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Stuck with
キミとはただの腐れ縁だった。
顔を見れば嫌味を言い合って。
幼い喧嘩を繰り返しては
二人してアイツを困らせて。
でも、アイツがいなくなってからは ―――
乾いた唇。蒼白い頬。
固く閉ざされた双眸。
二人、寄り添って生きてきた。
心の隙間を埋めるように。
互いの傷を舐め合うように。
なのに……
思わずキミの腕を取る。
枯れ枝のような細い腕を。
連れ合いをなくした狼は
弱り果てて死ぬという。
なら、人間は?
寄る方を失った人間は
どうなってしまうのだろう?
氷のような手のひらに口付けて
ボクは独り、途方に暮れた。
日本語題:独り狼