1-4
バスは坂道を上っていく。
せっまい坂道で、なんでここバス通りにした! ってくらい狭い。バスとバスがすれ違うのがぎりぎりの道。窓の外は即崖。今日はそっち側に座っちゃったから余計に怖いったらありゃしない! 遠回りってことを抜きにしてもこのバスはあんまり使いたくない。
本当になんでこの道バス通りにしたんだろう。もうちょっと考えてほしい。
「ちょっとこの道怖いよね」
まりちゃんもそう思っていたらしい。
「だよね。しかも途中で大きく曲がるし。あんま乗んないけど高等部行ってもこっちからは行きたくないな」
いくら近いからといってもちょっとだし、だったら逆回りのバスのほうがいいな。
でもやっぱりこっちのほうが便利なせいか高等部の制服姿のお姉さま方が結構のってる。高等部と中等部は部活とか委員会は一緒に行動するけど、校舎自体は離れてるから、どっちにも入ってない私には遠い世界だ。
部活なのかな? それともなんか係かな? どちらにしても夏休みなのにわざわざ大変だ。私なんか補習さえなければ、休み期間一回も学校になんか行かない。家でぐうたらしてる。
これでよくこの学校受かったなって自分でも思うし、親は面と向かって「奇跡だ!」と言ってくれた。それでも赤点は数学の1科目だけにしてるんだから、私ってすごい! っと誰もほめてくれないから自分をほめる。私はほめられて伸びる子なんだから!
もうすぐ坂道途中の曲道ってところで、ものすごい音がして衝撃が来た。窓におもいっきり体がぶつかる。隣にいたまりちゃんもこっちに押されてきたから両側からぶつかって体が痛い。
「ふぇ?」
体が浮いた。ジェットコースターみたい。前の椅子につかまろうとしたけどできなかった。
えっ? なに? 事故? がけ?
目の前は真っ暗になった。