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Call me
「―――っ!」
キミがアイツを呼ぶ。
「……ッ」
何があったか知らないけれど、
飲めもしない酒を飲んで
酔っぱらって、酔いつぶれて。
それでここに ――― ボクの腕の中にいる。
「……ねぇ」
いつもそうだ。
ボクにアイツの影を見て
求めて、縋り付いて。
ふるえる声で何度も呼ぶ。
けれど ―――
「呼んでよ……」
気付いているのかな。
その白い肌が求めているのは
腕を、脚を、縋ませているのは
ボクであってアイツじゃない。
そう、アイツじゃないんだ。
だから ―――
「ボクを……」
一度でいい。
「ボクだけを ―――」
忘れてくれ、とは乞わないから。
日本語題:人形の乞い




