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今世の俺は長女だから  作者: ビーデシオン
「それぞれのプロローグ」
100/105

100 アーネス・ハイマン


 レーダの前世について打ち明けられた瞬間のことは覚えている。

 リーラントがココット村の二人を、アクシーが俺たち三人に夢を見せ、疑似的な会話を可能にした時のこと。

 レーダは俺に、真実を打ち明けた。


「なんだ、そんなことわかってるぞ」

「……ふふっ。だよね」


 俺がそっけなく答えると、彼女は少し嬉しそうにしていたっけ。

 だけどノエルは口をあんぐりと開けて、ずいぶん驚いていたな。


「あ、アーネス!?」

「おう」

「あなた分かっててお姉ちゃんとラブラブだったの!?」

「……ラブラブかどうかは知らないが、察してはいたな」


 あの日、俺たちが始めて学園に出向き、リーラントの本体と会った時。

 ダイアーさんとすっかり仲直りした様子のレーダに向けて俺は確か『今は詳しく聞かない』と言ったはずだが。

 思えばあの時、レーダはダイアーさんに前世のことを打ち明けていたのだろう。


「ていうか、お前、結構な頻度で自分のこと俺って言うしな」

「げっ」

「そうでなくとも、最初は男だと思ってたんだ。今更ややこしくなったところで、そこまで動じることじゃない」

「あ……あはは……」


 むしろ、気まずそうに笑う彼女の秘密に触れられて、ちょっと嬉しかったくらいだった。

 家族だけの秘密に踏み込めて、誇らしく思えるくらいだった。


「なんだよかった……気にすることなかったんじゃん」


 安堵して息を吐くノエルの表情も、微笑ましく思えていたくらいだ。


 だけど。


「じゃあ、私の前世がお姉ちゃんの彼女だったってことも、話して大丈夫そうだね」

「あ?」「え?」「うん?」


 だけどその言葉だけは、決して聞き捨てならなかった。


「ノエルが、レーダと付き合ってた?」

「ねえレーダ。あなた、前世で恋人が居たの? それがノエル?」

「僕もそれは初耳だな。詳しく聞かせてもらおうか」

「え、え」


 俺と、ミナさんと、ダイアーさん。

 三人して椅子から立ち上がり、レーダに詰め寄る。

 おそらく三人が全員同じ気持ちで、真実を知ろうと試みていた。


「えと、えーと……ノエル?」

「あはい。えーと皆様方?」


 もはや、椅子の位置など全く関係なく、3対2の構図が取られていた。

 話し合いの場がぐちゃぐちゃになり、収集はつきそうにない状態だった。


「まあいいわ。どうせノエルとその話はしようと思っていたし」

「そうだね。どうせ隠し事は無くすつもりだったんだ」

「え、えーとお父さまにお母さま? 今日はもうちょっとしっとりしたテンションで話すんじゃありませんでしたの?」


 二人がノエルに標的を変える裏で、俺は少し冷静になっていた。

 だからだろうか。続くダイアーさんの一言が、やけに印象に残ったのは。


「ああもちろん。僕たちは君と本当の家族になりたくて来たんだ」


 それはきっと、少しの意地悪さを込めた、ノエルに対する本心の言葉。

 かりそめではない、本当の家族になるために、前世のことを打ち明けてほしいと、そういう意味のはずだった。


「本当の家族……」


 結局、彼女らが腹を割って話す間、俺はあまり会話に参加できずに。

 ただノエルの席越しに、レーダの様子を伺っていたはずだ。

 たった一つの疑問を胸に、抱えながら。


 結局はそれを、声には出せないままだった。















◆◇◆◇◆



…………


………………


……………………?



