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出会い.1

ちょっとずつ投稿しますね~

第一部 呪われた王子とお姫様




春が駆け足で迫るそんなある日のこと。それは、突然だった。




いや、部内の雰囲気は徐々に悪くなっていたから、僕としては辞めようかとは思っていた。



しかし、それは同じ部員の瀬田に言われた。

「お前は、クビだ里中」

「……クビ?」

「分かるだろ?お前みたいな呪われた奴はいらないんだよ!周りからの評判も悪い」

瀬田はいつもこうだ。偉そうで周りを見下して絡んでくる。


確かに僕はそんなに強くないし、瀬田ほども活躍していない。

そして何より僕は、呪われている。

しかし、それにしたってこいつのその酷さが最近は身に余る。




「ちょっと瀬田くん。それ言い過ぎ」

「そうよ。里中くんだって辛いけど頑張ってるのよ!」

他の女子たちがかばってくれる。それだけでマシかもしれないけど。

普段は僕に近づかないから内心ではどう思っているのか分からない。



「うっさ!大した成果を上げてないお前らは黙ってろよ」

瀬田は、偉そうだけど部員としてエースで強い。

だから、偉そうにするのが当然と思ってるのかもしれない。


「瀬田。クビにする権限は君にはないだろう?」

「そうよ。壬生さんの言う通りよ!」

「強がりゴリラ」

部長の壬生さんは、知的で冷静だ。特に女性ファンが多い。


「誰が、強がりゴリラだ!今、言った奴出てこい!」

ゴリ……いや、瀬田と女子部員が揉めそうになってる。

僕は、どうしていいか分からない。

「でも、確かに里中はそんなに強くないよな」

「地味なスキルしかないしな~」

戦闘系のスキルを持つ部員がひそひそと話すのが聞こえる。

そいつらもそんなに強くないのにな。

少なくともこいつらよりは強いと思ってる。




「それなら俺が辞めますよ。こんな呪われた奴がいるなら、友達と潜った方がいい」

「待て」

出ていこうとする瀬田を壬生部長が呼び止める。



「そうだよな。俺が辞めたら困るよな?」

瀬田は、性格はアレだが次のエース。大会の時に不利になる。

嫌な笑顔で壬生部長を見つめる。


壬生部長が僕を見るので、僕は決めた。追い出されるよりは自分から出ていこう。

壬生部長も辛そうだ。弱小部が存続しているのはそれは一重に瀬田のスキルによるものが多いから、多少の我が儘も許されている。




「……僕が辞めます」

「……………すまない」

疲れたように壬生部長が眼鏡を外して目頭を強く揉む。


僕は、一礼して出ていく。これでいい。僕のスキルを知ったら止められたろうけど、僕もあいつのいる部にはいたくない。


誰も止めてくれないのが、やっぱり寂しいね。

人って普通じゃない人には冷たいから。人の優しさなんて偽善なんだ。










そして、四月。桜舞う出会いの季節。

新学期も一月は過ぎて、一年生も慣れ始めた頃僕は、ダンジョン内にいた。


新一年生の好奇な目がめんどくさくて、今日はダンジョン内に潜っていたのだ。

年下に馬鹿にされたら、それは悲しい。傷つくのではなくて。

そんな人たちが可哀想に思えて。




ダンジョン内を歩いていて粗方真物を倒して一息つこうとしたんだけど。通路に座り込んでいるJKがいた。制服からして同じ高校なのは明白。一人で潜ったのかな?

その子はうつむいている。

ホントだったらスルーしたい。僕を見て馬鹿にするか嘲笑うか。そんな感じだったから。

でも、女子を一人でいるのを置いていくことは僕には出来なかった。男は女性を支えるものだと亡き祖父に教わっている。




「え~と?君、どうしてこんなとこいるの?」

「…………会えた」

「え?」

その子は、座り込んでいて顔を埋めていた。横には立てかけたロッド。




魔物が襲って来たら危ないし、女子がここで一人でいるのも放って置けない。


「もしも~し?」

「…………」

同じ制服着ているから、少し声をかけやすかった。

その子は、ゆっくりと顔を上げて僕を見て、酷いと思いながら逃げていくんだろうなと、いつものことを苦笑したけど。


あれ?逃げない。そんな人は始めてだ。むしろ平然としている。



「……こんなとこにいるなんて、もしかしてダンジョン部の人?」

「いや、探検部のぼっちさ」

「はは。自分で自分のことぼっちて言いますか?」

そう質問されて、びっくりしたけど

その可愛らしい女の子は、今年の春入学した後輩だろうか?

