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Doubt
娘はわたしに似ていない。
「お父さま……?」
その手も、声も、体温も
ただただあなたを偲ばせる。
けれど ―――
「どうなさったの?」
その瞳に、その髪に、あの男の俤が見える。
「眠れないの?」
愛していたのに。
信じていたのに。
あなたを、あなただけを、ずっと。
それなのに ―――
「お顔が怖いわ。ねぇ、何かおっしゃって」
裏切られたのだろうか、わたしは。
「お父さま ―――?」
そんなことはない。
そんなはずはない。
途惑う娘を抱き寄せて
わたしはそっと口を付けた。
日本語題:ら旋の悪戯




