土日に君と妹と.2
「浄化!浄化!!もひとつ、浄化之祝詞!!!」
柚、大活躍だな。昨日の続きから進んでいくと次の階はゾンビたちがいた。名称が枯れ果てゾンビ。
なにが、枯れたのか聞かないけど、柚は巫女で、アンデッドに浄化魔法を連発している。
正月に神社で、巫女のバイトをしてみたいと言ってたから巫女にしたのかな。
「はぁ。柚子ちゃんも凄いんですね!」
「うん。私、連続魔法のスキルありますんで、レベルもあげあげなんですよん」
あげあげなんて古いんじゃないか?
しかし、前に一緒に他のダンジョンに探索に行った時よりも強くなってるな。
「柚、今、レベルいくつだ?」
「うん。今は、20かな~」
「結構上げたな?そうかな。でもぬるいゲームと違って現実だとあまり上がらないんだよね。
ダンジョン部の部長としては最後の大会で活躍したいのにさ」
「柚子ちゃん、ダンジョン部なんだ?」
「はい。でもいつもポイント低いんです」
がっくりと項垂れる柚。大会は簡単に言えば、予選を突破したダンジョン部同士のバトルと、同じダンジョンに潜ってお宝争奪戦の二部に分かれている。
いつも、応援に行ってはいるけど中々優勝は難しいけど。
でも、今回は違うかもしれない。柚を鍛え上げるからだ。
「じゃあ、夏の大会に向けてここで、鍛えていけばいいよ」
「ホントに!?ありがとう、お兄ちゃん」
「わ!こら、抱きつくな!」
「いいからいいから!」
「よくないって!」
そんなことを言いつつ狼を撃退する。
いくつか魔物を倒していてあることに気づいた。
「ここって、和風の魔物が多いのかな?」
「そう言えば昨日も狸がいましたもんね」
歩きながら、時折他の冒険者ともすれ違う。
冒険者同士のトラブルは御法度なので、喧嘩とかにならないようにしないとね。
それでも僕が美女二人を連れていると睨んで来たり、絡んでくる奴もいる。
「おいおい、春野さん。こんな化け物とつるんでないで、俺たちと行こうぜ?」
瀬田か、お前は!他のクラスの生徒か。見覚えがないが。
「あ、間に合ってま~す」
にこやかに断って行こうとすると、そいつは春野の腕を掴む。
「きゃっ!?止めてください!」
「いいだろ?俺たちと来いよ」
にやにやと笑ってなにやってんだとそいつの腕を捻り上げる。
「あががががががががががが!?」
「てめー!徳井さんは、レベル30だぞ!」
「そうだ!痛い目合いたくなかったら放しやがれ!」
「ほらよ」
そいつを軽く押して徳井とやらの仲間にぶつけると、そのまま通路の向こうまで果てしなく吹っ飛んでいった。さようなら。
「やったね、お兄ちゃん!ナイスストライク!」
「ヤバイかな。後でギルドに報告されるかな?」
「でも、あっちが絡んできたからしょうがないよ。マナーわるっ!」
「え?え?今の人たちどうしました?急激に気配が消えましたけど?」
咲ちゃんが、不思議がるのも無理はない。普通はあんなこと出来ないから。
レベルが高ければそれも可能だけどね。
「なんか、急激にお腹が痛くなったみたいだよ」
「そうそう。お兄ちゃんお人好しだから、帰還石を上げたんだよ」
「え?そんな貴重な物を?勿体ないですって!」
帰還石は、ダンジョンRPGのゲームにも出てくるどこにいても一瞬で脱出出来るアイテムだ。
お店でも、数はそこまで多くは在庫はないのでポーションの10倍はする。
「さ、行こう」
「おー!」
少し歩けば忘れるので今は、ガールズトークをしている。
だから僕が警戒をしているんだけど、緊張感ないな。
しばらく行くと、扉があるので警戒して開けるとそこは、子供部屋だった。
つづく




