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Mine
ばらを贈ろう。いとしいあなたに。
ベルベットよりもつややかで
ガーネットよりもあざやかな
紅く、暗く、美しいばらを。
「あなたは……」
喜んでくれるだろうか。
驚いてくれるだろうか。
いや、きっと訝るだけだろう。
あなたは淡泊なひとだから
このばらを愛でたりはしない。
受け取ることもしない。
あぁ、けれど ―――
「……お前、黒いばらの花言葉を知っているか?」
眉を寄せるあなたに
わたしはほほ笑む。
「えぇ、もちろん」
花言葉も。
「では、何故 ―――?」
見え隠れする男の影も。
「……っ!」
そっと頬に触れる。
ばらが、わたしが、瞳に映り
わたしはゆっくりと目を細めた。
「あなたはわたしのものだ」
そう、あくまでもわたしのもの。
「誰にも渡さない」
日本語題:黒いばら




