緒に見たからね」なんて返す

それを聞いた彼女は笑顔のまま「そっか」と頬をかいて呟いていた。その顔はどこか少し照れたように見えた。


その後、望遠鏡を調整している彼女は、本当はあの下に別の星も見えるはずなんだけどね。

と言いながら、色々と説明をしてくれていたがよく分からなかった。


唯一分かったのは、惑星がこうして真っすぐに並ぶのは珍しいという事、そして今回のような地球を含んだ時は特に、珍しく観測できるのもレアだって事。


後は―

僕は隣で並んで星を眺めている彼女を見る、彼女が夜空を見る目はいつも真っすぐで、そんな彼女が僕にとってはこの星空で一番輝いて見えた。


そんな彼女のことが―


「ん?何か言った?」彼女がそう聞いてくる


声に出ていたらしい、僕は咳ばらいをして


「いや、本当に星が好きなんだなって言っただけ」


そういうと彼女は、少し照れたような、それでも満面の笑みを僕に向けて「大好きだよ」と頷くのだった。


それを見た僕は思わず、目を逸らしながら


それでも「寒いからもう少し来なよ」と彼女に言ってみる。

「良いのー?」なんて言いつつ少し近づいてくる。

暫くそうしていると、不意に彼女が僕に身を預けてきた。

ドキリとする僕のことはお構いないなしに、暖かいね、なんて言って彼女は笑う。

そんな彼女の笑顔に惹かれて、自分でも驚くくらい自然と彼女の肩を抱き寄せていた。


僕の行動に驚いたのか、そっとこちらを見つめてくる。そんな彼女の瞳は何かを訴えかけるように揺れていた。けれども何も言わず、そのまま抵抗することなく身を寄せてくる。それはカイロからは決して得る事が出来ない暖かさで、僕はもう少しだけ彼女を近くに抱き寄せる。


今日の天体ショーに負けないくらい、真っすぐにぶつけてくる彼女の気持ちを僕は感じつつ


「今度、プラネタリウムでも行く?」そう誘うと


「あれ?ちょっとは興味出てきたのかな?」なんて彼女が笑う


君と一緒に眺める夜空が好き、恥ずかしくてそんなことは言えなくて

「僕は幽霊部員だよ」

とつい、いつものセリフが出てしまうけれど


「約束だよ」と笑って頭を肩に乗せてくる彼女の笑みは、どこまでも真っすぐで

やっぱり僕にとっては、この夜空で一番輝いて見えるのだった。

《読んでくださった方へ!》




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