よく見たら、まだ着なれてない新品のブレザーの制服だ。


「あれ?ダンジョン部と探検部って同じです?」

「そうだね。ぼっちとぼっちじゃないかかな。活動内容は変わらないと思うよ」



「ふーん。それで先輩は、なにしてるんですか?」

「探検部の活動。君は?」

「あぅ」

「言いたくないならいいけど、置いていくよ」

「ええ?そこはほら、後輩が一人でダンジョンで、踞ってるんですよ?助けません?」

その子は、僕の制服の袖をつまんでゆさゆさと揺する。

距離が近い。成る程、美少女だからな。リア充と言う奴か。

どうして、リア充て距離が近いのだろうか。





「…分かった。入り口までエスコートするよ」

「嫌です」

「………えと、面倒だから先に行くけど?」

そう言うと僕と手を繋いで来たので、振りほどく。

繋がれる。振りほどく。繋がれる。振りほどく。繋がれる。



「わぁ、暖かい……じゃなくて!なんで僕についてくるの?」

「やむにやまれる事情?」

にこっとはにかむ笑顔は、ドキッとしてしまう。

好きじゃなくても、ときめいてしまうのだろう。

まるで、春風のような笑顔だったから。


「……まあここに置いていくのもな」

「でしょ、でしょ?邪魔しませんから~!」

「……まあいいか。えと。僕は二年の……」

「知ってます。二年の里中勇気先輩ですよね?」

「まあ、そうだけど。どうして僕の名前……」

言いかけて、そうかと思う。僕の見た目で目立つからな。

その子も、困ったように微笑む。僕は視線を反らす。


「先輩、有名ですからね~」

「まあね。だからホントは僕についてこない方がいいんだけど……」

「いえ。行きます!春野咲、あなたについて行きます!」

殺し文句かよ。春野は僕とまた手を繋ぐと歩き出す。




「あの……」

ランタンを掲げながら尋ねる。なんで、手を繋ぐのと。

「はい?」

「はい?じゃなくて、どうして手を繋ぐの?もしかして、繋ぎ魔の人?」

「なんですか、それ?違いますよ。私は手を繋ぐと魔力が少しづつ回復するんです」

「もしかして、スキル?」

「はい。他の方法より節約出来て便利ですよ~?」

時折、チラチラと背後を気にしながら言う。

なんだ?同じく振り返るけど、誰もいない。

ゴーストとかでも出たのかと思ったよ。




まあ。この先は危険だから守らないと行けない。探検部としては。

探検部。それはどこの学校にも大抵あるダンジョン探索の部活動だ。


ダンジョンは、僕が生まれた時には既にあり、僕も初めて探索した時から、探索の虜だ。


だって。どんな底辺の存在でも財宝でも見つければ一攫千金を狙えるし。

Sランクの魔物を倒したら名声を得られるから。


ダンジョンは、いつの間にかそこに存在していて、音もなく現れる自然発生のその現象は、初めて探索して死亡した人が現れたことから、自然災害と認定された。


基本的に探索するのは自由だが、自己責任と言うことだ。

そして、うちの学校の校舎裏にも現れたダンジョンは、うちの学校で独占した。


がめつい強欲校長と傲慢教頭の考えそうなことだ。

成績にもプラスされるので、最初の内は参加する生徒もいたのだけど、ゲームと違い現実なので、徐々に減っていった。


ほとんどが、生活の大変な生徒か、有名になりたい生徒とか。

後、僕みたいなぼっちなんか、ダンジョンなら一人でいられるからね。

成績に響かないように潜っているんだ。



つづく

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