「ああ」


 じゃらりと鳴る鎖の音で目を覚まし、今まで見ていた光景が、全て夢だったのだと気付いた。

 現実の私はどこまでも一人で、この鉄格子の中に繋がれているのだ。


 この鉄としけった石レンガと排泄物の匂いしか感じられない場所で、それでも珍しく良い夢を見られたことを、神様に感謝するべきなのかもしれない。

 アイツらの言う「神」とは違う、私の信じる神様に。


「……ま、だったらこんな目に合わせないよね」


 もしも今さっきの夢を誰かが見せてきたというのなら、ソイツは多分、信じられないほど性格が悪い。それこそ、夢に出てきた妖精みたいに、最悪の性格をしているに違いない。


「全部覚えてるわけじゃないけど……楽しそうだったな」


 正直、最初の方とか覚えてないし、登場人物の名前も覚えちゃいない。

 夢の中の主人公には沢山の困難があって、彼女はそれを次々乗り越えていたと、それくらいのことしか覚えていない。

 だけど、それでも間違いなく、彼女は楽しそうだったと思う。

 今の私から見れば、彼女の人生は酷く、ひどく色づいているように見えた。


「私も死んだら……新しい人生始まったり……いや! ううん!!」


 声に出したら、それが正しいように思えて、咄嗟に振り払う。

 私は絶対に、こんな所で死んでやらない。

 でないとこんな場所で何年も……何年も、何年も、何年も耐え続けた意味が無い。


 髪はずいぶん伸びきっているし、制服は穴だらけになってしまっている。伸びすぎた爪は嚙み切りすぎてガタガタになっているし、セメントみたいな色になってる。


「それでもごはんは出る。水だってあるし、死にはしない」


 ここまで来たら、絶対死んでやるもんか。

 例え、定期的に来るはずの黒服が、ずいぶん姿を現していなくても。

 その度に解放されるはずの鎖が解けず、腕や足が酷く痛んでも。


 ……水やごはんが、ずいぶん長いこと来てなくても。


「絶対死んでやらない。私は、絶対死んでやらない……!」


 ここで死んだら、私の人生が無意味になる。

 まだやりたいことたくさんあるのに、やり残したこといっぱいあるのに。

 私がやれたはずのこと、全部やり切れてないのに。


「絶対……! 絶対…… 絶対…… 絶対。 絶対……! ぜったい……」 

 

 ぜったい……死なないから。

 いくら視界が霞いても、絶対死んでやらないから……!

 そうやって意識を保ち続けていればいつかは……

 いつかは……


 あのベランダから落ちたことを、良かったって思える日が来るはずなんだ。



◆◇◆◇◆



――ふと、目の前に動くものが見えた。



「があっ!」


 ごはんだ。逃がさない。

 何かわかんないけど、動くならきっと食べられる。

 その血だって水になる。

 お前を食べれば、私はまだ生きられる。


「がぶ! 噛ム!」


 それに歯を突き立てる。

 中から水があふれてくる。

 ずいぶん赤いけど気にしない。

 口からこぼれないように、逃さないように。


 とにかく飲んで……飲んで……!


「ああ……」


 のんで……おいしい……


「うぅ……」


 なんて美味しいんだろう。

 久しぶりに味覚が働いた。

 信じられない。

 身体が求めていたものを、全部得られている気がする。


「……好きなだけ飲め」

「うん……うん……!」


 優しい声。ずいぶんと若い、男の子の声。

 日本語じゃない(・・・・・・・)のに、何故か理解できてしまう。

 もう、わけわかんないけど、涙が止まらない。

 久しぶりにお腹を満たせているからか、久しぶりに会話できたからかわからないけれど。

 とにかくうれしくてたまらない。

 

「……ぷはっ」

「満足したか?」


 色彩を取り戻した視界に写っているのは、ブラウンのフードを被った人影だった。

 マントみたいなのが背中側に伸びてて、革素材っぽい服を着ている。

 フードから除く髪は赤色で、顔には白い包帯がぐるぐる巻き。

 顔以外も包帯で覆っている服装ような様子で……唯一違うのは、私が今まで噛んでいた場所だけだった。


 真っ赤な腕だ。血塗れで、肉が爛れたみたいになっている。

 それでようやく、私が何をしたのかわかった。


――ごめんなさい! 私、なんてことを!


