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subtle  作者: 水野葵
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Not Understand ~ Tanked’s side ~

 正直、やっちまったって気持ちが強い。


 口付けをしたコトは(おぼ)えてる。

 その細い腰を抱き寄せたコトも。


 でも、そこから先は何も憶えちゃいない。

 キミの声も、顔も、何ひとつ思い出せない。


 夢中だった。自分でも(あき)れるくらいに。


「覚えたてのガキじゃあるまいし……」


 ズキズキと頭が痛む。ヒドい吐き気に目眩(めまい)もする。

 悪酔いでもしたような最ッ低の気分だけど、

 これはきっと安酒を()み過ぎたせいじゃない。


 猛烈な自己嫌悪。情けないったらないね。

 まさか、いいトシして我を忘れるとは。


「いつまでそうしているつもりだ?」


 不愛想(ぶあいそう)な声に追い打ちをかけられる。


 あまりにも冷めたその口調に

 ボクは小さく息を吐いた。

 こめかみを強く押さえつける。


 こんなときでもキミは全くいつも通り

 落ち着き払っていられるんだね。

 わかっちゃいたけど、恨めしいよ、本当に。


 (ゆが)む視界を抑えてキミに向き合うと

 熱の残る瞳がかすかに揺れた。


「お前がそんな目をするとはな」


 その言葉にため息を返す。


 キミがボクの目に何を、誰を見たのか、

 言われなくてもボクにはわかる。

 いつだってそう。アイツのコトばかり。


 だから、ねぇ、この関係は間違ってるんだ。


 ボクはアイツになれないし、

 キミもアイツを忘れられない。


 それなのに ―――


「寝なさいよ、もう」


 この感情は何だろう。


 ボクのちっぽけな胸を満たす

 溺れるような、この感情は。


 両腕にキミをかき抱いて

 ボクはひとり、考える。


「明日の夜もまた……」


 この感情をボクは知らない。

日本語題:陶酔

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