VoLTE で国際電話できるのは同じキャリアのユーザーだけと書いたが、あれは嘘だ~キャリアのやる気が試されているだけだ
第三話で「海外で任意の相手と VoLTE で通話するための規格は、そもそも存在しない」と書きましたが、それは誤りだったようです。
カナダの TELUS というキャリアのヘルプページに、日本滞在時にカナダの電話番号でも日本の電話番号でも VoLTE で通話できると明記されていました。
TELUS も S8HR 規格を採用しているはずなので、東京から大阪に電話した場合も (普通に考えるなら日本のキャリアが処理すべき国内通話でも)、カナダで VoLTE 通話を処理していると考えられます。日本国内で済むはずの処理をいちいちカナダまで転送して処理しているので、通話の遅延や音質の低下を覚悟する必要があるでしょう。
その一方で、国際電話は割り切ってアプリで済ませてしまうシンガポールの TGP や楽天モバイルのようなキャリアもあります。
要は、VoLTE の国際電話は、キャリアのやる気次第なのですね。
運用のハードルの高さを考えると、このままでは 3G 停波後の国際電話はアプリが主流になりそうです。
【第一話時点で想像していた VoLTE の国際ローミング】
渡航先でスマホの電源を入れる
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渡航先のキャリアが決まる
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渡航先のキャリア用の VoLTE 設定ファイルが使用される
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ただし、渡航先のキャリアの VoLTE 設定ファイルがスマホに入っているとは限らない (そもそもスマホに全世界のキャリアの VoLTE 設定ファイルが、すべて入っている可能性は小さい)
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適切な VoLTE 設定ファイルがなく、渡航先で 3G が停波されていれば、詰み
最近、VoLTE 設定ファイルのないスマホを Ahamo などの VoLTE が必須なプランで使用するために、他のキャリアの VoLTE 設定ファイルや他のスマホから抜き出した VoLTE 設定ファイルを強制的に適合させる「VoLTE チャレンジ」が行われていますが、この作業にはパソコンが必要です。空港で現地のキャリアに合わせて、その場で VoLTE 設定ファイルを変更するなんてことは、とてもできそうにありません。そのため、VoLTE チャレンジをしていいものかと悩んでいました。
【現時点の情報で想像する VoLTE の国際ローミング】
渡航先でスマホの電源を入れる
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渡航先のキャリアが決まる
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日本のキャリア用の VoLTE 設定ファイルを使用して、日本のキャリアによる VoLTE 通話の処理が開始される
あるいは、データローミングのみ行われて、渡航先での通話はアプリで行う
これまでの情報でわかったことは、渡航先で現地のキャリアに合わせてその都度 VoLTE 設定ファイルを変更する必要はなさそうだということです。ここで断定しないのは、そのように明記した資料が見つからないからです。