婚約破棄を叫ぶ婚約者から離れたら
前に書いた物の続編。主人公クリスティーナ視点。
その後、どうなったか。会話多め。
前作
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「お嬢様、また届いております、
これはいつもと同じで宜しいでしょうか?」
「あら、またなの?
同じでいいわ。それにしても・・・」
「それにしても?」
「いつまで続くのかしら?
ああ、そろそろ鉱山送りの時間だったかしら?
平民のまま暮らすのは難しかったようね。何故だか
わたくしとヨリを戻そうなんて押しかけて来て、
逮捕されて釈放されたら今度は手紙を送ってくるなんて。
手紙を書いて送るにもお金がかかるのに、余裕などあったかしら?」
「ああ、それでしたら、いまは服や家具を売り払ってお金にしているそうですよ?
結婚した元子爵令嬢は荷物を何も持たせず、無一文で追い出したそうで。あの女が隠し持っていた宝石がそこそこの数あったからその宝石を生活費に充てていたそうですが、もう殆ど残っていないとか。
働かず、贅沢三昧していましたしね。
挙げ句お嬢様とヨリを戻そうと押しかけて憲兵に逮捕されて、大金を払って釈放後、
懲りずに手紙を送る事をしているので、さすがにこれ以上は・・・という事で、
めでたく鉱山送りになります。
これが最後の手紙でしょう。
今頃は鉱山に向けて出発しています」
「この国で1番過酷な鉱山採掘場で死ぬまで働かされる。
あのバカ元王子、体力はあるほうだったけれど、
いつまで保つかしら?
元令嬢の方は娼館で働いているのでしたっけ?」
「はい。無一文で追い出された後、うろうろしていた所を娼館の主に見つかったようで。
純潔などとうに失っているので高値は付かないそうですが、安く抱けるのと、見た目が可愛いので以外と人気者らしいですよ?」
「あらそうなの。子爵家はわたくし達への慰謝料が払いきれずに爵位返上、一家は平民で暮らしているのだったかしら?
元々評判はあまり良くなかったから領民達は無くなって喜んでいたと聞いたけれど」
「はい。新しく治める伯爵家は評判はよろしいようで、領民達はそれを聞いてむせび泣いていたそうです」
「ああ、あの伯爵家は領民に寄り添う事で有名な家ですものね。
仕事は速いし有能ですから。少しお人好しなのが欠点かしら?
そのせいで爵位が上がらないのですし。
まあこの後の事で爵位は上がるでしょう。」
「アレですか。
・・・私はお嬢様の婚姻が出来ない事がもどかしいのですが。
婚約発表は出来ましたが。
仕方がない事なのは分っていますが・・・。」
「無能な王や王妃、臣下を排除し、第2王子を玉座に据える。
王子の婚約者は侯爵家のご令嬢ですが据え置き。元々少しずつ王妃教育は行っていましたが、詰め込みで勉強中。
わたくしもたまに行きコツなどを教えていますが、優秀ですわ」
「婚約白紙の前から計画して少しずつ教えていたとは驚きましたが。
お嬢様、王妃教育の重要部分は教わっておられなかったのですね」
「王家がもう腐っていた事には気付いていましたし。白紙に持っていくと決めた時から王妃教育は止まっていました。
重要部分は機密も多いですから、学ぶと他国に嫁げませんもの。
先生にも相談済みで許可もいただけていました。」
「城に仕える者ほとんどが第2王子と側妃の味方とは。
王と王妃は気付いていないのが哀れでしょうか」
「もう少しで終わるわ。第2王子が即位後にわたくしの結婚式もできる。」
「まさか隣国の皇子が婚約相手とは、驚きました。
時々王宮に来ていた時に知り合っていた事は分りますが、まさかお嬢様が恋心を秘めていたとは」
「側妃が隣国出身で皇家の血も入っている公爵家でしたから。
王家主催の行事や友好の式典などでよくお会いしていたわ。
向こうも色々あって婚約者を探していたし、
少し意識していただけよ?バレてしまったけれど。
話はお終い。そろそろ王宮へ行く支度をしなければ」
「かしこまりました」
侍女に支度をしてもらい、王宮へ。侯爵令嬢にコツを教えに行きます。
王宮内を歩いていると
「ご機嫌よう、姫君」
この挨拶をする方はただ1人。
「ご機嫌ようレオ様!来ていらしていたのですか?」
わたくしの現在の婚約者隣国の皇太子のレオポルド様。
将来的に皇帝になるお方。
「忍びでね。計画の最終確認さ。
君にも会いたかったし」
「まぁ・・・。嬉しいですわ。
ケイトは元気ですか?」
「ああ、お陰様でね。また
子供も産まれて育児をしているよ。
今回で最後かな?
