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あの子と俺

作者: 心太河

久しぶりの短編の投稿です!今回は、少し暗めな話となっています…(汗)。どうぞ飽きずに最後までお付き合い下さい!

 俺はあの子が好きだ。顔も俺的には可愛いと思うし、他人と話してる様子も、特にイヤなところは見受けられない。

 昼休み。俺は頬杖をつき、黒板に書いてある国語の板書を眺めていた。まだ消されてないみたいだ。先公が消していかなかったからだ。

板書の中には、あの子が前に出て書いた文字が書いてある。

…達筆だ…。俺なんかとは全然違う。


 話してみたい。あの子と。恋人としてでもなく、友人としてでもなく、知り合いとしてでもいいから顔を向き合って話してみたい。


 でも、俺には無理だ。



 昔、俺のことが好きだと言った女がいた。俺は別に大して好きでもなかったけど、その気持ちには裏切れないと思ったので、それなりにはこたえてあげなくては、と思って、今までより優しく接した。学芸会では作業を進んで協力したり、マラソン大会では走り終わってぶっ倒れてた佐奈の側にいたり、…周りの目なんて気にせずに尽くしてきた。あぁ、これで何人友達減っただろう…。


 だが、



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓



 校外学習。俺の小学校では、毎年、校外に行って工場見学とかやっている。


 工場のオッサンの話が終わり、みんながメモをとっているとき。


「話よくわかんなかったぁ。どうしよう…メモとれない…」


佐奈が困ってる。見せてあげよう。


「あぁ、俺のメモ使えよ」


と言って、達筆とも言えないし、稚拙とも言えない(多分)微妙な字で書いてある俺のメモを渡した。すると、


「ばい菌がうつるからやだ」


 平然と言われた。俺は激しい怒りと悲しみが込み上げた。公の場であったので、必死にそれらを堪えた。

ものすごく傷ついた。今までお前に尽くしてきたのに。何だこのザマは?俺がなんかしたかよ。


 …俺の友達を返せ!!



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓



 そんなことがあって、同年代の女性には話し掛けることが出来なくなってしまった。

また傷つくのが怖い…。あの時は、話し掛けられてから仲がよくなって、それであんな風になったのだ。俺から話し掛けるなんて、醤油を大豆に戻すくらいに不可能な話だ。

出来るわけがない。


 あの子に関しては、俺には興味がないみたいだし、俺の方を見てもどっかへいってしまう。

嫌いなのか?…嫌いなら嫌いってはっきり言ってほしい。諦めがつくから。…ないか…。話し掛けるくらいなら、それなりに気があってこそのことだから。


…どうしたらいいんだ…。忘れようとしても忘れられない。あの子のことが…。勉強もままならない。いらつく。こんな俺に。忘れようとして忘れられるモンではないとは百も承知。だが、こればっかりは…。

意識してしまう。だから忘れられない。いっそ告白して当たって砕けようか…?そのほうが楽なはずだ。

でも、やっぱり無理だ。トラウマを抱えた俺には…。醤油を大豆に戻すなんて出来るわけがない。ましてや、また友達を減らすようなことはしたくない。



 …いや、本当は、フラれるのが怖いだけなんじゃないのか…?

わからない。自分のくせにわからない。


話したい。でも話し掛けられない。

告白しようか。でもそんな勇気はないし、またあんな風に突き飛ばされるかもしれない。


 あの子と佐奈は違う。でも、やっぱり躊躇する。葛藤が起きる。苛立つ。忘れようとする。でも、忘れられない。



 黒板係がチョークで書かれた字を消す。粉が桟に舞い落ちている。あの子の書いた『字』も一緒に…。

 他の奴が今俺の考えてることを話したら、世界中の誰もが嘲笑することだろう。




 もし、それでも笑わない、という方がいらっしゃるのなら、……教えてください。僕は、一体どうしたらいいのか…。このやりきれない気持ちを…。



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