表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
subtle  作者: 水野葵
46/46

Make Believe

 どれほどの月日が流れただろう。


 庭先の黄水仙が淡く色付いて。

 温かなココアが()みるようで。


「……冷えますね」


 あなたは美しいままで。


「毛布でも持ってきましょうか。それとも ―――」


 けれど、反応(こたえ)はなくて。


「……眠ってしまったのですね」


 凍え切った体躯(からだ)を抱き寄せる。

 困った人だ、とほほ笑みながら。


「風邪を引くというのに、まったく……」


 わかっている。


 その瞳がわたしを映すことはなくて。

 その唇がわたしを呼ぶこともなくて。


 わたしが、わたしだけが、いつまでもここで ―――


「ベッドへ行きましょう、さぁ」


 痩せ衰えた体躯を抱き上げる。

 最愛(いとし)い人、と口付けながら。


「明日は何を ―――」


 それでも、わたしは待ち続ける。


「明日は庭の散歩をしましょう。

 そろそろ黄水仙が咲きますから」


 あなたが目覚める、そのときまで。


「……おやすみなさい」

日本語題:箱庭の眠り姫

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