 私が思わず叫んでも、彼は首をかしげるだけで、返事を返してくれなかった。

 よくよく考えてみると、私は今日本語を喋ったわけだから、伝わらないのも当たり前かもしれない。

 だけど私は、この世界の言葉なんてわからないのに……


「ごめんなさい。大丈夫ですか」


 わからないはずなのに、何故か発音できてしまった。


「大丈夫だ。この腕は元からだし、大した傷でもない」


 そう言うと彼は一歩引き下がって、腕に包帯を巻き始めた。

 見れば、部屋の隅の方に小さなランタンが置いてある。

 おかげで彼の姿がよく見えたけれど……


「子ども……?」

「ああ。まだ成人はしてないはずだ」


 驚いたことに、私を暗い闇の中から救い出してくれたのは子供だった。

 彼は、小学生くらいの身長をした、とっても若い男の子だったんだ。


◆◇◆◇◆



 男の子の背を追いながら歩き、私は牢獄の外に出た。

 通路に出れば景色も変わるかと思っていたけれど、全くそんなことはない。

 この場所には延々と、空の牢獄が続いているだけだ。


「どこか痛むところはないか」

「はい」

「靴は? 歩きづらくはないか」

「はい」

「船に戻れば、身体も清められるはずだ」

「ありがとうございます……」


 ずいぶんと気を遣ってくれるな……

 正直とってもありがたいけれど、どうしてそこまでしてくれるんだろう。

 ひょっとして、例の黒服と敵対してる組織の人とか、そういう?

 だとしたら私が救出されたことにも納得がいくけど……


「あの、他の人たちは」


 確か、私の他にも、この牢獄にはたくさんの人が居た。

 鉄格子の扉はすべて開け放たれているけれど、中に人影があるようには見えない。

 ひょっとして、私が最後だっただけで、他の人たちは……


「死んだ」

「え?」


 当然のように呟く男の子の様子を見て、私は静かに畏怖の感情を抱いていた。

 ランタンを持つ手は震えていないけれど、彼の声色は決して無感情ではなかったからだ。


「俺が見た時には全員、ヤツらに殺されていた」


 彼はにわかに怒りのこもった声色でそう言った。

 ヤツらっていうのは、定期的に私の様子を見に来ていた、あの黒服のやつらかな。


 正直、ついて行っていいのか不安だったけれど、絶対悪い人じゃなさそうだ。

 ……ていうか、だとするならだけど


「どうして私は生きてるんですか?」

「あんたも死んだと思っていたが、運び出す直前になって動き出した」

「え、ええ?」


 そんなことってあり得るの……?

 確かに衰弱寸前で、彼が血を与えてくれたわけだけど……

 うん? ていうかおかしいな。

 普通の人間って血をちょっと飲んだくらいで元気になるものだっけ。


「あの、ひょっとして私」

「安心しろ。俺と同じだ」

「同じ?」

「異性に対する吸血衝動は、スエラにはよくあることだ」

「そう……なんですね」


 スエラ。どこかで聞いたことあるような、そうでもないような。

 多分この世界の概念だから、私の知らないことだろう。

 まああれこれ質問を続けて嫌われても嫌だし、質問はこれくらいにしておくべきかな?

 いやでも……これだけは聞いておきたいな。


「そういえば、あなたのお名前は……?」

「…………」


 私がそう質問した途端、彼はいきなり立ち止まってしまった。

 聞こえなかったんだろうか。

 もう少し大きな声で言おうか?


