プラネタリウム(7日目)
夏休みの宿題もだいたいは終わったし、とうとうやることがなくなってしまった私、海華は、外を出るにも陽射しが最早痛いレベルにまで達しているので、クーラーの効くリビングにて、ゆっくりと読書に勤しんでいた。
ついでに読書感想文のネタとして使ってやりたいところだが、『世界の半分が手違いで俺の手に渡ってしまったんだが?』がその題材として相応しいと教師陣が認めるかどうかは言うまでもない。
読めば分かる、これはライトノベルの皮を被った大作だと。
「おいおい、ラノベは読書感想文の題材にはできないだろ?」
「...いや、何故いる?」
「調度買い物に行くおばさんが開けてくれたんだよ。海華を自由研究の実験に手伝って欲しいって言ったら通してくれた」
「娘を何だと思ってるんだ!つーか私に一言言えよ!」
母よ、いつかは貴女から生まれてよかったと思わせてくれ。
リビングにて。
「で?自由研究って何するの?」
「プラネタリウムを作る。」
「ほう、」
東輝にしては珍しくロマン滲むチョイスだ。少し興味がそそられる。
「そこそこ大きめな球体に穴を開けて星空にするんだ。ちと手間だから手伝って貰おうかと」
「いやいや、それくらい自分でやろうよ」
「でも、海華って手先器用だし、百人力と思ったんだが...」
しょぼんとしてしまう東輝。そんなに凹まれたら何だかこっちが悪いような気がするじゃないか。
「なら、これは私と共同の自由研究ってこと、それと終わったら32アイス三段!」
東輝に向かってを指さしたら、ガッツポーズで契約成立した。
2...3時間後!
「だぁ、終わったぁ。」
「ふぅ、なかなか繊細な作業だったよ。」
こういう細かい作業はとても好きだ。絡まったコードをついついほどきたくなるくらい。
「さてと、点灯してみるか!」
「よしきた!」
リビングにて。
正直わくわくが止まらない!
点灯!
「おぉ、」
暗闇に飾られる隙間からの光が、部屋中に像として映し出された。それらは暗闇でキラキラと輝き、本当に星空に囲まれたかのような感覚。
「やった甲斐があったな。」
「うん、本当に綺麗。」
「ここまで上手く作れたんだな、すごいよ」
「東輝の部分は雑いよねー」
「うるせ」
東輝は拗ねた。が、直ぐに星空に向き直った。
彼は笑っているのに、笑っている気がしなかった。