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出会い.9

放課後。ダンジョン前に咲ちゃんと行くと、瀬田と部員の七瀬葵が待っていた。



「逃げなかったようだな、生意気な後輩」

「あなたこそ。よく逃げませんでしたね」

睨み合う二人を僕と七瀬が止める。七瀬は、隣のクラスのダンジョン部員で、部活の時に共に潜ったことがある。


「久しぶり、里中。元気そうでなによりだよ」

「七瀬もな。でもどうしてここへ?」

「後輩とお前が潜るんだから、俺も相方を決めて来たんだよ」

瀬田が、会話に割り込んでくる。



「ホントに迷惑だよ、瀬田。壬生先輩たちが受験だからもうあまり顔を出せないからってさ。勝手なことして」

七瀬は、そこそこお洒落なのでカースト上位の瀬田とも普通に話せる。

しかし、不思議だ。カースト上位でも性格が悪くても許される感じがね。


「それは、巻き込んでごめんなさい女性先輩。えと、春野咲です」

「あ~、いいって。瀬田一人だとなにしでかすか分からないし。私は七瀬葵。よろしくね」

ペコリと頭を下げる咲ちゃんに七瀬は苦笑して手を振る。



「んだと~?ま、ともかく地下20階。どっちが先にたどり着くか勝負だかんな」

「ああ。それでたどり着いたらスマホで連絡するでいいかな?」

「ああ。行くぞ、七瀬」

「はいはい。そっちも気をつけてね~」

七瀬に頷くと僕たちもアイテムを確認してから、エレベーターを目指す。

もっと普通に探索したいんだけどな。


「あの七瀬さんて先輩は良い人に感じました」

ロッドを杖にして歩く咲ちゃんに歩幅を合わせる。

足元がでこぼこしてるので、ブレザーの袖をつまんでもらう。ちょっと照れくさいけど。



「ああ。七瀬は性格も気さくで話しやすいかな」

「ふ~ん」

「え、なに?」

「いえいえ。ああいう方が好きなのかと思いましてねー」

「なにを言ってるんだか。まあ、七瀬は美少女だから狙ってる子もいるだろうけど、僕と釣り合う訳ないだろ?」

僕は、自嘲する。むしろ、この呪いを解けないならば、恋愛とか諦めないとなとも思う。


実際、咲ちゃんだって呪いが解けて目が見えるようになったら僕から離れるだろうとも思う。


て、駄目だな。マイナスなことを考えてしまうからなんとか、プラスなことを考えないと。






エレベーターに乗り、昨日の続きから始める。

計画としては、まずは地下五階まで目指すことにする。

その後は、週末に一気に階数を稼げればいいなと思っているけど。


ホントなら僕一人で楽勝で終わらすことが出来る。

でも、目立ちたくないから力をセーブしてるし、誰かと潜れるなんて久々で嬉しい。それがこんな美少女なら尚更だ。



足軽亡霊や、兜スライムを蹴散らしていく。

スライムが侍大将のような兜を被ってるのは重そうだな。



この辺の景色は、学校の教室みたいで廊下は気をつけないと滑る。

罠なのか知らないけど、ワックスをかけられていてこけたことがある。




「ぎゃあおおお!」

「!咲ちゃん、動かないで」

それは、一匹狼とコウモリ傘だった。


一匹狼は時代劇の着物みたいの着てコウモリ傘を掴むと振るってくるので僕も無名の刀で打ち合う。


「勇気先輩、私がコウモリを仕留めます」

「分かった」

僕はコウモリ傘を持つ手を刀で叩きつけて落とす。


そこへら咲ちゃんが、腕を手刀のように振り下ろし風の魔法を放つ。ロッド使わないの?


コウモリ傘をズタズタに引き裂いて倒したようだ。

その間に踏み込んで、袈裟斬りで一匹狼倒す。返す刃でもう一体を倒す。

足音を立てないで潜んでいた魔物がいたのか。


咲ちゃんの方を見ると、気配察知のスキルのおかげで風の魔法で仕留めている。


魔物は何故か倒すと、素材に変換される。

アイテム袋に入れて後でギルドで換金してもらう。


う~ん。解体とかするのでなくてよかった。

ドロップアイテムの無名の刀を一匹狼から手に入れた。

同じ武器だから、後で換金するか制服に合成して強化出来る。

もしくは、二刀流と言う手もあるけど、スキルがないからか両手に一本づつ装備は出来なかった。




「終わりましたね」

「そうだね。咲ちゃんも腕が立つしね」

「えへん。伊達に潜ってお金貯めてませんて」

「勝負はともかくとして、レアアイテムを見つけよう」

二人で、張り切ってダンジョンを進んで行く。

特に罠もなく、宝箱を見つけては毒消しそうやマナポーションなんてのが手に入る。



「……この先に魔物の群れがいますよ」

咲きちゃんが警戒の声を上げる。それは気配察知で分かるのだろう。



通路を道なりに進むとそこには一匹狼たちが群れることを学んだ群れ狼たちだ。

浪人のような格好をして無造作に刀を抜いて稽古をしてる者や。じゃれあってる子供の狼もいる。

どうするか。ここはスルーして別の道を探すか。

そう考えていたら狼たちが気づいて一鳴き。



「ワオオオオオン!」

「どうします、先輩!やるしかないです!?」

「逃げる選択肢はないのかな?」

しかし、今の狼たちの鳴き声で背後からも狼たちが来た!やるしかない!



つづく

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