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Wonder If
「お前が死ねばよかったのに」
長い長い夜だった。
「お前が死ねば……」
言い返すこともできなくて
ボクはただ天井を見上げていた。
「お前が ―――」
くり返される非情い言葉が
本当は誰に向けられたものか、
痛いほどよくわかっていたから。
「どうして彼が……!」
だから、ちっぽけな肩を抱き寄せて
ボクはいつまでも天井を見上げていた。
あぁ、けれど ―――
もしあのとき、キミを拒むことができたなら
ボクたちの“今”は違うものになっただろうか。
「……どうした?」
つやめいた声が囁く。
キミの白い肩を抱き寄せて
ボクはぼうっと天井を見上げた。
あの夜と同じように。
「……何でもないよ」
何でもない、とただくり返す。
胸にくすぶるこの後悔を
キミに気取られないように。
日本語題:見上げる




