九尾妖狐の誕生
前作の数十年後の話。
楽しんで?いただけると嬉しいです。
昔々世界が滅びる前の物語
とある世界のとある森に一匹の子ぎつねがいた。
その子ぎつねの住む森は魔族の住む国の王都の近くにあり、
ある日、子ぎつねは王都へ忍び込み、あちこちを見て回った。
そして、日の沈む前に森に帰った。
それからというもの、子ぎつねは毎日王都に忍び込んでは日が暮れる前に
森に帰るということを繰り返した。
そして、いつの間にか魔族の話す言葉を覚え、何を話しているのかが
わかるようになった。
もちろん、ただの狐にはそんなことは不可能である。
子ぎつねは知らなかったが、子ぎつねの種族は妖狐と呼ばれる種族であった。
しばらくして、その日も子ぎつねが王都に忍び込むと、
王都全体が、暗い雰囲気に包まれていた。
魔族たちの会話を聞いたところ、魔族たちの王が死んだらしい。
さらに、それをどこからか聞きつけた人間の国が
連合を組んで魔族の国に侵攻を始めたらしい。
そして、数か月すると子ぎつねの住む森でも人間を見かけるようになった。
幸いなことに、人間は子ぎつねの住む森に入ってくることはなかった。
しかし、王都はそうもいかなかった。
子ぎつねは当然王都は陥落すると思っていたが、
予想外に、王都周辺に人間の連合軍が来て一週間もしないうちに、
人間たちは撤退していった。
子ぎつねは疑問に思い、魔族の王の死を知ってから数か月ぶりに
王都に忍び込んだ。
そして再び魔族の会話を聞いたところ、神が絶滅しそうな
魔族のため、異世界から新たな魔族の王、魔王を
召喚したらしい。その魔王の交渉によって、
人間との戦争を停戦に持ち込んだらしい。
子ぎつねは、魔王に興味を持ち、魔王が住んでいるらしい
王城に忍び込んだ。
が、王城は当然広く魔王の居場所がわからないばかりか、
迷子になってしまった。
さまよい続けていると、扉の開いてる部屋があり、
そこに入ると一人の青年が机に向かって作業をしていた。
子ぎつねがその青年をしばらく見つめていると
「ふう、ようやく終わった。疲れたー。
ん?狐 何でこんなところに。」
そういいながら青年は子ぎつねを抱きかかえ、
毛を撫で始めた。
子ぎつねも青年に撫でられるのが気持ちよかったので
されるがままにしていた。
しばらくその状態が続いていると、部屋に別の人が入ってきた。
「魔王様ー、追加の案件です。って何やってるんですか。」
「仕事がひと段落したら部屋に狐がいた。
だから、抱きかかえてふさふさの毛を堪能しただけだが?」
その会話で子ぎつねは自分を抱えている青年こそが魔王なのだと知った。
「イヤイヤおかしいでしょう。
というかその狐はどこから入ってきたんです?」
「知らん。お前はどこから来たんだ?」
そう言われて子ぎつねはビシッと自分の住む森の方を
前足で指さした。
「おい、この狐明らかにフツーじゃないぞ。
人の言葉を理解してやがる。」
「あの森にすむ狐ってたしか・・・
魔王様、多分この狐は妖狐と呼ばれる種族です。」
「妖狐?」
「はい、普通の魔獣と違って魔力よりも気力をその身に多く宿した狐で
人並みの知能があるんです。」
「へえー、じゃあこいつは魔術も使えるってことか。」
「おそらくは。」
「明日またこの部屋へ来い。そしたら魔術を教えてやる。」
そういって、青年改め魔王は子ぎつねを床に下した。
子ぎつねは新たな情報に頭が混乱しながら
森へと帰っていった。
次の日、子ぎつねは魔術というものに興味がわいたので
再び昨日の部屋へと訪れた。
それからというもの、子ぎつねは毎日魔王のもとへ通い
魔術を教えてもらった。
そして、半年もするころには自由自在に魔術を使えるようになった。
そして、子ぎつねは魔王の役に立ちたいと思うようになった。
ある時、ふと子ぎつねはあること思いついた。
はじめて魔王にあった時に聞いた自分の種族の説明によると、
自分には魔力よりも量が多い気力というものがあるらしい。
その気力を魔力の代わりに使うとどうなるのか。
子ぎつねはそれを実行に移した。
結果として、とても効率が悪かったが、魔術よりも強力な
仙術とでもいうべきものができた。
いろいろ試してみると、魔術よりも応用の幅が広いことが分かった。
魔王達に仙術を見せたところ、大変驚いて、
自分達も使えるようになるかもと試していたが、
気力が足りないらしく、実用化は無理だと残念そうにしていた。
