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33.騎士の答え

更新が遅くなりすみません!

あと、先日ものすごい名前間違えをしたままUPしてました!(指摘されるまで気付かなかった…)

大変失礼しました。修正致しました!

ご指摘下さった皆様ありがとうございます!

 

 うたた寝をしてしまったなと、気付いて目を開けた時。

 私は、目の前に私が映っていることに気がついた。

 鏡なんて部屋に置いてあったかな、なんてぼんやり眺めていた正面に映る私がクスッと笑った。

 

 あれ? 私、笑っていたかしら。


 すると目の前に居た私が立ち上がり、手に持っていた髪飾りを見つめている。

 ローズマリーの思い出で見たアルベルトからの贈り物。


 さっきから他人のように自分の動きを眺めていることが不思議で、やっぱりまだ夢でも見ているのかなと思った。

 

 それにしても。

何だかいつもの私とは思えない優雅な物腰に見覚えがあった。

 そして少しずつ何が起きているのか理解した。

 

 本来、理解出来る事なんかじゃない。

 夢と言われた方がまだ現実味がある。


 でもこの感覚に覚えはある。

 レイナルドとアルベルトの復讐を止めたくてローズマリーに祈った時と同じ。

 自分の身体がまるで他人のように動いていたあの時。

 

 私の中に、もう一人の誰かがいると感じた時と一緒。


 目の前のマリーが微笑んだ。

 穏やかなその微笑み。


(ローズマリー?)


 マリーの姿をしたローズマリーがその場に佇んでいた。

 そして部屋に訪れたアルベルトと、私の声なのに全く別人のような私が彼と会話を始める。

 その会話の意味することを理解できたのは。そしてどうしてローズマリーが意思を持ちアルベルトの前に立っていたのかを知ったのは。

 全ての会話を終えた時だった。



 ◇◇◇



 どう、言葉を返せば良いのかアルベルトは躊躇した。適当に取り繕ってよい話題ではない。アルベルトが少しでも偽りを吐けばすぐに見破られるだろう。

 アルベルトとしても偽りを告げるつもりなど微塵も無かった。ただ、自分の中でも答えが導き出せないままに答えて良いものなのか分からなかった。

 それでも答えを出さなければいけない。

 今伝えなければ、マリーに想いを伝える機会すら失ってしまう。

 それが何よりもアルベルトには恐ろしかった。

 だからこそ告げよう。嘘偽りない言葉でもって。


「忠誠を誓う相手は常に一人であれ……ローズマリー様の問いに答えるのであれば」


 アルベルトは一度息を止めてから、改めてローズマリーを見据えた。


「忠誠を誓う方はローズマリー様。貴女だけでしょう」


 マリーへの誓いに偽りはないつもりだった。

 けれどアルベルトには分かる。

 もし、マリーがローズマリーに生まれ変わりと知らなければアルベルトは彼女に忠誠を誓わなかった。

 彼女がかつて忠誠を誓ったローズマリーの魂を受け継いだ者だからこそ、彼女にこそ忠誠を誓うべきだと思ったからだ。


「ですが、守りたいと思うのはマリーです」


 考えるがままにアルベルトは告げる。

 その答えに、少し瞳を大きくして不思議そうにしているローズマリーに苦笑した。表情がコロコロと変わるのは、器がマリーだからなのだろうか。

 マリーのよく変わる表情がアルベルトは好きだった。


「騎士として忠誠を誓う思いはローズマリー様、貴女だけに捧げましょう。けれどもどうか、一人の男性として愛すべき女性を守りたいという気持ちはマリーに捧げたいのです」


 素直な気持ちを伝える術がアルベルトには分からない。

 ローズマリーに問われた、マリーを幸せにできるかなどアルベルトには分からない。

 

「マリーを幸せに出来るか。それはマリーが何をもって幸せであるか分からない限り、私には答えられない。もしマリーが、彼女の幸せが私と同じであるのだとしたら。私は私の持つ全てを使ってでも願いを叶えたい」


 マリーは何時も何も望まなかった。

 復讐も、地位も、恋愛すらも望んで行動する姿を見ていない。けれども他人の意見に左右されるわけでもなく、自らの意思をもって他者を思っていた。

 家族を愛し、前世のローズマリーを想い、ローズマリーの愛した全てを慈しむ心優しい女性。

 その全てがアルベルトは愛おしい。


「ローズマリー様。貴女を愛するのか、それともマリーを愛するのかへの問いですが」


 アルベルトの眼差しは、ローズマリーの姿から更に眠っているであろうマリーを見つめる。ローズマリーがこうして意思を持って表れていることも、最近になってマリーが悩んでいた様子も全てがこの事に起因しているのであれば、その不安を彼女から取り除きたい。


 ローズマリーとしての記憶を無くしてもマリーを愛せるかと、レイナルドは聞いた。

 ローズマリーとマリーのどちらを好きなのかと、ローズマリーは聞いた。


 アルベルトの答えは一つ。


「ローズマリー様であった記憶も全て慈しむマリーだからこそ、私はマリーを愛しています。それで答えになりますか?」


時々更新が遅れますが、終盤まであと少しなので基本は毎日(又は1日遅れ)を目指していきますのでよろしくお願いします!

(誤字のご連絡本当にありがとうございます…!)

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― 新着の感想 ―
[良い点] よし、アルベルト男前!
[良い点] 演技でなくローズマリー本人?かぁ アルベルトやったなぁ迷わず答えおった
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