 なんて、のんきなことを考えてていたら――

 彼にいきなり突き飛ばされた。


「伏せてろ!」


 突如として鳴る甲高い音。

 振り返って見てみると彼は右手のランタンを遣って、突かれた刃を受け止めていた。

 相対しているのは黒服。

 両手に(・・・)短刀を握った黒服だった。


――二撃目が来る。


 そう思って叫ぶより先に、彼は左手を腰に添えていた。

 そのまま思い切り横方向へ一振り。

 振り遅れた相手の短刀を弾き飛ばし、抜かれた曲刀を構えている。


「借り物を天に返すがいい」


 いや、それだけではない。

 彼はとてもはきはきと、何かを唱え始めている。


「目玉も血潮も干からびろ」


 男の子がずいぶんと物騒な文言を声に出す間に、黒服はランタンに刺さった短刀を引き抜き、両手で腰だめに構えていた。

 今度は斜め下からの突きが来る。

 そう思った瞬間に、事態は急転した。


万汗(ばんかん)絞り」


 ランタンを捨てた男の子が空いた右腕を突き出し、その五本の指先から、光る糸束のようなものを撃ち出した。

 糸束は黒服の全身を捕らえ、腰だめに短刀を構えていたそいつは、ぐるぐると素巻きにされていく。


「目、逸らしといてくれ」

「え?」


 あっけにとられた私は咄嗟に男の子の方を見ると、彼が右手をグッと握りしめたのが見えて……


――瞬間、おぞましい音が牢獄に響いた。


 明らかに人体に対して響かせてはいけないような音が横から聞こえる。

 視界の端から液体のようなものが地面に飛んで、私は視界を固定して固まる。


「グール一体倒すにも、こんな風に見栄えが悪いもんだから……普段は名乗らないようにしてるんだ」

「ス……スッ……」


 納得の理由ではあるけれど、たった今私が抱いた感情は、恐ろしさとか気味悪さとか、そういうネガティブなものじゃなかった。

 この光景を見てそれかよって、突っ込まれるかもしれないけど……


「スッゴイめっちゃかっこいい!」

「……は?」



 そう伝えなきゃ、もう我慢できそうになかった。



◆◇◆◇◆


 やがて、牢獄を出た。

 もういつぶりかわからない陽の光を浴びながら私は現状に感動しっぱなしだ。

 隣り合わせで砂浜を歩きつつ、私は思いの丈をぶちまけまくっていた。


「赤髪赤目やけど跡、包帯ぐるぐる巻き男児! しかも魔法剣士! もう属性モリモリかよって感じ!」

「…………」

「いやあこれだよこれ! これが異世界転移よね! もう感無量だわ!」


 今まで必死に取り繕っていた思考が漏れ出して、歯止めが効かなくなる。

 ずっとカスみたいな環境に居た反動で、感動があふれて止まらない。


「今まで生きててよかったー!!」


 もう転移してから何年経ったのか知らないけど、初めて異世界転移してよかったって思った!

 何度もうダメって思ったかわからないけど、これがあるかもって信じてたからなんとかやってこれたんだよ……!


「あのベランダから落ちた日のことすら今はもはや愛おしい……!」


 一人で何やってるんだって思われそうだけど、許してほしい。

 私赤髪のキャラクター大好きなんだわ。

 やけど跡とか包帯とか大好きなんだわ。


「ふっ……愉快な人だな」

「ありがとう優しいっ大好き!」


 思わず抱きつきたくなっちゃうけど流石に嫌われたくないからやめちゃう。

 私も心は現役女子高生だけど、もう何年経ってるかわからないわけだし。

 そこら辺はわきまえておかないとね。


「……悪いけど、俺もう心に決めた人がいるから」

「え! 誰々教えて!?」

「教えてもわかんないだろ……?」

「それはそう。それでも教えて欲しいんだって!」


 その年齢で相手がいるなんて素晴らしいじゃないの。

 けしからん通り越して微笑ましいじゃないの。

 でもうらやましいから教えて欲しい。

 せっかく外に出られたんだし、若者らしい恋バナが聞きたいんだ。


「そしたらお礼にお姉さんがあなたの恋愛、全力で応援しちゃうから!」


 私がそう叫んだ瞬間の彼は、包帯越しでもわかるくらい動揺していた。


◆◇◆◇◆



 前世のレーダが男だったとして。

 将来俺は、あなたのパートナーになれるのか?

