土日に君と妹と.4
うん。なんだろうか。バトルに突入かと思いきや。
遊んでくれと、せがまれてしまった。
お馬さんごっこで子供に乗られて四足歩行の僕と、疲れて休んでる咲ちゃんと柚子。
「あう。お兄ちゃん、頑張って~。子供だから浄化して終わらせるのかわいそう~」
柚子の意見に賛成ではあるね。でも、疲れる。
瀬田たちは気絶したままだな。大丈夫だろうか。七瀬は、目を覚ましているけど。
「……なあ、えと」
「僕は、涼。涼しそうな名前だろ?」
「涼。君は、魔物……じゃないよな?」
傷つけないように気をつけないと。言葉を選び聞いてみる。
幽霊系の魔物はいるけど、ここまで意思のあるのは初めてだ。
「……う~ん。分からないんだ。気づいたらここにいて。
でも、お兄ちゃんたちを見てたら僕も冒険者だったような気がするよ」
「……そうか。じゃあ仲間だね」
「あは。そうだね!」
どちらかと言うと、レトロなおもちゃで遊んで上げた後に考える。
さりげなく、この部屋から出られるか柚子に試してもらったけど出られない。
「ねえ。涼くん。私たちそろそろ行かないと行けないんだけど~?」
咲ちゃんが、様子を伺うが首をブンブンと横に振る。駄々っ子降臨てとこだろうかな。
「いやだよ。僕、また一人になっちゃうよ。ぼっちになったらクラスメイトに笑われるよ」
そうなのか。やっぱりぼっちて笑われるのかー。
クラスで浮いてしまってる僕はちょっと悲しくなる。
「じゃあさ。僕たちと涼のお父さんとお母さんを探しに行こうよ」
僕がそう提案すると目を輝かせる。とても、子供らしい笑みだ。
「ホント、お兄ちゃん!?一緒に探してくれるの?」
「うん。だから、外に出してくれるかな?」
「うん、いいよ!」
あっさりと戸を開けてくれた。涼が僕の手を引いて急かす。
「さ、早く行こう!」
「待って、涼くん」
「なあに、お姉ちゃん?」
「ちゃんとおもちゃを片付けないと駄目だよー?」
「ええ~!?」
「ほら、私も手伝うから、ね?」
柚子に諭されてふてくされながらも片付けをする。
ベーゴマやけん玉。トランプ。ボードゲーム。最近のゲーム機はないみたいだ。
子供にとってはその方がいいのかもしれない。
公園で、携帯ゲームをする子供を見てはなんのために公園に来ているんだと思ったりした。
「くっ!いい気になるなよ、里中。助けられてねーからな!」
瀬田は、いつの間にか開いた戸から出ていった。
「ごめんね、里中。瀬田が、ゴミみたいな性格で」
七瀬葵は、悪い奴には口が悪い。そして、涼にも屈んで言う。
「ごめんね、涼くんだっけ?瀬田が悪かったね」
「いいよ、眼鏡のおねーちゃん。おねーちゃんの花火綺麗だったから」
「それはどうも。またいつかね」
「うん、ありがとうね」
笑顔を交わす二人。ちなみに花火と言われて咲ちゃんたちは首を傾げる。その辺はいずれ。
手を振って七瀬たちと別れると外へ出る。
「あの瀬田って人、ホントに性格悪いですね~」
咲ちゃんが僕の服の袖をつまみ隣を歩く。
「まあ、それでもイケメンだからモテるんだけどね」
実際スキルの『イケメン』で女子とのパーティー相性がいいらしい。
ステータスが上がるとか話してたな。
「ねー、ねー、お兄ちゃんとお姉ちゃんはデキてるの?」
「「………!」」
その言葉に固まる僕と咲ちゃん。答えられないのを見て柚子も気遣うように説明する。
「ほら、お兄ちゃんが呪われているのは分かる?」
「うん。呪われた男かー。かっくいいね~!」
おいおい。そんな反応は初めてだけど、ホントにそう思ってるみたいだ。
「お姉ちゃんのおめめもそうなんだ。だから見えないからお兄ちゃんの服をつまんでサポートしてるんだよ~」
「そっか。ごめんね、気づかなくて」
「いいよ、別に。お姉ちゃんたちと一緒に探そっか?」
「うん。ありがとう」
その子の笑顔は明るいはずなのに、物悲しく感じた。
つづく
見逃された鎧狸たちは家族団らんしてるよ




