土日に君と妹と.7
これは、ありがとうと言うべきだろう。
ステータスチェックしたら、武器も防具も制服もワンランクもツーランクも上がったのだから。
それは、咲ちゃんや柚子もそのようで涼を追い回すのも止めている。
しかし、喜んでばかりもいられない。
石化している黒野目掛けて魔物が襲って来たのだ。
素早くて厄介なのが、ウルフランナーか。
見た目は狼男?全力ダッシュで襲いかかって来る。
足軽幽霊は、柚子に任せればいい。
試し斬りをしたいとこだけど、僕の強さがバレる。
只でさえ、嫌われて目立っているのに、これ以上目立ちたくない。
まあ、二人にならステータス見せてもいいんだろうけど。
力加減をしながら、無名の名刀になった刀で鞘にいれたままウルフを突く。
そして、横から来た奴を回し蹴り。
「浄化之祝詞!」
柚子の魔法で足軽幽霊を蹴散らし、咲ちゃんの風の刃がマヒスライムを倒す。
ロッドもグレードアップしてるから、風の刃も大きくなっている。
「駄目だ。数が多いな」
特にウルフは、一声鳴くと仲間を呼ぶ。
「私に任せて!道を切り開くから!
お兄ちゃんは、咲ちゃん先輩のサポート!」
「あ、ああ」
僕は無意識に咲ちゃんの手を握って「あ。えへへ。ありがとうございます」と喜んでいるのでスルー。
意識するとこっちが恥ずかしくなる。
「よっと!はっと!」
柚子は、あろうことか黒野の石像を抱えると、ブンブン振り回して魔物を蹴散らすのだ。
「お、おい柚子。それ……」
「ふふ。ドンマイ!」
柚子は、気にした風もなく黒野石像を巧みに操り道を切り開く。
重たい石像を軽々と振れるのは、『力変換』のお陰か。
MPを、力に変換することが出来るのだ。
これで、一日過ぎるまでは、並みの冒険者よりも柚子は強い。
なんだか、だんだんと黒野に同情して来たぞ。
「お兄ちゃん、凄いよ!この石像凄い攻撃力だよ!」
なにか、興奮してるんだけど。
そりゃ、柚子の神楽鈴に比べれば強いだろうけど。
「お兄ちゃん、女の子って怖いね」
「ああ。涼もそう思うんだ」
「うん。男の強き時代が懐かしいよ~」
いつの時代の子供だ、涼は。
その後も、宝箱を発見して開けるとマナポーションやら、麻痺解除薬などが発見されて。
ふと、気づく。次の階段が見つからない。
地図は埋めているのだけど、下へ降りる階段がない。
「涼くんはなにか知らない?」
「う~ん。僕はずっとあの部屋にいたからな」
咲ちゃんに答える涼はふと気づいた。
それは、鎧狸の家族だった。
「うわっ!お兄ちゃん敵だよ!」
「落ち着け、涼」
「あれは、敵じゃないよ。味方だよ」
咲ちゃんの言葉に黒野を投げようとしていた柚子が手を止める。
助かったな、黒野。そこへ、石化が解けて元に戻った黒野は柚子にお姫様抱っこされている。
「だ、大胆な柚子ちゃん」
「な………なっ!なにすんのよ、えっち!」
「ぶべっ!なぜ!?」
柚子にビンタされて地味にダメージを負ってるな。
その間にも鎧狸たちが、腹太鼓でぽんぽこしながらやって来る。
ぽんぽこぽんぽこ言ってる。
「どう言うことでしょうか?」
「うん。なんかついてこいみたいな感じ?」
僕がそう尋ねると、こくこくと頷く。
僕たちが鎧狸についていくと「待ってくださいまし~」と、黒野もついてくる。
しばらく行くと、先程通った道の途中にある扉を開けると、空き教室の中へ入って行く。
その後ろの壁に止まると、お腹をぽんぽこ叩き出した。
すると、ぼうんと煙が溢れて扉が現れたのだ。
「隠し扉かー」
「それは、見つからないですね~」
「ああ。僕の心の隠し扉はいつ、開いてくれるのか」
「ありがとう、鎧狸」
鎧狸たちは、こくこくと頷くと先へ入って行くので僕たちも続く。
この前、助けたお礼なのかもしれない。
「僕のこと、スルーしないでくれ!」
黒野の台詞に付き合ってはいられない。
心の扉は自分で開いて下さい。
つづく
里中勇気 侍 Lv.???
スキル 経験値体質
ダメージ逃がし 呪いの力 見切り 刀技Lv.10
春野 咲 魔法使い Lv.23
スキル 移動補助 気配察知
手を繋ぐ 視界暗転
連続魔法 魔法Lv.3
里中柚子 巫女 Lv.22
スキル 力変換 ハイテンション 回復之祝詞Lv.3
黒野道雲 マナガード Lv.20
魔力吸収 魔力カウンター
女好き