そんなこんなで子ぎつねは魔王達と楽しくしていたが、
そんな日々は唐突に終わりを告げた。
ある夜、子ぎつねが森で寝ていると焦げ臭いにおいがして、目を覚ました。
急いで周囲を調べると人間が森を燃やしていた。
子ぎつねはすぐに魔術で消火をしながら、
森を燃やしている人間を仙術で眠らしていたが、
人間たちが子ぎつねを見つけ、森を燃やすことをやめて
子ぎつねを殺そうと襲い掛かってきた。
子ぎつねだけで対処できはしたが、いかんせん
数が多く全員を撃退するのに時間がかかってしまった。
森を燃やそうとした人間たちを撃退した後、
子ぎつねは嫌な予感がし、まさかとは思いながらも
王都の方へ急いでいくと、王都は血の海に染まっていた。
魔族は全員地に倒れ伏して血を流しており、
王城の方角に人間の騎士のようなものが見えた。
近づいて騎士らしきものを観察したところ、
どうやら魔王を狙っているらしい。
王城のなかを仙術で探ると人間らしき反応が複数あった。
魔王が危ないと思い子ぎつねは魔王のもとへ急いだが、
魔王はすでに消え去っていた。
そして、事実上魔族の国は消滅した。
数年後、成長した子ぎつね改め妖狐は魔王を探す旅をしていた。
仙術もうまく使えるようになり、人化して人間の町で
情報収集をしたりもした。
しかし、魔王が暴れているという情報があった国に行っては
すでにその国は滅亡し魔王はいないということを繰り返した。
そしてある日、ふと上空を見ると遠くに小さく島のようなものが見え、
そこを仙術で探ってみると魔王の気配がした。
妖狐が急いでその島まで転移をすると、
魔王は何者かと戦っているようだった。
そして妖狐が島に建っていた神殿のようなものに入ると
魔王は戦いをやめたようで、神殿のさらに奥に進んでいるようだった。
神殿の中には広い空間があり、そこに一人の女性が血を流して
倒れ死んでいた。だが、その女性を見ると妖狐は
本能でこの女性は神だと悟った。
そして、こうも思った。
この神の死体を食えば自分も少しは神に近づけるのではないかと、
魔王の役に立てるのではないかと。
そして、妖狐が神の死体を喰らうと、妖狐の体に異変が起きた。
妖狐には自分の体が内側から作り替えられていくように感じた。
そして、妖狐が立ち上がった時、妖狐の姿はこれまでと
完全に異なっていた。
毛は金色から山吹色に、体も以前よりも1回りほど大きく、
そして何より、しっぽが9本になっていた。
妖狐から九尾妖狐へと進化したのだ。
そして進化した喜びをかみしめながら神殿の奥へと
進んだ妖狐は魔王が通ったであろうゲートをくぐり抜けた。
そこで妖狐が目にしたのは魔王の面影を残した白い少年だった。
妖狐は絶望した。何年も追っていた魔王がもう存在しないと
本能で理解したからだ。
そして、魔王の面影を残した白い少年は右手を上げて
白い空体を浮かべたかと思うと、
ただ一言、「クラプス。」と言った。
その瞬間、白い球体は膨張を始めた。
妖狐は光る壁が近づく中、
もし次があるのならば、もし魔王に再び会えたならば、
今度こそ魔王の役に立ちたいと考え、
そして、ゆっくりと意識がゆっくりと意識が薄れていった。
そして、長い長い時が流れ、
ある青年が魔術を行使し何かをしていた。
そして、魔術陣の上に現れたのは九本の尻尾を持った
狐の獣人らしき少女。
狐の少女が目を覚ますと、
「ここは・・・」
そして、青年のほうに顔を向け、
「・・・魔王様?」
「魔王様が誰かは知らないけど、初めまして。僕はリントヴルム。カグラ、君の創造主さ。」
「カグラ…?うちの名前…?」
「そう、その通り。これからよろしくね、カグラ。」
「はい!魔王様。いや、よろしく、マイマスター!」
いかがだったでしょうか。
狐「うちの前世、書くの大変やったわー。」
つーかお前、食事どうしてたんだ?
狐「家族もおらんし、そんなん王都からの帰りに
森の果物採ってそれを食べてたで。」
え、ちなみに一番最初の記憶は?
狐「果物を必死に取ろうとしてた赤ん坊のころやなー。
まあ、後でとれたんやけど。」
この狐いろいろおかしすぎる・・・
それは置いといて、出来ればあと三つ出したい。
狐「そんな無茶言わんといてやー。」
うるさいやれ。
これを入れたほうがいいようなので一言。
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