宿題(4日目)
「だぁー、終わらねぇ、」
「つべこべ言わないの。宿題やろって言ったの東輝でしょうが。」
この男、普段は夏休みの宿題をすっぽかして遊び呆けているくせして、今年に限って早めに泣きつくとは。まぁ私もさっさと終わらせるのには激しく同意だ。
「そろそろ休まね?3時だよ?おやつの時間だよ、確か大きいプリンあったよな、それ食べようよ」
何故知っている。
まぁ恐らくは母の話の音が漏れていたのだろう、改築を念頭に入れておかねば。
リビングにて。
「あ、ごめん、あれ食べちゃった」
「えぇ!そんなぁ、」
「あはは、小遣いあげるから、二人で好きなの買ってきな」
階段を上がり自室に向かうと、東輝が上からみおろしていた。私の鞄も携えている。
「ほら、行こうぜ」
「ちょっと待ってね、」
「日傘さしとけばいいんじゃね?」
「甘いわね、太陽には照り返しっていうカウンターアタックがあんの。だから日焼け止めは必須よ。」
紫外線をなめるな、このこんがり少年め。
コンビニにて。
アイス!このホワイトサンダーのアイスは本当に美味である!
「これにしよう!」
「えぇ、それ前も食べてたろ、こっちのパーケンドッシュ一度食べてみたいんだけど」
「なっ!?」
1カップ270円だと!?でも美味しいからなぁ、んー、
「これはなぁ、スペシャルな時に食べたい...んだよ...」
「え、スペシャルだろ?」
きょとんと首をかしげる東輝。何故?何がスペシャルなのだ?
「ほら、宿題がもう半分も進んだんだ!スペシャルと言わずして何というか!」
笑顔でパーケンドッシュを天井に掲げる。このスパンで宿題が終わるのが彼にとってもスペシャルだったのだろう。
「なら、仕方がないか、な?」
「チョロイ」
「何か言った?」
「何も」
食い入るように下から睨んだが、目をそらしやがった。絶対に何か言ったろ、それも失礼なやつ。
自室にて。
「終わったぁ、ありがとー、後は自由研究と読書感想文くらいだ、」
「そりゃどーも、でも、東輝ってそんなに頭良かったっけ?」
彼は毎年の夏休み、私に宿題を泣きつくほどの成績だったはずである。
「いやいや、海華の教え方が上手かったんだって。マジ助かった。」
「んー、まいっか。」
男子3日会わざれば刮目して見よ。そんな言葉を思い出した海華だった。