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今世の俺は長女だから  作者: ビーデシオン
第四章「妖精神の傘の下」
69/105

69 ケトルハットの衛兵

今回も短めです

 アーネスにお姫様だっこをされたまま、青い粒子に乗って俺は運搬されていく。

 両開きの城門はゆっくりと、しかしながら着実に閉じられている。

 進む速度はかなりのものだが、距離が離れすぎていて、間に合いそうにない。


 俺がアーネスに不安の眼差しを送ってみるが、返事は無い。

 集中しすぎて、気づいてくれていないのかもしれない。

 あるいは、何か考えがあるのだろうか?


 アーネスが、口パクで。

 安心しろと言ったような気がした。


 次の瞬間、唐突な浮遊感。

 驚いて声を上げたら、自然に視界が下を向いた。

 青い粒子の密度が一気に濃くなってしまってわかりづらいが、今まで乗っていた波のようなものが、一気に大きくなっている。


 つまりは、俺たちの乗っていた一瞬だけ青い粒子の波が大きく高さを増したのだ。

 俺たちは波の上にいたせいか、ふわりと身体が持ち上げられていく。

 急激に高度を上昇させていく。

 それこそ、城壁を一気に飛び越してしまいそうな勢いで。


――――!


 アーネスが何か叫んだかと思うと、突然、青い粒子の波が弾けた。

 俺たちの高度を急激に上昇させていたソレが、水しぶきのように霧散する。

 城壁の上まで俺たちの身体を押し上げて、俺たちは特大の浮遊感に襲われる。


 城壁の上に着地できれば問題ないが、できるのか?

 高度は足りそうだが、飛び越えてしまわないだろうか。


 そんな不安も杞憂だったようだ。

 アーネスの高度調節は惚れ惚れするほど完璧で、受け身を取る必要すらなかった。

 従って、俺はアーネスに抱きかかえられたまま、城壁の上にたどり着く。


「歩けるか」

「うん、いけるよ」


 流石に十分に海岸から距離を取れたおかげか、お互いの声が聞こえるようになった。

 しかし、相も変わらず大合唱が響いているのも事実だ。

 海岸では先ほど見たような光の粒子が飛び交い始めている。

 戦闘が始まったのかもしれない。急がないと。


「おい、君たち」


 俺たちが決意を固めていると、横から声をかけられた。

 ケトルハットを身につけた、いかにも衛兵らしい格好の壮年男性だ。


「何があったのか教えてくれないか」

「……わかりません。ただ、リーラントから伝言を頼まれて」


 俺がリーラントの名前を出すと、衛兵さんはハッとしたような表情になった。

 そのまま辺りを見渡して、辺りを気にしているような様子を見せる。

 周囲の衛兵たちは、何やら怒号を交わし合っている。

 お世辞にも、連携が取れているようには見えない。


「王宮への伝言か?」

「……! そうです」

「わかった。ここは少し危ない。俺についてきてくれ」


 衛兵さんはそういうと俺たちを城壁の下へと誘導しようとしてくれた。

 何やら察してくれている様子だったけど、何があったのだろう?


 そもそも、なんでいきなり、門を閉めてしまったんだ……?

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