土日に君と妹と.9
なんだあれは?次の階も当然のように魔物が出る。
今、遭遇しているのは、大黒ヤモリと焔狐たちだ。
「うわ~!ちょっとやだ~!防御之祝詞!」
柚子は、怖がりながらもみんなの守備力を上げてくれる。
「待て」
「なんだ、黒野?危ないから下がって」
「僕が役に立つことを証明しましょう」
自信満々に魔物との距離を詰めると、大黒ヤモリの尻尾で叩かれてごろごろと転がる。
「黒野、大丈夫ですか?」
ジンちゃんが駆け寄るとそれを制すようによろよろと立ち上がる。
「見てて咲ちゃん。もしくは柚子っち」
「柚子っち言うな!」
「妹に変なあだ名を着けるな!」
「黒野。私、見えないんだけど~」
みんなの言葉に、黒野ぞくぞくしてる。うわ~。
涼は、きょとんとしている。
責められて、喜んでいるから理解出来ないのかな。しなくていいよ。
「ここ~ん!」
そう思っている内に焔狐の火魔法。火炎だ。
あんなのくらったら黒野じゃ丸焦げ……!?
「おおお!」
なんだ!?黒野の奴。丸焦げになりながらも平然としている。
そのまま体当たりして焔狐つかんでこちらに蹴飛ばす。
「ぽんぽこ!」
鎧狸たちは、自分のお腹を叩くと音波見たいのを発して大黒ヤモリたちを削る。
「はっ!」
気合い一閃。僕は、居合抜きで焔狐たちを仕留めると咲ちゃんも風の刃・連を放つと大黒蜥蜴たちを真っ二つ!
「癒し之祝詞!」
なんだかんだ柚子は、黒野を回復させている。
それにしても黒野のさっきのおかしなスキルはなんだろうか。
「どうです?僕の職業マジックガーダーは?」
自慢気な黒野。確かに凄い。これであの性格じゃなければみんな褒めるだろう。
「マジックガーダー?咲ちゃん、知ってる?」
「はい。物理的攻撃には弱いんですけど、魔法防御力が高いので魔法を使う魔物に対しては便利ですよ」
そんなのがあるのか。まだ見たこともないスキルがあるんだな。
「しかも!ドMのスキルでみんなが冷たくすればするほど、魔法防御力がアップップ~です!」
うん。説明は分かるんだけどうざいかな。申し訳ないんだけど。
咲ちゃんが避けてしまうのも分かってしまう。
でも逆に避けられてもめげないのは凄いのかもね。
ともかく、ジンちゃんの案内をしてもらいながら進むと、道が別れている。右に行ってみると宝箱がある。
「これはこれはラッキーですね………罠も仕掛けられていないようですよ」
「ジンちゃん、そんなこと分かるんだ~」
「はい。春野様の好きな男性のタイプは分かりかねますが」
「ぼくぼく!僕のことだよね?」
「そりゃ、分からないでしょ~」
咲ちゃん、黒野の言葉は、スルー。
しかし、黒野のスキル的にはそれでいいのかな。
そして開けて見ると体操服とブルマだった。
「…………」
「…………」
女子たちは引いている。僕もどう反応していいか分からない。
いくらなんでも古いでしょ。
試しに鑑定の巻物をしようさて見ると、防御力はさほどでもないけど、素早さが100もアップする。
「……捨てていいよね?」
冷たい声で柚子が言う。どうぞどうぞ。黒野、残念そうにするな。
「その、ブルマってなんです?」
咲ちゃん、後で誰かに聞いてね。なんか恥ずかしい。
「誰も穿かないなら、グレードアップしてみる?」
涼の言葉に黒野が興奮している。
咲ちゃん、こればかりは見えなくて良かったかも。
「ちなみにそれをするとどうなりますかな?」
「たぶん、上はそのままで下は、ハイレグブルマになるよ」
「……柚子。捨てていいよ」
「は~い!て、あれ?捨てられないんだけど~?」
慌てる柚子。そんな馬鹿な。黒野が持とうとするとはたかれる。
「黒野先輩は駄目!えっちな顔してるから」
「そんな!ゆずっち、僕のこのつぶらな瞳を見てごらん?」
「ゆずっち言うな!力変換でどつくぞ!」
「はいはい!二人とも落ち着いて!」
「そうだね。これば私が閉まっておくよ……お兄ちゃんがどうしてもって言うなら着替えてもいいかな?」
「ん?なんか言ったか柚子?」
「う、ううん、なんでもな~い!」
慌てて顔を真っ赤にして首を振っている。
もう一つの宝箱はと。開けて見るとそれは、銅の大盾だった。
「ま、これはマジックガーダーの僕が!」
「それでいいか」
「うん、いいよ」
「よし、次へと行きましょうか」
ジンちゃんの案内でぼくたちは歩き出す。
黒野は、慌てて追いかけて来るけど遅い。装備出来てるのかな?
「ちょいとお前さん方!僕のことにも興味を持って!」
「でも、防御力上がったろ?」
「はっ!まさかお義兄さんそのために!?」
「そうですな」
「ぽんぽこ、ぽこぽん!」
「「違うよ~」」
女子二人。正直に答えなくてもいいよ。
ドMのスキルで黒野の防御力はしばらく上がってるはずだ。
つづく