 そんな疑問は、今でも胸に残っている。


……だからだろうか。


「なるほど、事情はわかったけど、それが何か問題?」

「え?」


 突然目の前に現れた女性に、そんなことを問われて、俺は間抜けな声を上げてしまった。

 俺が心に秘め続けた想いが否定されたはずなのに、怒りより驚きが先に来た。

 あるいは無意識のうちに、簡単な解決策があるのかもしれないと思ったからだろうか。


「話を聞く限り、それが原因で貴方が拒絶されるはずないと思うけど?」

「そ、そうなのか……?」


 浜辺にどっしりと腰掛ける女性は、やけに自信満々にそう言うけれど、俺にはどうも信じられない。

 一体何の根拠があって、そんなことを言えるんだ?


「私が思うに、そのレーダちゃんって子は女の子を楽しんでるんだと思うんだよね」

「楽しむ?」

「うん、せっかく女の子になれたんだから、精一杯可愛く生きようって」

「そういうものか……?」


 確かに、レーダは女の子としての振る舞いを、少しも恥じている様子はなかった。

 だけど、そういう問題なんだろうか。

 俺がレーダのパートナーとして生きるのに、まだまだ問題は多いんじゃないのか。


「まあ、早い話あなたは、レーダちゃんと結婚できるか不安なんでしょ?」

「な……! まあ、そうだけど」

「だったら尚更単純だね」


 ひたすら困っている俺の方とは裏腹に、彼女は傍に会った流木の枝を手に、ピンと立てて俺に言った。


「相手がただの異性だろうと、元男性の美少女だろうと、結婚を前提にお付き合いするのに、駆け引きが必要ないわけないでしょ」


 今まで納得できなかったのに。

 その言葉を聞いたら、妙にしっくりきてしまった。


「そっか……普通に考えれば、そういうものか」


 いくら障害が多くたって、これから乗り越えていけばいいんだ。

 俺の物語はまだ終わっていないのだから、これから困難を解決していけばいいんだ。


「……ありがとう」

「頑張れよ、少年! ……あ、ちなみにあなたの名前は教えてくれないの?」

「あ、ああ」


 言われて気付いた。

 そういえばまだ、俺の名前は教えていなかったか。

 レーダや他の人の名前は出したのに、自分だけ名乗らないのも変な話だな。


「俺はアーネス。家名はない、ただのアーネスだ」

「ありがとう、私は倉橋。倉橋ミカだよ」


 ミカさんか……言動で何となく察していたけど、やっぱりこの人も異世界の人っぽいな。

 船に連れて帰ったら、レーダたちも喜んでくれるかもしれない。


「これからよろしく」

「……ん? ひょっとしてこれからも面倒見てくれる感じ?」


 面倒……というと少し語弊があるけど。


「行くところが無いなら、俺たちの船に居てくれてもいい」

「本当!? ありがとう!」


 服を靡かせつつ飛び跳ねる彼女を見ていると、自分の選択が間違っていなかったことを自覚して、少しだけ誇らしい気持ちになって。


「じゃあ、私はあなたが家名を貰えるまで、一緒に居させてもらおうかな!」

「……? 俺は別に、貴族や騎士になるつもりはないけど」


 そうやって、俺が疑問を声に出したら、彼女は言った。


「レーダちゃんのパートナーになりたいんでしょ?」


 これからの俺がどう生きるべきか。

 指標になる様な一言を、ニヤリと笑って言ったのだ。




「だったら思い切り目指しなよ、未来のアーネス・ハイマンくん!」



「レーダ・ハイマンの物語」

【第一部 今世の俺は長女だから】  - 終 -

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