計画が終わって結婚したら会える。
伴侶にもね。もう少しの辛抱だ」
「まぁ子供?かわいらしいのでしょうね。
会いたいわ」
「・・・10日後には全て終わるから待っていて」
「分りました。楽しみにしていますわ。
わたくしは用がありますのでこれで失礼いたします」
そう言うと分かれます。
・・・レオ様のあの言葉。視えたのね。
この世界には魔法があり、全ての人間が魔力を持っています。
特に各国王家は希少な固有能力を持っている方が多く、レオ様の固有能力は【未来視】。
元々の優秀さとこの能力で、皇太子の座に就かれました。
あの元王子も持っていたはずですが、使いこなす事はできなかったはず。何だったかしら?
わたくしも王家の血を引いてはいますが固有能力はなく、かわりに全6種の属性を使う適正値が高く、
使える者が希少な聖属性を使うことが出来ます。
・・・あれは確か、数年前。王宮で王妃教育を受けに行く途中、庭に迷い込んだ仔猫を助けた事がありました。
親猫は見当たらず、弱って風邪も引いていたので聖属性の癒やしの力で癒やし、飼いたくても王妃教育と元王子の仕事で忙殺されて世話をする余裕がなく、
どうしようかと途方にくれていた時に未来視で出来事を知り庭に来たレオ様に出会い、(用事で来ていた)仔猫を引き取りました。レオ様は大の猫好きなのです。(元王子は大嫌いでしたが。イタズラをして引っ掻かれたから)
その仔猫がケイトです。 その後隣国で出会った猫と出会い(視察先で捨てられていた子を拾ったそう)
今まで2回ほど出産し、産まれた子供達は猫を愛する臣下達に引き取られて、大切にされているそうです。
時々仕事(当時のバカ王子の分)で隣国に行った時触れたり、映像を送受信する魔道具で様子を見せて貰ったりしていました。そしてレオ様と話す機会も増え、恋心を芽生えさせたりもしました。
レオ様の方にも婚約者はいましたが、ある日国に住み平穏をもたらす存在の竜、その橋渡しの役割を持つ
『竜の巫女』に選ばれた事により婚約は白紙(未婚でなければいけない掟のため)
婚約者を探していました。元王子と婚約の白紙撤回と王や臣下の排除計画をお父様が発案なさった時
【未来視】の能力で把握し、訪ねてきたレオ様に想いを打ち明け、受け入れてくださいました。
また子供を産んだのですね。
最後という事は、育児が一段落したら避妊させるのでしょうか。
仔猫たちが何匹いるのか、性格や模様など気になります。
10日後には全て片付きますからその後少しは余裕が出来るかしら?
婚礼衣装の準備は進んでいますし。
早く終わってほしいものだわ。
終
その後
王と王妃を幽閉し、第2王子が即位後、
両国国民からの盛大な祝福を受け、結婚式を挙げましたとさ。 神父もお偉いさんがわざわざ来た。
そこで
・晴れなのに虹が出たり花吹雪が舞い踊ったりした。
鳥や蝶も近くで飛び回っていた(神にも気に入られているため祝福された)
・霊的スポット(パワースポット)や神殿の神像も光ったりした。(祝福の恩恵受けた)
聖属性を使える人は皆神に気に入られているため使える。使える力が強ければ強いほど気に入られ度高し。クリスティーナは力が強い。他の属性も適正値高い→高ければ高いほど強力な魔法が使える。
=こうなった。
・竜が見に来て騒ぎになった。(人前には滅多に姿を現さない。竜の巫女になった皇子の元婚約者が
クリスティーナがどういう人物か、結婚式というものをみたいと呟いたのを聞き、連れて行った)
巫女が平謝りしまくってた。お詫びに祝福もした。巫女の祝福を見た人はいないので会場のテンションが凄い事になった。
これらの事があるためか、吟遊詩人が詩を作り謳い始めている。庶民のあいだでもしばらく話題になっている。
現在クリスティーナは
ケイトやケイトの子供達に振り回されつつ、皇妃になるため隣国の風習などを学んでいる。
(細かい違いなどがあるため)