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真面目


「無意識な人なら分からんなぁ。

 いや、有るか無いかだけなら関係無いから、

 僕の個人的な興味なんだけどね。」


「前提の話ですね。」


「…職種だけでも言って貰おうか。

 学生さん達もっと分からないでしょ?」


海塚さんが提案した。多分、梅村さんと木根さんのことを言っているのだと思う。


「あ、でも、私等は役職やからいいですけど、

 そういう情報はお仕事に関わりますよ。

 御名前は御厚意で頂くものですから…。」


「え…凄い。堅いですね。連盟…。」


八角さんが反対したことに梅村さんが驚いている。


「信仰に関係してる方々が多いんです。」


初めて聞くことだったのかアヤシヤの二人組みは揃って感心したような放心したような何とも言えない表情で暫く静かになった。梅村さんは真面目な顔で手元のスマホを操作し始めたので返事をしたのは木根さんが速かった。


「僕等別に構いませんよ。」


「なんで一緒なん!?…いいけど…。

 僕が先祖代々続く呪い(まじないし)の一族で、

 木根が…祈祷師(きとうし)になるかな?」


「それ。」


「自分で喋れよ。」


「…適当な言葉が出て来ない…。え〜と…。

 僕は…名前を出すのは控えますけど、

 地元の昔話で伝えられてる大昔の人で、

 それなりに有名だった祈祷師の直系です。」


前置きは長いけれど話を始めると流れる様だ。考えを纏めるまでに時間を掛けて、行動に移すと速いのかな?


「ありがとうございます。

 呪い師は見誤ると逆効果もあるんだよね。

 …何ていうんだったかな?帰って来るやつ。」


「色々あります。一般には呪詛返しとか呪い返し。」


「そうそう。」


凄い。海塚さんは俺の知る中で最も丁寧なオジサンだ。情報を出してくれただけで慇懃に御礼を言うオジサンは初めて見た。ちょっとポイントのズレたところで驚いていたら、その間の呪い師についての梅村さんの話を少し聞き逃した。披露される呪いの知識に木根さんは不思議そうにしている。


「あれって説明出来るの?」


「いや聞かれたから答えただけで。

 …あ、勿論これは、

 エフの動きを観測してる訳じゃなくて、

 そういう伝統的な言い伝えみたいなものです。」


「混ぜない方が良いですよ。

 それこそ学生さん混乱していまいます。」


八角さんが海塚さんに注意した。この二人は何となく役割りというか、コンビネーションを感じさせる。

 …これが関西人か…。


「それぞれの特徴があるのは解るんスけど、

 技能者のスキルが関係無いんなら、

 聞くだけじゃイメージ出来ない。」


「後継者としては殆ど能力は使わない。

 請け負う内容がちょっとハードな時に、

 心配して探り入れる人はいるらしいよ。」


学生さんと呼ばれて今度は六堂が反応した。答えたのは梅村さんだ。能勢さんは意外にも黙ってノートを取り続けている。


「木根さんがそのパターン?」


「祈祷師は分類するなら技能者なんだけど、

 能力者でも表面に仕掛けて様子見るくらい。

 松尾君にしたのと同じ、

 おかしな共鳴が起こらないか見るだけ。

 ウチも神様の力を借りてるタイプなんで。」


「ここにも?」


「いや、僕に取り憑いてる訳じゃない。

 そういうのは悪い神様の呪いか御使いかなぁ…。

 登録者が無断で環境操作したら法令違反だし、

 本当にヤバイの見つけたら通報します。

 仕事は御祓いですから。事件じゃないので。

 …そうなる前に知る術があれば、

 きっと世の中劇的に変わるんだろうけどね。」


「いいこと言う。」


梅村さんが明るく評価した。


「悲劇の可能性もある。」


「わかんないよりいい。」


「そりゃそうだけど。」


偶々なのかもしれないけれど、アヤシヤの人達は仲良いな。ウチの連盟メンバーは個性がぶつかりがちなので素直に羨ましい。

今聞いただけでは呪い師も祈祷師も具体的に何をするのかよく解らない。ただ伝統を受け継いでいる人達だということは何となく解る。先祖代々続く職業とか、大昔の有名人の直系とか、なんか凄そうだ。


「観測について、そちらからはどうですか?」


海塚さんが遅れて席に着いた小羽田さんに意見を求めた。ちょっと驚いた様子だったが少し考えてから無表情に片手を上げて形式的な挙手をした。小羽田さんはさっきからずっと片手に持ったタブレットを触っている。


「…松尾君の結果からの推測ですけど、

 神寄せは自分の影響の強い場所では、

 内部に限り、末端までよく見えるみたいですね。

 …但し僕が担当した時は特殊な条件下で、

 それだけで決められません。

 個人の記録を見る限りでは本当に鈍いから、

 何処かで内と外を分けてるのかなと思います。

 …そうでないと辻褄が合いません。」


「成程。ある意味繋がってる。面白いね。」


のんびりと相槌を打った海塚さんは、机上のノートパソコンを見た目に似合わぬ素早い指さばきで軽快に操作した。失礼だけど驚いた。小羽田さんの関西イントネーションの標準語は前にも少し聞いていたので意外では無かったものの、真面目に仕事している人だったんだなと今更ながら思った。これも失礼なのだが、本当に鈍いなどと言われたので自分の中で勝手に相殺させて貰った。

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